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REVIEW F

FROST / Milliontown

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プロデューサー、コンポーザーのJEM GODFREY(Key/Vo)が中心となり、UKのプログレ・バンドIQのAndy Edwards(Dr)、John Jowitt(B)、ARENAのJohn Mitchell(G/再結成IT BITESでも活躍中!)らからなるプログレ・バンドFROST衝撃のデビュー・アルバム2006年作。インスト・ナンバー#1冒頭の静かなパートでの7拍子なピアノによるリフレインからバンドが勢揃いしての怒涛のヘヴィ・プログレ・パートでガッツポーズ。この音圧と若干変態っぽい不条理な転調が堪らなくイカしてます。そして、26分という長尺の#6が最大のハイライト。序盤のピアノの調べをバックに英国っぽい思索ムードなヴォーカル・パートで進行し、ズ太いシンセによるリフでグイグイとスリル満点で来るあたりはトリ肌全開。最新デジタル・シンセを惜しげも無く 大放出してのサウンド・メイキングが潔く、シャウトしないが男っぽいヴォーカルもケレン味無くて好感ですね。又なによりも、甘くは無いがキャッチーなメロディが随所に散りばめられており、なお且つスリルも豊富でカッコ良い!

Milliontown

FROST / Experiments in Mass Appeal

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英国プログレ・バンドFROSTの2008年2nd。鮮烈な印象だった1stのオープニングから一転。今回のオープニングはいきなりの思索路線。そう来たかと思わせといて、お待ちかねFROSTの代名詞とも言えるズ太いユニゾン・リフも#2で登場。ミステリアスな序盤からスケールの大きなサビを持つこの楽曲においても強力なフックとなっています。突き抜け切らない高揚感(英国モノはこのサジ加減が大事!)を持つ#3のサビは思わず肩が揺れる程POPでグルーヴィ。その後の変態的アンサンブルとの落差が又効いてます。シンセによるディストーションギター風単音メロディに導かれ、怒涛のシンフォニックな音のシャワーに突入する#5の冒頭。これは快感です。ポルタメントを効かせたシンセの高速分散和音アルペジオが興奮に追い討ちをかけます。楽曲自体はJemお得意のデジタルグルーヴを活かしたコンテンポラリーなものですが、POPなメロディにヘヴィネスとクラブ/ダンス方面のエッセンスを加えたこのセンス。FROSTのような真にプログレスするサウンドを聴かせるバンドは他に見当たらないんじゃないでしょうか? Experiments in Mass Appeal

FROST / The Philadelphia Experiment

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英国のプログレッシブ・ロック・バンドFROSTのライブ・アルバム2010年作。ペンシルベニア州グレンサイドにて開催された、2009年5月のRoSfest(アメリカのプログレッシブ・ロック・フェスティバル)2日目に登場したバンドのパフォーマンスを収録。アルバム・タイトルは開催地近郊の都市フィラデルフィアと最新スタジオ・アルバムのタイトル名Experiments in Mass Appealから、1984年の同タイトルの映画をもじったものと思われます。メンツは、ジェム・ゴドフリー(Key/Vo)、ジョン・ミッチェル(G)、ジョン・ジョウィト(B)、デクラン・バーク(G)に、脱退したアンディ・エドワーズに代わりSPOCK'S BEARDより助っ人ニック・ディヴァリージオ(Dr)を加えた5人組。さすがに実力派のベテラン揃いとあって、スタジオ・バージョンで見せたテクニカルなキメもバッチリ。ジェム・ゴドフリーは、DISC 1 #9でプリセットの動物の鳴き声パッチでふざけたりとリラックスしたムードで、ローランドの最新デジタル・シンセを活用し、繊細なピアノからズ太いリード・シンセまで幅広いプレイを披露。アカペラ・バージョンとなったDISC 1 #8の女性スキャット・ヴォイスもまんまローランドのサンプルですね。ヴィンテージ楽器の音と人力プレイに拘り、それこそが”本物”と崇めるプレイヤーやリスナーの気持ちも分かりますが、70年代はそれら”ヴィンテージ楽器”こそ、当時最先端の機材だったはず。現代で言えば、ジェム・ゴドフリーが使用しているV-Synthなどがそうだ。こういった最新鋭の楽器の持つ可能性にインスパイアされて楽曲を創造するのもプログレッシブな姿勢だと思います。DISC 2 #3は、スタジオ・レコーディングの新曲The Dividing Line。太いデジタル・シンセのリフをベースにしたシャッフルが新鮮な序盤から、テープ逆回転、エレクトリック・ヴァイオリン等、趣向を凝らしたインストゥルメンタル・パートを包含し、キャッチーなボーカル・メロディが乗るFROSTらしい聴き応えたっぷりの16分超の楽曲に仕上がってます。DISC 3はFROSTのオフィシャル・サイトにYoutubeでちょくちょくアップされている感じのジェム・ゴドフリー撮影による42分のドキュメンタリー映像を収録した映像とThe Dividing Lineの5.1CHサラウンド・ミックスを収録したDVD。ライブを控えた地元イギリスでDISC 1 #1の行進する足音をサンプリングする様子など準備状況や、ホテルでDREAM THEATERのジョーダン・ルーデスとiPhoneの楽器系アプリで遊ぶ様子など、いつもながらハイパーなジェム・ゴドフリーの笑い声を中心にした映像が楽しい。 The Philadelphia Experiment

