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PAATOS

PAATOSとは

同時代に生きてて良かった・・・・・
私がPAATOSを初めて聴いた時に思った事です。

PAATOSはスウェーデンのサイケデリック・エクスペリメンタル・プログレッシブ バンド。
音楽性は女性ボーカル、メロトロン、時々変拍子を絶妙のバランスで持ち合わせたオーガニックな鬱系プログレで、冷ややかなトーンの中にも炭火のような暖かさを感じてしまう何とも不思議な魅力に溢れています。
その秘密はジャズにも精通した各メンバーの余裕のテクニックと経験に裏打ちされたフックの数々、エフェクトやメロトロンがもたらすレトロな雰囲気、時に手数王なドラム等々、色々ありますがまずはメロディと美しいボーカルでしょう。
アルバムとしては2ndの「Kallocain」がとっつきやすいと思いますが、まずは1stの3曲目téaを聴いてみて下さい。
それで、もし興味を持ったら他の曲も聴いてみて下さい。(CDは自分で買ってね!)あなたの琴線に触れる美しい音楽がこんなところにあったんです!

バンドの結成は2000年8月。 元LANDBERKのReine Fiske/Guitar、Stefan Dimle/BassとHuxflux Nettermalm/Drums、Johan Wallen/Keyの4名からスタートし、TV出演等いくつかのギグを経た後Petronella Nettermalm/Voが加入。2002年にアルバム「Timeloss」でデビュー。活発なライブ活動の中、ギタリストがReineからPeter Nylanderに代わり現在のラインナップが完成。
2003年にプログレ・レーベルINSIDEOUTと契約し、レーベル・メイトでもあるPORCUPINE TREEのSteven Wilsonをミキシング・エンジニアとして迎え、アルバムの制作を開始。2004年に2ndアルバム「Kallocain」を発表する。
ヨーロッパ・ツアー後2005年の秋には早くもレコーディングを開始。3rdアルバム「Silence Of Another Kind」が2006年に発表された。

その後、ライブ・アルバムSensorsをベースのStefan Dimleが経営するレコード・ショップ/レーベルのMellotronenからアナログでリリース(2008年)、ギタリストのPeter NylanderにRicard Huxflux Nettermalm(Dr)、Petronella Nettermalm(Vo)夫妻が参加した新ユニットELEPHANT CULTURE結成と、新作のリリースこそ無いものの順調に見えたPAATOSでしたが、2008年11月に衝撃が。
何と、オリジナル・メンバーのStefan DimleとJohan Wallen(Key)の脱退がMyspaceのブログで発表されたのだ。
しかも、この記事がしばらくすると削除されてしまうという不可解な状況もあり、遠く極東の1ファンとしては一体何がPAATOSに起こっているのか解る術も無く前途が心配された状況が続きました。
そして2009年4月に改めてブログで2人の離脱を報告、と共に新作に向けて作業を開始しているという嬉しいニュースも。
しかしバンドはここからさらに沈黙。
しばらくの間オフィシャル・サイトまでもが「工事中」で閲覧できず。でもこれは、新作リリースと同時にサイトをリニューアルするのだな、と好意的に受け取ることもできた。
そしてようやく2010年末、新作が2011年初頭リリースであることがアナウンスされた。
レーベルは良質なプログレ・バンドを多数要するドイツのInsideOut MusicからオランダのGlassville Recordsに移籍。このあたりの契約問題もブランクが長かった要因かも。
メンバーは残った3人に新メンバーUlf Rockis Ivarsson(B)を加えた4人体制。
ジャズのバンドや映画音楽の制作などマルチな才能を発揮するPeter Nylanderが鍵盤にトロンボーン、はたまたバンスリ・フルートなる民族楽器までプレイし、専任鍵盤奏者の不在をカバーしています。


