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REVIEW O

OZZY OSBOURNE / Blizzard of Ozz

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BLACK SABBATHを脱退したオジー・オズボーン(Vo)のソロ1st1980年作。ボブ・デイズリー(B)、リー・カースレイク(Dr)とベテランを配しつつ、ギタリストは当時世界的には無名のランディ・ローズ(ex.QUIET RIOT)を抜擢。彼の才能に後押しされ、オジーが本格的にシーンに復帰を飾ります。ライブでの定番曲#1、#2。ランディのクラシカルなフレージングが衝撃的な#6、#8など今やメタル・クラシックとも言える名曲満載。母ドロレス捧げたクラシカルなアコギ小品#4にランディの優しさを、そして、炎の化身のように弾きまくる#6にランディの情熱を感じます。Blizzard of Ozz

OZZY OSBOURNE / Diary of a Madman

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OZZY OSBOURNEの1981年2nd。レコーディングのメンツは1stと同様オジー・オズボーン(Vo)、ランディ・ローズ(G)、ボブ・ディズリー(B)、リー・カースレイク(Dr)。破壊的なリフと周到にアレンジされたダブル・トラッキングのバッキング・ギター。そしてエキサイティングなギター・ソロ。ソロのラストでのピックスクラッチが鳥肌。もうオープニングの#1から既にKOされましたね。天駆けるようなクラシカルなフレーズをライトハンド奏法で繰り出す#2。アコギとエレキを巧みに絡めたギター・オーケストレーションで壮大なスケールを描く7分のエピック・チューン#3。荘厳かつオカルティックなムードで独自のゴシカルな世界を表現した#4。ヘヴィなミディアム・テンポのハード・ロックにキャッチーなサビを配した#5。メロディックなバラードでエンディングのギター・ソロが泣ける#6。ドラマティックな展開とカッコ良いリフで迫る3連ハード・ロック#7。ELOでもお馴染みルイス・クラークによるストリングス・アレンジとクワイヤを加えゴシカルにしてプログレッシブに展開する7/8拍子の#8。本作は作曲/アレンジ/プレイ/エフェクト使い、等々ランディの才能が遺憾無く発揮され、従来のオジーのカラーにアメリカンな開放的ムードも加え、後のメインストリームでのブレイクを予感させる傑作となりました。ただ、その後のツアー中に飛行機事故によってランディは帰らぬ人となってしまいました。当時のインタビューで、充分な時間が無く一部のギター・ソロの練りが足りなかった(#5等)・・・みたいな事を言ってたので、もし納得行くまで制作できたらどんなに凄い事になるのか、と思ってましたが・・・とてもとても残念でなりません。。 Diary Of A Madman

OZZY OSBOURNE / Bark at the Moon

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ランディの死があまりに深く心に突き刺さった為、リリースされてもしばらくの間聴けなかった3rd。1983年作。オジーがパートナーに選んだのは日系の血を引くジェイク・E・リーだった。ジャケのオカルト&ホラーな雰囲気そのままのムードが全編を支配。#1のGソロの完成度の高さに新たなギター・ヒーロー誕生の期待も高まった。半正式メンバーのKeyドン・エイリーが良い仕事でバンド・サウンドを助けている。特に#5の荘厳なオルガンが好き。 Bark At The Moon

OZZY OSBOURNE / The Ultimate Sin

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前作ではオジーの持つスタイルに合わせていた感のあるジェイクが自分の色を強烈に押し出した1986年作。#3の”一人ディレイ”#9の”ストリング・ガイド付近の弦を押すことで得られるハーモニクスへのベンディング効果”をはじめとして各所でワザ師ジェイクの”ジェイク・フェイク”が炸裂。バンドもルックス重視?に切り替え、全体的な質感は市場ウケを狙ったアメリカンなハード・ロック。実際#9はそこそこヒットしたと思う。 The Ultimate Sin

OZZY OSBOURNE / No Rest for the Wicked

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ジェイクがクビになってどうなるのか心配されたが、1stビデオクリップにもなった#1で不安一掃。ビデオでは顔がはっきりしなかったベル・ボトム野郎ザック・ワイルドも当時は痩身でかわいいルックスだった。プレイとアクションは超骨太だが・・・。内容は昔からのオジー・ファンだったザックがファンの求める音像を完璧に理解し楽曲として再現。オカルトちっくなオジー・ワールドが全編を覆う、ある意味アルバムとしてのまとまりが一番ある作品。1988年作。 No Rest For The Wicked