THE FLOWER KINGS / Back in the World of Adventures

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KAIPAロイネ・ストルト(G)のソロ・プロジェクトから発展したスウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドFLOWER KINGSの1995年1st。全10曲でインスト曲が半分。ヴォーカル曲では#1や#8のように非常にキャッチーなメロディを主軸にしながらも、場面に応じたKeyの音色チョイスやグルーヴ感、練りこまれ、時に緊張感あるアレンジ等で注意を逸らさせないインストパートがドラマティック度アップに貢献。楽曲に深みを持たせている。勿論インスト曲でも魅力は健在。というかむしろ色々とイマジネーションをかきたてられます。#6に代表される、ちょっと切ない半面希望に満ちたメロディが彼らの最大の魅力。何度でも聴きたくなるシンフォニックな音のシャワー。 Back in the World of Adventures

THE FLOWER KINGS / Retropolis


FLOWER KINGSの2nd。テーマ曲である#2冒頭の古臭いメロトロンの調べから、もう雰囲気抜群。インストパートにおいて展開されるいくつかの印象的なメロディ・ラインが各曲に所々顔を出し、このアルバムがコンセプト・アルバムであることを印象付けています。あるときはエキゾチックに、又あるときはコンテンポラリーな響きで。いつのまにか時間も場所も超越した架空の都市=RETROPOLISを旅しているような気分にさせてくれます。賑やかな雑踏に迷い込んだり、発展を象徴する巨大な建造物におののいたり、といった風にどんどん想像力を掻き立ててくれるアルバムです。シンセによるテーマの上昇フレーズが高揚感を煽るシンフォニックな#3、サックスの哀愁フレーズがエキゾチックなムードを醸しだす#6。ボーカルのリバーブ処理にロカビリーなムードを漂わせつつ、シンセのカウンター・フレーズがシンフォニックなフックとして印象的な#7。等々、ロイネの味のある歌唱、ネバリあるギターのトーン、クリケット奏法などやワウを絡めたメロディアスなプレイが、ドラマティックに場面転換する楽曲群にオーガニックな息吹を与えています。キーボードでサポートするトマス・ボ−ディン(Key)の音色選択のセンスも見事で、バリエーション豊かでいながらアルバムとして統一された色彩にまとめあげています。。 Retropolis

THE FLOWER KINGS / Stardust We Are

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FLOWER KINGSの1997年3rdは初の2枚組。オルガンのリフやサビの歌メロがカッコ良い、ドライブ感抜群のシャッフル・ナンバー#1からアクセル全開。高揚感あふれるギターのメロディや少々屈折した不条理アンサンブルのパートなど、のっけから彼らの魅力が満載された10分38秒で早くも鳥肌。その他、POPな高速5拍子がカッコ良い#12、ゆったりとした3連に乗ったポジティブなメロディのボーカル・ナンバー#16あたりが好きですね。勿論ラストの3部構成25分に及ぶタイトル曲も必聴。祈るようなボーカルが切ないパート1、ミステリアスな雰囲気のパート2、サビメロが大団円を感じさせる感動のパート3という一大叙事詩となっています。正直、アルバム通して聴くと散漫な印象もありますが、一曲一曲が各々別のドラマを持っていて飽きが来ないですね。とにかく、メロディ・リズム・ハーモニーという音楽の三要素全てにおいて、技巧と親しみやすさが高次元で融合した極上の楽曲群に圧倒されます。1度ハマると抜けられませんね。 Stardust We Are

