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プログレやメタルの長い曲特集

長い曲はお好きですか?
【CONTENTS】
YES / Close To The Edge
RENAISSANCE / The Day Of The Dreamer
HATFIELD AND THE NORTH / Mumps

YES / Close To The Edge

YES5枚目のアルバム「CLOSE TO THE EDGE」(1972年)のオープニングを飾るタイトル曲。
I The Solid Time Of Change
II Total Mass Retain
III Get Up I Get Down
IVSeasons Of Man
からなる4部構成。
川のせせらぎと鳥のさえずりのSEを導入部に仕込むことで牧歌的なイメージを与えておきながら、バンド演奏が始まるとともに突然のフリージャズ寸前の展開に当時の全リスナーが腰を抜かしたであろう衝撃のオープニングでつかみはOK
そして忍耐強く聴き続けた者だけに訪れる緊張からの爽やかな開放感。
まさに「アメ」と「ムチ」だ。
この曲は基本的にこのパターンを繰り返しながらオーラスの大団円に向かって徐々に感動の度合いが高まるように構成されている。

その「アメ」と「ムチ」の「ムチ」に関しては、
1.変拍子/ポリリズムの心地よい違和感。
2.実は必然であることに気づく一見唐突な場面転換。
3.各楽器の手に汗握るスリリングなアンサンブル。
といった要素が、
そして「アメ」は、
1.キャッチーなヴォーカル・メロディ、特にサビ。
2.それを歌うジョン・アンダーソンの王道プログレ声。
3.リック・ウェイクマンの大仰なオルガン。
といった要素が当てはまるだろう。
「緊張⇒開放」の大きな枠組みの中で緻密な計算に基いて配置された「アメ」と「ムチ」の様々なパーツが有機的に結びついている為、長尺にもかかわらずダレる事無く一気に聴けてしまう。
そして「ムチ」から「アメ」まで行くのがわかっていながら、じらす手法も又ニクい。
後世の多くのバンドがこうした手法を模倣しながら未だにこのオリジナルの完成度を越える事ができていない、という事実がいかにこの30年以上前の作品が凄いものであるかを証明している。

■演奏時間     18分50秒
■ドラマティック度 ☆☆☆☆☆
■メロディアス度  ☆☆☆☆☆
■テクニカル度   ☆☆☆☆☆
■濃度       ☆☆☆☆☆
■世界遺産度   ☆☆☆☆☆


RENAISSANCE / The Day Of The Dreamer

RENAISSANCE1978年のアルバム「A Song For All Seasons」の2曲目、邦題は『ドリーマー号の出航』。
この曲はアルバム1曲目の『オープニング・アウト』との組曲っぽくなっており、同じフレーズも出現。
9分43秒なのでこの世界ではそんなに長くないが、色んな要素がこれでもかと詰め込まれた名曲。
序盤3分までの部分では勇壮なオーケストラにドリーマー号が颯爽と水飛沫をあげながら洋上を疾走する風景が目に浮かぶようだ。この高揚感、RENAISSANCEの他の曲では見られない要素だ。
かと思うと3分40秒くらいからは7拍子のシンセ・リフに導かれたプログレ・コーナーに突入!そして徐々にストリングスや管楽器、木琴などパートを増やしながら盛り上げて行き・・・・
そして5分過ぎには一旦落としてスローで静かななムードの中、今度は皆さんお待ちかね人類が生んだ20世紀最高の歌姫アニー・ハズラムのエンジェリック・ヴォイスの独壇場。 6分40秒でのアニーの美声にうっすらとかけられたリバーブで撃沈だ。
そして徐々にオケで盛り上げ、8分30秒過ぎに高揚感パートが復活して最終コーナーへ。ぞくぞくするような展開からゴールまで一直線!
これらの場面転換が非常にうまく繋げられており、密度が濃い中でもちゃんと息継ぎできるようになっている。
そして、この曲がここまで推進力に溢れているのも隠れた名ベーシスト、ジョン・キャンプのぶりぶりベースのおかげだったりする。
BBCライブなんかだとオーケストラが無い分各パートが丸裸で聴けて、意外なほど高いミュージシャン・シップに改めて気づかされる。

■演奏時間     9分43秒
■ドラマティック度 ☆☆☆☆☆
■メロディアス度  ☆☆☆☆☆
■テクニカル度   ☆☆☆
■濃度        ☆☆☆☆
■世界遺産度   ☆☆☆☆


HATFIELD AND THE NORTH / Mumps

カンタベリー・ミュージックの名盤HATFIELD AND THE NORTHのThe Rotters' Clubよりラストを飾る20分23秒の組曲Mumps。
作曲はキーボードのデイブ・スチュワート。

Your Majesty is Like a Cream Donut(Quiet)
Lumps
Prenut
Your Majesty is Like a Cream Donut(Loud)
からなる4部構成のオシャレでメロディアスでキャッチー、且つハイテクなジャズ・ロック。
左CHのキーボードと右CHのギターが時にユニゾン、そして又別の時にはソロとバッキング、というように役割を目まぐるしく変化させながら、キメのメロディとインプロビゼーションを切れ目無く織り交ぜた複雑な構成で一気に聴かせる。
ギターとキーボードがソロのケツでいきなりハモったりして、どこまでキメてあるのか良く分からない感じが何回聴いてもスリリングで堪らない。

それにデイブのキーボードがカラフル!
定番のファズ・オルガンは勿論、シンセや水商売っぽいエレピに静謐なピアノと大活躍。
フィル・ミラーのギターも(この曲では大人しい目ながら)そこはかとなくテクニカル。
序盤のファズ・オルガンとファズ・ギターによるハーモニーもシビれる。
そう、ギターも随所で音色を使い分けてキーボードに対抗しているわけだ。
デイブが単音ファズ・オルガンでガンガンにソロ弾いてるバックのフェイザーかけたギターのカッティングもいいね〜。
ここではドライブするベースも必聴。
耳から離れないオシャレなテーマ・メロディはYour Majesty is Like a Cream DonutのQuietではギター、終盤のLoudはオルガン、とさりげなく使い分けてるセンスもハイブロー。
そんなこんなでキーボードとギターを主軸にサックスやフルート、女性3人組ザ・ノーセッツの美しくてミステリアスなコーラスも相まって、まるで濃厚なスープのラーメンを食しているかのような幸福感を味わえる傑作。
それでいてノド越しスッキリ、後味はサッパリにしてオシャレ。

■演奏時間     20分23秒
■ドラマティック度 ☆☆☆☆
■メロディアス度  ☆☆☆☆
■テクニカル度   ☆☆☆☆☆
■濃度        ☆☆☆☆
■世界遺産度   ☆☆☆☆






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