OZZY OSBOURNE / No More Tears

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オジーがツアーからの引退を発表したことで話題となった(そして見事だまされた!)1991年作。前作でオジーの信頼を十二分に勝ち取ったザックが自分の趣味を出し始めた。#3,#11のアメリカンな雰囲気はザックならでは。一方で壮大なタイトル曲#5やカッコ良いHR#2,#4,#6などバラエティに富んだ内容。武道館でのフェアウェル公演で泣いた俺の気持ちなどまるで知るわけ無いオジーは早々に引退宣言を翻し現役続行。マネージング(特に奥方シャロン)の手腕を思い知らされた。 No More Tears

OZZY OSBOURNE / Ozzmosis

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1995年作。ザックが一人立ちしパートタイム的な関与に止まりつつ制作された。一度気持ちが切れたのと、選び抜かれたギタリストとの作曲における化学反応を魅力に感じていた自分からすれば中途半端な印象しかない。

Ozzmosis

OZZY OSBOURNE / Tribute

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1987年に突如リリースされたランディ在籍時の模様を収録したライブ。#8に挿入されたギターソロ・タイムやBLACK SABBATHの名曲#10での天駆けるようなソロを聴くと、もっともっとランディのギターを聴きたかったとの思いがこみ上げてくる。Tribute

OZZY OSBOURNE / Live & Loud

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引退宣言したオジーのフェアウェル・ツアー「NO MORE TOURS」の模様を収録したライブ。1993年作。オジー時代の代表曲は勿論、ライブ定番のSABBATHクラシックスも。武道館もそうだったけどランディの旋律をほぼ崩す事無く再現してくれたザックにランディを愛する者としての同朋意識とザックのランディへのリスペクトを感じた。終盤の「BLACK SABBATH」では往年のSABBATHメンバーが集結、”引退”に花を添える。同時に発売されたレーザーディスクでは終演後幼い息子をステージに上げたオジーが息子にステージでのロックスターの作法を教えるシーンでジーンときたもんだが・・・騙された!

Live & Loud

LE ORME / Felona e Sorona

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イタリアのプログレッシブ・ロック・バンドLE ORMEの1973年5thは、フェローナとソローナという2つの惑星の物語を綴ったコンセプト・アルバム。各曲が曲間無く繋げられ、アルバムとしての統一感があります。元々4人組ビート・ポップ・バンドでスタートしたというLE ORMEですが、3rdの頃からトニ・パリュウカ(Key)を中心としたキーボード・トリオ編成になり音楽性も変化。ツアーで訪れた英国で、プログレッシブ・ロックの影響を持ち帰ったのかもしれません。手数の多いドラムをバックにオルガン、シンセ、メロトロン(ソリーナ?)を駆使してシンフォニックに暗い叙情を紡ぎ出す#1。イタリアン・レストランのBGMでかかっていてもおかしくない位、地中海情緒溢れる穏やかなムードの歌唱パートを持つ#2。かつてはシングル曲中心に活動していた名残を感じさせます。雫のようなピアノが美しい#3からメドレーで妖しいムードの中盤を経て、スリリングな変拍子のシンセ・ソロからメロディアスな終盤へと起伏ある展開を見せるプログレッシブな#4。切々としたボーカルが叙情を紡ぐ#5。#5のムードを引き継いだ、5拍子の歌唱パートを持つ#6。暗がりから一条の光が射すかのごとく、ポジティブなムードのメロディがエレキ・ギター、ピアノによって静かに継承される#7。地中海風フォークにシンセのシンフォニックな味付けを施した明るいムードの#8は、終盤に#5の物悲しいフレーズがリプライズで挿入されています。そして#8終盤のムードを引き継ぎながら、ブ厚いシンセが不安を煽るようなメロディを放射してクライマックスを迎える#9。決してテクニカルではありませんが、独特の歌心を感じさせる歌唱パートと、叙情やスリル等様々な情景を描き出すシンセやオルガンを駆使したドラマティックなインスト・パートが融合した、独特のサウンドを聴かせます。Felona e Sorona