THE FLOWER KINGS / Flower Power

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FLOWER KINGSの1999年4th。2枚組。DISC 1冒頭から約60分の組曲#1で聴き手を圧倒。得意の5拍子によるスリリングなパートや心地良いメロディ、往年のプログレを彷彿させるオルガンの響き、エキゾチックな要素、そしてユーモア・・・この組曲だけで十二分にFLOWER KINGSを味わえる。 DISC 2はバラエティに富んでます。緊張感あふれる7拍子でのサビがカッコ良い、エキゾチック&ドラマティックな#1。定番のエキゾチックでPOPな#2。オルガンが牽引する7拍子のプログレッシブPOP、#3。トマス・ボーディンのオルガンが荘厳にしてセンチメンタルな#4。POPなサビとドラマティックなインスト・パートの融合が見事な#5。ミステリアスな#6。メロディと左Chのメロトロンが印象的で美しい#7。プログレッシブ&ドラマティックなイントロから一転して美しいサビを持つ思索ナンバー#8。大仰なイントロで幕を開け様々な要素を内包しながら展開していく#9。ポジティブなムードでシンフォニックに締めくくる#10。等々、全体的に上手くまとめた印象です。 Flower Power

THE FLOWER KINGS / Alive on Planet Earth

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2000年発表の2枚組ライブ。DISC1は1998年の北米ツアー、DISC2は1999年の日本公演を収録。DISC1では正式メンバーのKeyトマス・ボーディンの代打でロバート・エングストランドがプレイ。微妙なシンセのポルタメント感が違うので名曲#1のイントロに若干の違和感も。突き抜け感が微量だが少ないんですよ。それはともかく初期の代表曲がセレクトされており、満足です。GENESISのカヴァー#5は面白いですが、カヴァー入れるなら他にもっとライブで聴きたいオリジナル曲があるのになー。この辺りの評価は人それぞれでしょうか。トマス・ボーディンのダーティなオルガンが活躍するDISC2は圧巻。特にDISC2の#4はライブ向きの良い曲ですね。それに何と言ってもロイネ・ストルトのギター・トーンが素晴らしい。官能的なトーンによるインプロビゼーションが生々しく味わえるのはライブならではです。 Alive on Planet Earth

THE FLOWER KINGS / Space Revolver

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ベースにメタル方面での活躍が有名なヨナス・レインゴールドが新加入したFLOWER KINGSの2000年5th、このバンドの魅力であるシンフォニックさはそのままに、サウンドが若干ソリッドに。同時に無国籍風エキゾチックな感じやロイネ・ストルトの中域を強調したネバリのあるギター・トーンも減退。これまでの作品に感じられた、「何が飛び出してくるか分からないドキドキ感」、「緊張感から感動のメロディへの開放」「突き抜けた高揚感」といった曲毎のドラマ性やアルバム通しての起伏も少なくなってます。 あえてレンジを狭く絞って、ストレートにしたかのような作風です。いや、悪くはないんですよ。part1と2に分けてオープニングとラストに配した#1,#10とかね。前作までの2作連発ダブル・アルバムというフォーマットに慣れると、CD1枚ってのが少々物足りない感じも。 Flower Power

THE FLOWER KINGS / The Rainmaker

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FLOWER KINGSの2001年6th。前作と同じメンツで同路線ながら、初期のポジティブなシンフォニック感も若干復活。オープニングはディレイ・ラマのようなホーミーで始まり度肝を抜き、間髪置かずヘヴィなリフを畳み掛けて不安にさせるが、すぐにハッセの抜けるような美声によるサビメロが聴けてホっと一息。#3では得意の5拍子で軽快に畳み掛ける序盤からゆったりとした後半へドラマティックに展開。キーボードとギターによるユニゾンのリフはリプライズ的に小品#10でも登場。こうした仕掛けにより、アルバム通しての一貫したカラーが感じられる所が好きですね。又、#8後半インスト部分のドラマティックなフックにハッとさせられる所なんかは初期の魅力そのまま。4〜6分のコンパクトな楽曲が中心で聴きやすく、且つ#3や#5のようなドラマも盛り込んだキャリア中盤の秀作です。 The Rainmaker