MEMBER

Petronella Nettermalm/Vocals and cello
ウィスパー気味に優しく、そして時に力強く歌い上げる美貌・美声のボーカリスト。

Huxflux Nettermalm/Dr , Stefan Dimle/B , Johan Wallen/Key , Peter Nylander/G

ALBUMS

Timeloss 2002

Timelossのレビューを見る

1. Sensor
2. Hypnotique
3. Téa
4. They Are Beautiful
5. Quits

あれ?オシャレなジャズかな?と思ったのもつかの間、ギターのカッティングからロック・モードに突入。ロックなドラムがカッコいい。ファズを効かせたオルガンのトーンとフレーズもサイケでいい感じの#1。
各パートの抑えた演奏とウィスパーVoが暗鬱ながらも心温まるサウンドを醸成。枯れたGと影のようなメロトロン、ゲストのフルートが良い。終盤はメロトロン中心に大盛り上がる#2。
スウェーデン語で切々と歌う静かでクールな前半と後半は激情メロトロン&スキャットに失神寸前の代表曲#3。タイトルのTeaとはPetronellaと Huxfluxの子供さんの名前です。
うっすらとしたメロトロン、オフマイク気味のもやもやしたパーカッションに乗るウィスパーVoが心に染み渡る#4。
打ち込みエレクトロニック・ビートとオーガニックな熟練ミュージシャンのプレイが見事に融合した実験的チューンの#5。


Kallocain 2004

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1. Gasoline
2. Holding On t
3. Happiness
4. Absinth Minded
5. Look At Us
6. Realty
7. Stream
8. Won't Be Coming Back
9. In Time

衝撃のヴァイオリン・ソロから7拍子中近東風リフが淡々と繰り返される。そしてサビで爆発する緊張感抜群なオープニング・チューン#1。
一転してチェロが印象的なモーダルな曲。サビ・メロとコーラスが染み込む#2。
無機質な打ち込みビートにウィスパーVoの美メロが乗る珍しくメジャーな感じの曲。サビの変拍子が隠し味で効いてます。もちろんメロトロンも。癒されること保証付きな#3。
ラジオ風エフェクトをかけた歌唱が生声になる瞬間がトリ肌の静かな曲。中盤以降のメロトロンが効いている#4。
さりげなく自然で優しい7拍子。歌メロやコーラス、中間部の展開も完璧。美しさの中に溶けて行きそうな#5。
絶望的な暗鬱感漂うイントロ〜中間部から一転、後半にかけての場面転換で一瞬一筋の光が射したと思いきや超哀メロで畳み掛ける後半で涙する#6。でも、なんか暖かいんです。
ジャジーな雰囲気の暗鬱バラード。切ないVoメロとサビが美しすぎます。後半にかけては超ド級の哀しいメロトロンが涙腺を攻撃する#7。
3拍子系のリフ(エレピが良い!)から4拍子に入る定番なトリッキー・テクの罠にはまってハッとさせた後はエキゾティックなメロディから段々盛り上がり、哀メロのサビで登場するメロトロンに泣ける#8。
何層も重ねた霧のようなボーカル・ハーモニーを中心に切々と紡がれるエンディングにピッタリな雰囲気の#9。


Silence Of Another Kind 2006

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1. Shame
2. Your Misery
3. Falling
4. Still Standing
5. Is That All?
6. Procession Of Fools
7. There Will Be No Miracles
8. Not A Sound
9. Silence Of Another Kind