OPETH / Orchid

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スウェーデンが生んだ異才ミカエル・オーカーフェルト率いるプログレッシブ・デス・ゴシック・メタル・バンドOPETHの1995年1st。ミカエルは1974年生まれだというから、この頃はまだ若干21歳。
叙情的なツイン・リード・ギターが80年代NWOBHMの薫りをそこはかとなく感じさせつつも、端正にまとめられた長尺曲の展開には年齢を感じさせない落ち着きをも感じさせる脅威のデビュー作です。デス声やサウンドの迫力不足といった点では後の充実した作品群に比べるべくも無いが、既に幽玄なアコギを絡めた深みのあるアレンジを聴かせているところがニクイ。全体に漂う冷ややかなムードも抜群です。こうした既に完成した基本パーツと共に、後と比べるとまだまだ未熟な歌唱表現や味わいの薄いギター・ソロが同居している不思議なムードに覆われたアルバム。一歩間違うと、”イモ”なんだけど何かこう心に迫るものもあるという・・・Orchid

OPETH / Morningrise

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OPETHの1997年2nd。20分超の#4を含む全5曲が10分以上。全曲がヘヴィなリフのパートと静寂アコギパートを同居させたドラマティックな作りになっている。必ず印象的なフックが用意されており、単に長いだけではないソングライティングの妙は彼らならではものです。 北欧民謡のフレーバーを幽かにちりばめたツインギターによる計算されたハーモニーの絡みに加え、テンション・ノートを効果的に使用したコードワークも徐々に増えて来た。この辺りに少々青臭い部分もあった1stからの進歩が見える。 又、得意のフォークも絶品。 #5では2本のアコギとベースが絶妙のハーモニーを奏でるアンサンブルを披露。 特にオリジナル・メンバーであるヨハン・デファルファーラのメロディアスなベースが美しい。Morningrise

OPETH / My Arms Your Hearse

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DrとBが交代しOPETH中期の黄金ラインナップが揃ったOPETHの1998年3rd。サウンド、ソングライティング、ムード全てが大幅にレヴェル・アップ。ヘヴィネスと静謐が複雑に入り組みながらも、全体としての調和がイマイチだった前作までとは打って変わり、清濁・緩急が有機的に結びつき、サウンド面の向上も相まってOPETHのスタイルがここに完璧に完成。威厳あふれるミカエルのデス・ヴォイスや格調高くも冷え冷えとした妖しいコーラスが、初期の単音からコードワーク中心へと変遷してきたブ厚いプログレッシブ・ヘヴィ・リ?????y?????フと完全に一体化。驚異的な音の壁が轟然と攻め込んでくるかのような迫力が漲っている。#6なんて極限まで禍々しいリフの曲なのに、妖しいアコギパートと終盤のメロディアスなフォーク調のパートの存在によって一種の神々しささえ湛えた楽曲にまで高められている。そして#8の1分過ぎ、クリーンなコーラスからの展開がもうトリ肌。これぞOPETHな恍惚の場面転換。これがねー、病みつきになるんですよ。My Arms Your Hearse

OPETH / Still Life

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OPETHの1999年4th。バンドのブレインにしてVo/Gのミカエル・オーカーフェルトはもう天才と言っていいでしょう。パワフルかつ無慈悲なデス声と70年代っぽいクリーン声の使い分け、リリカルでいて時に不気味で奇妙な旋律を奏でるアコギ、確かなテクに支えられたツボを得たメロディアスなソロと独自の個性的なディストーション・リフを吐き出すエレキ。これら清濁/静動の対比が複雑な曲展開と相まって自在に配されており唯一無二の個性を完成させている。基本はデス・メタルかもしれないが全体に流れるムードは70年代っぽいんです。Still Life

OPETH / Black Water Park

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OPETHの2001年5th。前作STILL LIFEを非常に気に入ったという英国のプログレ・マニア?PORCUPINE TREEのスティーブン・ウィルソンがプロデュースしてます。不条理変態リフと叙情アコギ、そして#2のコーラス部に代表される英国的な雰囲気すら漂わせる歌メロ。全てが計算されつくされつつ複雑に構築されているので何回聴いても飽きないし、その都度新たな発見があります。
メロディの扇情度は歴代OPETH作品の中で一番かも。2008年の初単独来日公演ではアンコールでプレイされた名曲#4のイントロは美しさとトリップ感を併せ持つ新感覚メロディだし。
12分の叙事詩的大作であるタイトル曲#8も長尺を感じさせない巧みな構成がカッコ良くて最高。
禍々しいリフ、清廉なアコギ等OPETHの魅力がバランス良く満載された名盤です。