THE FLOWER KINGS / Unfold the Future

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2002年7th2枚組。#1はシンフォニックな大作でドラマティックな世界を構築。いかにもプログレなシンセによるリフが楽しめる#3は、ヨナスのベースがメロディアスに大活躍、ヘヴィで妖しい雰囲気とファンタジーが同居した#5は後半サンバ?で盛り上がるなど、やりたい放題。DISC 2もバリエーション豊か。#1は得意のヒネクレた変拍子ロカビリー?をバックにロイネ節が炸裂。ネバりのある生々しいギターも最高。ダーティなオルガンがGOODな#5ではPain of Salvationからゲスト参加のダニエル・ギルデンロウが悪魔役?で登場。#7はウットリしちゃう叙情メロディが突然変態ジャジーに変化する意外性でノックアウトですね。#9は25分超えのドラマティックな長尺曲で締めてます。得意の5拍子リフで畳み掛けるインスト部と美しすぎるサビを持つ歌部分の対比が見事。全体的にプレイ面でロイネ・ストルトの影がちょっと薄い気もするけど、その分もはや双頭といっても良いくらいのトマス・ボーディン(Key)が素晴らしいです。テクニカルなのに温かみのある音色選択とユーモアをまぶしたフレージングでサウンドを牽引してます。 Unfold the Future

THE FLOWER KINGS / Adam & Eve

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シンフォニック、アバンギャルド、スリル、叙情、時折ロカビリー!・・・様々な音楽的要素がごった煮感覚で味わえるのがTHE FLOWER KINGSの最大の魅力だと個人的に感じてますが、この2004年8thはCD1枚ということもあってかハッセ・フロベリのクリーンなVoを活かしたストレートで爽やかなシンフォニック路線にカラーが統一されてます。その分、叙情性が減少。お家芸とも言えるテクニカルなのにキャッチーな高速変拍子も皆無。雑多な要素を有機的に繋ぎ合わせてTHE FLOWER KINGSというひとつのテイストに昇華させていたロイネ・ストルトのネバりあるギターのトーンや味わいある歌唱もこの8thアルバムでは控え目です。プロデュースもしてるんで、一歩下がり俯瞰するようなスタンスで制作に関わったからかもしれません。前作に続き客演のダニエル・ギルデンロウがシアトリカルな歌唱でアクセントとなってたりしますが、やはりロイネ・ストルトにもうちょいがんばって欲しかったですね。他のプロジェクト(色々やり過ぎ!)で忙しかったんでしょうか? Adam & Eve

THE FLOWER KINGS / Paradox Hotel

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FLOWER KINGSの2006年9th。2枚組アルバム全体のトーンはもはや初期のようなスリリングなインストパートや叙情性はかなり後退し、ここ数作と同様な爽やかシンフォニック路線。レイドバックとまではいかないものの何か”角が取れた”かのような落ち着いたサウンドは正直物足りないですね。そんな中、ロイネ・ストルトがヴォーカルを取る楽曲では自らメロトロンも弾いたりと味わい深い印象を残します。その極め付けが、ロイネお得意のアダルト&叙情フレーバーが堪らないDISC1の#8。この味のある渋いヴォーカルにアコギの爪弾き、ゾワっと忍び寄るメロトロン、そしてギターによるメランコリックな必殺のリフレイン・フレーズ。ヨナス・レインゴールドのフレットレス・ベースによるソロやトマス・ボーディンの翳りの有るエレピなどアンサンブルも最高。説得力や聴き手を引き込む歌唱力はさすがロイネ。ロイネのヴォーカル曲だけに絞り込んで曲数も減らした方がアルバムとしての焦点がスッキリまとまって出来が良くなったと思いますね。 Paradox Hotel