ヘヴィーなグルーヴとサビの変拍子がカッコいい。フェイザーかけたエレピやフィードバック音を挿入するセンスが秀逸な#1。
ジャジーなサビを持つ暗鬱バラードの#2。しっとりと歌い上げます。これもエレピが良い。
トレモロ・ギターに導かれる仄かな明かり射す暗鬱チューン#3。サビメロが醸し出す炭火のような暖かさを是非感じて下さい。当然メロトロンも切り込んできます。何度聴いても感動でジーンとします。
吐息すらエフェクティブに使用するセンスと徐々に切り込むメロトロンが素敵。静/動の対比が見事なコントラストを見せるクールな佳曲#4。
優しいVoに絡みつくコーラスが癒し効果抜群の序盤から一転、サビでは激情を迸らせます。最高にロックなヒーリング・ミュージック#5。
打ち込み?のSE#6。
一瞬カーディガンズ?と思っちゃうようなオシャレでPOPな曲調ながらドラムが爆発します。弦のスクラッチ・ノイズがバッキングのいいアクセントになっている。ベース・ラインもイイです。サビが最高にカッコ良い#7。
実質ラスト曲の#8。ゲストのヴァイオリンやバリトン・サックスがメロトロンと共に盛り上げる暗黒バラード。胸が締め付けられて苦しい程に感動します。#8。
「別種の静寂」を彼らの解釈で表現したSE。これもまたGOODな余韻となっている#9。


Sensors on LP 2007/on CD 2008

Sensorsのレビューを見る

1. Happiness
2. Your Misery
3. Gasoline
4. Téa
5. Hypnotique
6. Absinth Minded
7. Sensor
8. Prologue*CD Bonus
9. Shame*CD Bonus

当初アナログLPのみ500枚限定でリリースされた2006年のヨーロッパ・ツアーの模様を収録したライブ。
バンドのドンStefanの経営するMellotronenよりPaypalで直接購入!最初来たのは不良品だったが、誠実な対応で2回目のは超良品。Huxfluxがレコード・プレイヤーでチェックしてから送ってくれたそうです。
手書きの「こわれもの」マークがナイスな梱包箱や同封直筆メッセージと合わせて一生の宝物です。

CDバージョンも紙ジャケ仕様で日本限定リリース。
ボーナス・トラックとして2曲が追加されています。
インストの#8では、ソング・ライティングの過程を想起させるKING CRIMSONばり?のインプロビゼーションが楽しめます。


Breathing 2011

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1. Gone
2. Fading Out
3. Shells
4. In That Room
5. Andrum
6. No More Rollercoaster
7. Breathing
8. Surrounded
9. Smartan
10. Ploing My Friend
11. Precious
12. Over and Out

白夜を思わせる醒めた高揚感とメロトロンが絡むサビのメランコリックな叙情が交錯する#1。
マイナー調なのにPetronellaの歌唱が炭火のような温かさをもたらす#2。
穏やかなフォークから、サビとインスト・パートでは一転して悲哀に転ずる#3。
Petronellaの澄んだ美声が楽しめるPAATOSらしいメランコリック・チューン#4。
ピアノ、管、スキャット、チェロなどが断片的なフレーズを絡ませるインスト小品#5。
Ricardの鮮烈なドラミングをフィーチュアした新機軸のプログレッシブ・チューン#6。
ミステリアスなインスト・パートを内包したメランコリックなタイトル・ナンバー#7。
物悲しいフレーズを奏でるアンビエントなピアノを中心としたサウンドスケープをバックに、スウェーデン語で切々と歌われる#8。
意外性のある洒落たコード進行に乗って、瑞々しいメロディが次々に展開していく#9。
オルゴールの小品#10。
Petronellaがチェロでもがんばる、#2同様にマイナーな中に温かみを感じさせる#11。
PAATOSが時折聴かせるスピード感のあるカッコ良いナンバー#12。
長いブランクで心配された音楽性の変化もさほど無く、それどころかバンドが影響を受けたPORTISHEADやBJORKなどのテイストをメランコリックな世界に巧みに消化・昇華したお馴染みのPAATOSらしさに、#6や#9など新たなテイストも加えた会心作ですねこれは。 悲哀の中の醒めた感触(あるいはその逆も)とでも表現したらよいのか、彼らにしか成し得ない独特の個性にますます磨きの掛かったアルバムです。 美声ボーカル・ファン、女性ボーカル・ファン必聴作。


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