Black Water Park

OPETH / Deliverance

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OPETHの2002年6th。前作Blackwater Park よりブルータル面を増量。メロウ・サイドをフィーチャーしたDamnation と対になる作品でもあります。ブルータル増量とはいえメロディアスな部分は健在で、#1の中間部リフレインなんて新鮮な感じのメロディが印象的だし、#2でも一旦落としたパートではアコギが大活躍しています。振り幅が大きくなった分、味わい深くなった印象です。これは楽曲単位でもそうだしアルバム単位にもいえる事で、10分以上の大作群の中での静かなインスト小曲#4が良いアクセントとなり、大魔王の行進曲みたいな#5のイントロのヘヴィーな衝撃力を増しています。
ミカエル・オーカーフェルトは天才ですね。

Deliverance

OPETH / Damnation

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CDの白いレーベル面がメロウ・サイドであることを主張しているかのようなOPETHの2003年7th。全編クリーン・ヴォイスで歌われ、部分的にメロトロンも使用されている。ミカエルの個人的70年代趣味を表現した作風とも言え、こういう形で作品にすることで色々整理がついたのだろう。自作での飛躍的な音楽性向上に繋がっている。クリーンな音色で紡がれるエレキのソロにも最近のギタリストからは感じられない味わいが。

Damnation

OPETH / Ghost Reveries

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OPETHの2005年8th。前作・前々作は自らの可能性の限界に挑戦するという実験的意味合いもあったのだろう。わざと制約を設ける中で持ち味のブルータルなアグレッションやメロウ・サイドの各々にさらに磨きをかけることに成功した彼らがそれらを全て混ぜ合わせて再構築することによって、既に完成の域にあった音楽性のさらなるステップ・アップを実現させている。新たに正式参加したSPIRITUAL BEGGARSでお馴染みペル・ヴィヴァリ(Key)によるハモンド/エレピ/メロトロンが彩りを加え、もはや他者の追随を許さない孤高の域に達した感がある。#1は21世紀最高のプログレッシブ・メタル楽曲だと言い切ってしまいくらい完成度が高い、OPETHの魅力が最高レベルで発揮された名曲。 Ghost Reveries

OPETH / The Roundhouse Tapes

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OPETHの2006年11月9日ロンドン公演を収録したライヴ、2007年リリース。当日の模様がMCも含め忠実に再現されており臨場感抜群。Mikaelのクリーンとグロウルを見事に使い分けたヴォーカル・パフォーマンスが静と動を見事に表現し、Peterのナイスなギター・ワークが彼らの楽曲の複雑なアレンジをライヴでも破綻無く再現。Perはディストーション・オルガンを中心としたKeyによるサポートとバッキングVoでもサウンドに厚みを持たせる事に多大に貢献している。素晴らしくタイトな演奏はメンバーのミュージシャン・シップの高さとバンドの充実ぶりを伺わせる。しかし残念ながらPeterは既に脱退。この事が2008年春にリリースが予定されている新作にどう影響するか注目です。 The Roundhouse Tapes

OPETH / Watershed

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OPETHの2008年9th。彼らの魅力は何と言ってもギャップ。不条理暴虐リフと70年代サイケ&プログレッシブ風味の奇跡的な共存。デス声とクリーンなプログレ声。そして予測不能な曲展開とふいに見せる叙情性。これらに加え、KeyのPerによるメロトロン・ハモンド・エレピ・アコピによるセピアな彩りが、OPETHの孤高性をフォロワー達の追随を許さぬレヴェルにまで高めています。実際、#3,#4,#5あたりでのキーボードの使用法は際立って個性的で、これらの曲を唯一無二の存在に。勿論、Mikaelのソング・ライティングもキレキレです。OPETH風フォークな#1が意表を突きながらも、次に来る怒涛の展開を逆に予想させ聴き手を身構えさせる絶好のウォームアップとなっている所が憎いですねー。そして変態アグレッション&プログレな#3。これは誰にもマネできませんね。続く暗黒叙情フォーク?の#4の奇妙なコード進行はALL ABOUT EVEあたりを彷彿させます。サウンドやバンドの格といった部分での広がりと奥行きを感じさせるアルバムです。 Watershed