FLOWER KINGS / The Sum of No Evil

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スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドFLOWER KINGSの2007年11st。ウーリッツァー(多分)のくぐもったトーンのフレーズが、バンド・インと共にポルタメントの効いたアナログ・シンセでリピートされると、一瞬にしてブライトなFLOWER KINGSの世界が広がるシンフォニックな#1。ハッセ・フロベリ(Vo/G)の優しい歌唱、ヨナス・レインゴールド(B)のマイルドなフレットレス・ベースのオブリガードを中心に醸し出す、あくまでもポジティブな桃源郷サウンドは相変わらずです。勿論、御大ロイネ・ストルト(G)も健在。テーマメロディをジャジーにアレンジし、アーミングを絡めてギターとは思えないニュアンスに仕上げたソロが見事です。ロイネの渋いボーカルにホーミーっぽいSEを交えてのどかにゆったり進行していく#2は、ダークなパートを経ていきなりシンフォニク&叙情的なハイライトを迎えます。そして、泉のように溢れる豊富なアイディアを具現化した様々なパートが時にジャジーに、時に壮大に、とカラフルな表情を見せて展開していく24分超の大作。ロイネの素晴らしい歌唱とギター・ソロが堪能できるバラード#3。序盤のメロトロンとマリンバが支配する静けさから、ダークでスペイシーなシンフォニック・ロックに展開する所が往年のスリリングなFLOWER KINGSを想起させる#4。トマス・ボーディン(Key)の書いた、ユーモラスなトーンのメイン・フレーズが耳を引くインストゥルメンタル・ナンバー#5。あくまでも歌モノでありながら、さりげなく重層的なアレンジとテクニシャン達による余裕のプレイでドラマティックに仕上がった#6。これまでの作品でドラマティックなムードを演出していたインスト・パートのアレンジにおいて、フュージョン風味の比重が増量、アダルトなムードが薫るシンフォニック・プログレに進化したアルバムです。The Sum of No Evil

FOTHERINGAY / Fotheringay

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FAIRPORT CONVENTIONを脱退したサンディ・デニー(Vo)が夫のトレバー・ルーカス(G)らと結成した5人組フォーク・グループFOTHERINGAYの唯一作。ボブ・ディランのカヴァー#8やトラッドのアレンジ#9を除きオリジナル・ナンバーが中心で、とりわけサンディ・デニー作の叙情的な#1、#4、#7では彼女の心に染み入るような歌唱が楽しめます。#4はさらに右CHのアコギと左CHのクリーンなエレキ・ギターのアンサンブルも絶妙で、楽曲のセンチメンタル度を増幅しております。もう一人のライター、トレバーの書いた牧歌的なフォーク・ナンバー#3、#5では、朴訥としたトレバーの歌唱にサンディのハーモニーが加わり、リラックスしたムードが漂います。エレクトリック・トラッドへの取り組みをシリアスに追求するFAIRPORT CONVENTIONでの神秘的な歌唱も素晴らしいですが、自分の音楽を自由に表現できる喜びに溢れたこのFOTHERINGAYでの伸びやかで深みのある歌唱の比ではありませんね。Fotheringay

FAIRFIELD PARLOUR / From Home to Home

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サイケデリック・ロックバンドKALEIDOSCOPEのメンバー3人を擁するプログレ・フォーク・サイケデリック・ロックバンドFAIRFIELD PARLOURの1970年1st。キーフによる渋いトーンのジャケット・アートが味わい深いです。メロトロンのストリングスが非常に高い頻度で使用されており、#1のようなメジャーなナンバーでは神々しさを、ドラマティックな#4では荘厳さを、そして#7のようなマイナー調のナンバーでは叙情を増幅してます。 とはいえ、全体のムードはポップな#2,#5や素朴な#3に代表されるほのぼのと明るい感じがメイン。前述の叙情ナンバー#7やサイケなひねりの効いた#11が良いアクセントとなっており、リラックスして楽しめます。田園ののどかさを漂わせながらも英国ならではの格調をキープした独特の美しいメロディーが、豊かなコーラスハーモニー、フルート、アコギ、そしてメロトロンによってカラフルに奏でられます。日曜の朝にぴったりです。FAIRFIELD PARLOUR / From Home to Home

FANTASY / Paint a Picture

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英国のフォーク寄りプログレ・バンドFANTASYの1973年1st。ジャケットのイメージ通りオルガン、アコギ、素朴な男性ヴォーカル・ハーモニーを中心とした牧歌的なサウンド。しかしながら決して明るくなり過ぎず、適度に湿った叙情性と若干の緊張感を保ち続けている所に個性が感じられます。ゲストのチェロやブラス、意外とハードエッジなエレキ・ギターが随所でアクセントとなっており、多彩なアレンジで各曲のキャラを立たせてます。又、あまり目立たないながらもメロトロンがうっすらと上品に使用されておりセンスの良さを伺わせます。しかし何と言ってもオルガンとアコギを中心にファンタジックなサウンドでジワジワ来る叙情フォークの#1が最高。2コーラス目、右CHのオルガンによるフリジアン・モードを使用したフレーズにもうメロメロ。こういうモーダルな響きは大好きです。Paint a Picture