OPETH / Heritage

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OPETHの2011年10thアルバムHeritage。リリース前の試聴会からの噂が、グロウル・ヴォイスやブルータルなリフが無いアルバムという事で密かに期待していたが、やってくれましたよミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)。ミカエルが70年代ロックのコレクターであることは有名で、これまでのアルバムでも幽玄なアコギ・パートなどにヴィンテージ・ロックの薫りを漂わせてはいましたが、それをアルバム単位でやってしまったという感じ。この路線、メロウかつ暗鬱なアルバムDamnationと似てはいますが、もっとバラエティに富んでいて躍動感もあるしロックしてもいる。何というか70年代ロック風なゴッタ煮感が良い。メロウなピアノのソロ#1で静かに幕を開け、ガツーンと来るだろうなという予想通りの#2ではありますが、以前のような無慈悲で怜悧なリフでは無く、歪んだオルガンを絡めたオールド・スクールなテイスト。ギター・リフも相変わらず不条理系の奇妙な音使いですが、サウンドも今風なディストーションというよりはもっとウォームな感じ。幽玄パートやサイケ風なパートも絡めての起伏に富んだアレンジはさすがOPETH。メロトロンの白玉とアコギをバックにミカエルの艶やかな美声が乗るメロウな序盤から、ヘヴィなパートを交えつつ神秘的なムードで展開する#3。DEEP PURPLE風な#4は(多分)シングル・コイルの単音バッキングがまんまリッチー・ブラックモアな疾走チューン。OPETHらしい音使いのリフがアクセントになり、オールド・スクールな曲調に見事に融合しています。アコギ・パートに突入してそのままフェード・アウトする意外な展開はBLACK SABBATHのようでもあります。マーティン・アクセンロット(Dr)のゴースト・ノートを活かしたグルーヴィなドラミング、ペル・ヴィヴァリ(Key)によるエレピのリフ、エキサイティングなフレドリック・オーケソン(G)のソロなど、ジャム的な要素をフィーチュアした不思議な浮遊感を持った#5。静謐でメランコリックな序盤からメロトロンとアコギをバックに7拍子の歌唱パートに移行するプログレッシブ・フォーク#6。間を有効活用した枯れたギター・ソロも又絶品。現存するバンドでこのサウンドを出せるのはOPETHだけでしょう。静かな序盤から独特の音使いによるリフを境にバンド・インする#7。妖しいパーカッションや吹き散らすフルートが70年代風暗黒ムードたっぷり。マーティン・メンデス(B)のベースがリードする#8。メロトロンにフェンダー・ローズなどヴィンテージ・キーボード、テルミン風SEを要所に散りばめたコンパクトながら起伏あるナンバー。OPETH風暗黒エレクトリック・フォークから、メロウなアコギ・パートを経て、抑えた泣きのギター・ソロで締める#9。アコギのアルペジオをバックにしたマイルドなツイン・リードのハーモニーが美しい#10。はっきり言って70年代風テイストはOPETHのオリジナルでは無いし、新鮮なアイディアというわけでも無い。それでもこのアルバムが素晴らしいのは、そういった先人達のアイディアを吸収し我が物とした上でしっかりとOPETHの持ち味に融合させてしまっているところ。特に、何でも詰め込み過ぎの昨今の音楽シーンにあって、「無音」を活かした音作りが巧み。このあたりはミックスを担当したスティ−ヴン・ウィルソンからの影響かも。ジャケット・アートはお馴染みのトラヴィス・スミス。サイケな色調が珍しいですね。右下の落ちかかった顔は本アルバムがラストとなるペル・ヴィヴァリでしょうか。ここ数作で良い仕事をしていただけに残念です。 OPETH / Heritage