FRESH MAGGOTS / Fresh Maggots

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ミック・バーゴイン(G/Vo/Vln)とリー・ドルフィン(G/Vo)によるフォーク・デュオFRESH MAGGOTSの1971年唯一作。アルペジオのフレーズを微妙に違うものにしたり、リズム楽器の不在を感じさせないミズミカルなコード・カッティングなど、2人のアコギによるコンビネーションが抜群な上に何とファズ・ギターのペンタトニックによる弾きまくりフレーズも飛び出す独特のサウンド。時には、ぴったり息の合ったギター・アンサンブルによるテンポや拍子のチェンジも繰り出してプログレッシブに迫ってきます。曲想は非トラッドながら英国的な翳りを感じさせる美しく叙情味溢れるものから、爽やかなフォーク、疾走するフォーク・ロックなど幅広く、キーフによるジャケット・アートのイメージそのままの幻想的な雰囲気も。#2のグロッケンや#5のホイッスル、又#2、#6、#9、#11ではストリングスが曲調に合わせて効果的に使用されており、1曲1曲のキャラを明確にしています。Fresh Maggots

FOGGY / Simple Gifts

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ダニー・クラークとレニー・ウェズレイによる英国のフォーク・デュオFOGGY DEW-OがFOGGYと改名しての1作目Simple Gifts。BEATLESのカヴァーなどポップな楽曲をジェントルなハーモニーを中心に、時に牧歌的なムードも漂わせながら独自の世界観で料理。プロデュースしたトニー・フーパーらSTRAWBSのメンバー3名がレコーディングに参加。オートハープやマンドリン、ヴァイオリンが牧歌的なメロディを奏でるトラッドをアレンジしたオープニングのインスト#1や、シタールを使用しドローン音に乗って展開するエキゾチックな#3など、70年代イギリスならではの要素も。また、くすんだストリングスがリコーダーの素朴な音色と絶妙のマッチングを見せる優しいナンバー#4や、洒落たピアノがリードする楽しい楽曲に、何故か霧のようなストリングスが被さって独特のムードに仕上がった#8では、STRAWBSのブルー・ウィーバーもメロトロンで大活躍。のどかなフォークを軸にプログレッシブ・ロック全盛期のスパイスが随所に効いて、なかなか飽きさせません。 Simple Gifts

FASTWAY / Fastway

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MOTORHEADの”ファスト”エディ・クラーク(G)とUFOのピート・ウェイ(B)が結成したハード・ロック・バンドFASTWAYの1983年1st。ところが、バンド名の片翼を担ったピート・ウェイはデビュー前に脱退。エディ・クラーク、元HUMBLE PIEのジェリーシャーリー(Dr)、シャウトがロバート・プラントを彷彿させる赤毛のアイリッシュ デイヴィッド・キング(Vo)の3人がクレジットされております。もうとにかく#8のプロモ・ビデオが衝撃でしたね。何だこのボーカルは!という感じで。チェカーフラッグをモチーフにしたジャケット・アートそのままのイメージでノリノリのゴキゲンなドライヴィン・ロックン・ロールを展開する#1。アンビエント感溢れるドラミングとデイヴのAH〜がセクシーな#3。アコギがリードするバラードからハード・ロックに発展する#4。ミディアム・スローなテンポでヘヴィな#5。3連パートを挿入し凝った展開で起伏を付けた#6。単音リフがファンキーなテイストを醸し出すキャッチーな#7。リフ、ドラミング、歌唱と全てがカッコ良いヒット曲#8。などなど、シンプルながらもリフの音の隙間空間に70年代風グルーヴを感じさせる英国らしいサウンドを聴かせてくれます。Fastway

FASTWAY / All Fired Up

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1984年の2nd。やってることは全然変わってない。

All Fired Up

FOCUS / Live at the Rainbow

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オランダのバンドFOCUSの1973年ロンドンのレインボウ・シアターでのライヴ。一応プログレとして括られる事が多いようですが、ギター中心の単なるフュージョンって感じです。

フォーカス・アット・ザ・レインボー(K2HD/紙ジャケット仕様)