陰陽座 / 鳳翼麟瞳

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男女ボーカルを擁し妖怪ヘヴィ・メタルを標榜する陰陽座の2003年4th。自らもマニアとしてヘヴィ・メタル・ファンの心理に応えたリーダー瞬火(B/Vo)の粋な計らいによる#1〜#2のドラマティックな構成で、オープニングからリスナーのハートをがっちり鷲掴み。ゴリゴリの疾走チューン#3、キー=Aでボーカルは黒猫(Vo)のみというフォーマットがお約束の忍法帖シリーズ#4、ムーディな瞬火/叙情的な黒猫の歌唱が交差し、招鬼(G)のギター・ソロが冴えるドラマティックな9分超の和風プログレッシブ・チューン#5、オールドスクールなリフとサビの黒猫のスクリームがカッコ良い#6、ヘヴィなシャッフルに乗った#7、メタル・ファンならガッツポーズしそうなカッコ良いオープニングから叙情パートも盛り込みつつ展開するメロディアスな#8、三柴 理がピアノで客演し黒猫のしっとりとしたボーカルが堪らない#9、お約束ラストのパーティ・チューン#10。一部の隙も無いアルバム構成で、オーソドックスかつメロディアスなHR/HMをベースに和風・妖怪という切り口で自らのアイデンティティを示しつつ、ありきたりには終わらないプログレッシブなスパイスも効かせた傑作です。鳳翼麟瞳

陰陽座 / 夢幻泡影

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陰陽座の2004年5th。ドラマティックな冒頭から相変わらずの陰陽座ワールドが。曲はどれも良く練られた上でネタの重複が無いので全編繰り返し楽しめる。サビがカッコ良い#3、演歌のような歌いまわしが黒猫の歌唱力の高さを証明する#6、プログレッシブで怪しい#8が好き。毎度ボーナス的扱いの最後の曲では今回は瞬火のソウルフルな歌唱が聴き所。夢幻泡影

陰陽座 / 臥龍點睛

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陰陽座の2005年6th。アルバム発表前に3ヶ月連続で発売されたシングル3部作「義経」の完成度が尋常でないくらい素晴らしかったので期待していたんだが、若干裏切られた感も。装飾を剥ぎ取ったようなドライな空間処理と淡白なアレンジが陰陽座ワールドの構築という点で見れば物足りなく感じる。「義経」がまた収録されたのもガッカリだし。必殺の名曲#4と#8の存在がかろうじてこのアルバムの価値を保つ要素になっている。特に#8は黒猫をマイNo.1メタル・クイーンたらしめたメロディック・スピード・メタルの名曲です。臥龍點睛

陰陽座 / 魔王戴天

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全国ツアーやベスト盤で話題を提供しつつも、スタジオ盤となると2年ぶりとなる陰陽座の2007年7th。オープニングに続く疾走系#2で早くもブリテュッシュ由来の古典的アレンジに和風テイストを織り込む独自の王道パターンで聞き手をKO。キャッチーな#3、ヘヴィな#4とたたみかけて忍法帖シリーズの#5では斬新なアレンジと安全地帯(古ッ!)のようなサビで意表を突いて来る。そして妖怪プログレッシブな#7の巧みな変拍子アレンジ、黒猫がしっとり艶やかに歌い上げる胸キュン・バラード#9と続き、最後は瞬火がポジティブなメッセージ・ソング#10を伸びやかに披露して大団円。というアルバム構成も完璧。前作のモヤモヤを3倍返しで吹き飛ばす快作だ。 魔王戴天(まおうたいてん)

陰陽座 / 魑魅魍魎

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陰陽座の2008年8th。瞬火が毎回、自らのマニアっぷりを隠そうともせずに施す1〜2曲目の流れ、というメタル・ファンのハートを鷲づかみにする仕掛けが今回は無し。Gソロで盛り上げといての尻切れトンボのようなエンディングは一体?スクラッチ・ノイズとピッキング・ハーモニクスを絡めたバッキングがカッコ良い#3。#4でのサビ・メロにうっすら合わせたハーモニーの練り具合、等ピンポイントではナイスな要素が点在しつつもそれを楽曲単位に昇華できないもどかしい展開の序盤戦。が、陰陽座らしい和風なおどろおどろしさの#6あたりから様相は一変。#7の舞い上がるような黒猫タンによるサビメロも、陰陽座カラー満点。続くクライマックスの#10は、黒猫タンによる美と瞬火による妖しいムードという序盤の対比、ムーディなツイン・ギターからアップテンポに移行する中盤の展開、そして黒猫タンによる台詞を合図に突入するヘヴィな終盤と、一分の隙も無く物語が紡がれたまさに妖怪ヘヴィ・メタルな秀作。中盤以降だけなら陰陽座の最高傑作ですよ。 魑魅魍魎