FORTUNE / Making Gold

Making Gold

1993年スウェーデンのHMバンドデビュー作。メロディアスで透明感のあるいわゆる北欧メタル。

FOREIGNER / Double Vision

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元SPOOKY TOOTHのミック・ジョーンズ(G)と元KING CRIMSONのイアン・マクドナルド(G/Key/Reeds)がオーディションで集めた英米混合メンバーによって結成されたハード・ロックバンドFOREIGNERの2nd。軽快なハード・ロック チューン#1、キャッチーなサビと単音リフ、作曲されたスリリングでメロディアスなギター・ソロが印象的な#2、ルー・グラム(Vo)の歌唱力が光るバラード#3、アコギのフォーキーなタッチにシンセのカウンター・フレーズや美しいコーラス・ハーモニーが溶け込んだPOPな#4、ブルーズ・ロックな意匠にキャッチーなサビで意表をつく#5、ハードエッジなギター・リフに絡むSAXが個性的なハード・ロック#6、シンセによるオーケストレーションが醸し出すミステリアスなムード中にも、英国的な翳りを忘れないインストゥルメンタル・ナンバー#7。イアンのマイルドなサックス・ソロがレイドバックしたムードにぴったりな#8、ギターの単音リフにかぶさるシンセ・ストリングスが緊張感をもたらすメロディアスなハード・ロック#9、淡々と抑えたムードを構成する各パートのアレンジが絶妙な哀愁チューン#10。等々、幅広い曲想とそれを一聴したキャッチーさの中に、奥深い音楽性を忍ばせた職人肌なメロディアス・ハード・ロックが楽しめます。ダヴル・ヴィジョン(紙ジャケット仕様)

FOREIGNER / Head Games

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FOREIGNERの1979年3rd。とにかくラジオでかかりまくってたなぁ。#1とか#2。前作と比べるとちょいエレクトリック&ちょいハード。

ヘッド・ゲームス(紙ジャケット仕様)

FAIRPORT CONVENTION / Unhalfbricking

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英国のフォーク・ロック・バンドFAIRPORT CONVENTIONの1969年3rd。ボブ・ディランのカヴァー#2、#7、#8でアメリカのフォークを吸収しながらも、オリジナルの#1やサンディ・デニー(Vo)の抑揚を効かせた歌唱が映える自身のペンになる5拍子の#3では英国的な翳りも感じさせています。トラッドのエレクトリック・アレンジに挑戦した#4では一貫してモーダルなムードの中、後半のギターとゲストのデイヴ・スウォーブリックによるフィドルのインプロビゼーションを盛り込んだ独自解釈で11分超の大作に仕上げています。メンバー全員が代わる代わるリード・ボーカルを取る#8では、ディラン・ナンバーをバンドに伝えたと思しきゲストのアメリカ人フォーク・シンガー マーク・エリントンが最初のヴァースを歌っております。アルバム通しての一貫性は感じれませんが、様々な要素に貪欲に取り組みオリジナリティを確立していく過程が感じられます。Unhalfbricking

FAIRPORT CONVENTION / Liege & Lief

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FAIRPORT CONVENTIONの1969年4th。オリジナルの#1、#4、#8以外の全てがトラッドで、彼らが本格的にトラッドのエレクトリック・アレンジに挑戦した歴史的なアルバムと位置付けられています。展開が変わる後半のインスト・パートでリチャード・トンプソン(G)のエレキ・ギターとバトルを繰り広げる#3、THIN LIZZYもBlack RoseでやっていたRakish Paddyなどを含む楽しいダンス曲のメドレー#6など、前作のゲスト参加から正式メンバーに昇格したデイヴ・スウォーブリック(fiddle)のフィドルが大活躍。そんなインスト陣に負けじと、サンディ・デニー(Vo)も表現力豊かなボーカルで聴き手を引き込みます。神秘的なムード漂う#2や独特の拍子がなんとなく緊張感をもたらす#7など、割とコード固定のモーダルな展開で抑揚の出しにくいトラッドのエレクトリック・アレンジではありますが、微妙に唱法を使い分けたボーカルが非常に魅力的です。でも個人的には、サンディ・デニーが書いた牧歌的なPOPチューン#1やリチャード・トンプソン作の優しいムードな#4、叙情的な#8といったオリジナル曲の方が、リラックスして伸び伸びと歌ってる感じがして好みだったりしますね。Liege & Lief





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