陰陽座 / 金剛九尾

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陰陽座の2009年9th。斗羅(Dr)がバンドを脱退し、本名の河塚篤史でサポート・ドラマーとして参加。作曲は全て瞬火(B/Vo)のペンによるもの。注目されたオープニング#1は意表を突いて、ライト感覚なサビを持つキャッチーな楽曲。サビで瞬火から黒猫(Vo)にボーカルがスイッチする瞬間の爽快感が、そう来るとは予想しつつも新鮮です。続く#2は陰陽座らしいオールド・スクールなリフがリードするメロディアスなハード・ロック。招鬼(G)と狩姦(G)による細かいフレーズのハーモニーで幕を開け、黒猫の滑らかな歌唱が乗るメタル・チューン#3。サビでの黒猫のロング・トーンが瑞々しいメロウな#4に続き、キー=A、ボーカルは黒猫のみ、というフォーマットがお馴染みの忍法帖シリーズ#5。瞬火の歌唱が映える#6。と、ここまでは陰陽座スタンダード路線。本アルバムのハイライトはここから。対になったハードな#7とシズル感溢れる黒猫の歌唱が涙を誘うバラード#8で軽くジャブを入れて、組曲#9〜11に突入。メロディアスでキャッチーなサビで黒猫の表現力を改めて証明する#9。変拍子を交えたプログレッシブでドラマティックな楽曲構成に瞬火の才能が光る9分超の大作#10。和風なメタル・リフとギター・ソロで陰陽座の個性を発揮した#11。そしていつも通りパーティ・ソングの#12で締め。全体的にリバーブが深めにかけられたプロダクションはメタルな攻撃性を殺いでいる反面、今回収録されたいつにも増してキャッチーでメロディアス路線な楽曲にはフィットしていますね。そしてそれが黒猫の歌唱を引き立てるとともに、彼女をこの狭いフォーマットの中に閉じ込めておくのが惜しい、という気持ちにもさせるんですよね・・・ 。 金剛九尾

陰陽座 / 鬼子母神

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妖怪ヘヴィ・メタルを標榜する陰陽座の10thアルバム鬼子母神。瞬火(B/Vo)書き下ろしの戯曲「絶界の鬼子母神」をベースにしたコンセプト・アルバム。初期から組曲を手掛けてきた陰陽座というか瞬火からすると意外だが、コンセプト・アルバムというスタイルは10作目にして初の試み。従来のアルバムではお約束とも言えたキー=Aで歌は黒猫(Vo)単独の「忍法帖」シリーズやラストを締める黒猫の萌え声パーティ・ソングなどの楽曲を排除、毎回 瞬火が担当するカヴァー・アートの題字を書道家の武田双雲に依頼、さらに別売りで戯曲「絶界の鬼子母神」を書籍出版するという異例づくしの展開でバンドの意気込みが伝わってきます。内容も期待に違わぬ素晴らしい出来。物語のオープニングに打ってつけのアップテンポなハード・ロック#1〜#2、巧みな拍子チェンジを交えたインテリジェントな展開を見せる至高のプログレッシヴ・メタル#8、#1と同様のピアノのテーマから怒涛の王道疾走メタルに移行し黒猫のメタル・クイーン歌唱が乗るメタル・ファンならガッツポーズ必至の#12といったメタル・チューンを軸に、#6,#11といった瑞々しい叙情バラードや、キャッチーな#7、黒猫のこぶしが効きまくった演歌スタイル歌唱とファンキーなグルーヴを融合させ物語の肝となる村の異様な風習の狂気を描く#5など、キャラの立った楽曲が揃い聴き手のイマジネーションを刺激します。余韻を残さず突如終わるエンディングも逆にドラマティックさを演出、プロデューサー瞬火の仕掛けたワナにハマりっ放しの61分超大作。パッケージ・メディアの売上が右肩下がりで、頼みの「サクッとダウンロード」でもカバーしきれない状態の音楽業界にあって、音楽を"作品"として聴かせようという真摯な姿勢が伝わってくる良い作品ですね。鬼子母神





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