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REVIEW B

BLACK SABBATH / Black Sabbath

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ヴァーティゴからのデビューとなったドゥームの祖BLACK SABBATHの1stはキーフによる色彩感覚と雰囲気が抜群なジャケからしてもう掴みはOK。「人を怖がらせる音楽」をつくるべく悪魔的なイメージを利用した彼らですが、悪魔やオカルトを暗喩として実は社会風刺的なメッセージを歌ってたりしたという工業都市バーミンガム出身ならではの社会派でもあるんです。”リフ・マスター”トニー・アイオミ(G)による独特の着想からの不気味なリフ、ジャズ・ブルーズを基本としながらもどう展開していくのか先が読めないプログレッシブな曲の展開、アコースティック・サイドの寂寥感といったSABBATHのエッセンスが盛りだくさん。デビュー作にして既に、オジー・オズボーン(Vo)のしゃがれ声、トニーのコリコリしたギター・サウンド等、唯一無二の個性が完成している点も驚異的です。今更言うまでも無いですが、後進のメタル・バンドやメタル・ファン達にとっての永遠のバイブルですね。

Black Sabbath

BLACK SABBATH / Paranoid

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BLACK SABBATHの2nd。ライブでの定番曲#1,#2,#4を収録することで代表作とされる本作ですが、BLACK SABBATHの真の魅力はそういったヘヴィな楽曲は勿論のこと、翳りと寂寥感に溢れた静かな#3やトニー・アイオミ(G)のモーダルなフレージングが効いているジャム風インストゥルメンタル#7といった幅広い音楽性を持っている部分だと思います。さらに、ドゥーミーな禍々しいリフから一転してアップテンポのパートに移行する#5や、印象的なパートがブロック単位で組み合わされ先の読めない展開を生み出すプログレッシブ・チューン#7などが、バンドとしての演奏力と楽曲構成力の高さを象徴。単なるヘヴィ・ロック・バンドでは終わらないスケールの大きさを示した名盤です。

Paranoid

BLACK SABBATH / Master of Reality

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BLACK SABBATHの1971年3rd。前作で試みたリフの積み重ねと意外性を持ったプログレッシブな展開による楽曲構成を推し進めた初期の代表作。引きずるようなヘヴィなリフをベースにアップテンポな中間部のジャムを内包する#1。高揚感あるキャッチーなリフとボーカル・パートのヘヴィ・リフが対比する#2。トラッドっぽい雰囲気でいながらエレキ・ギターを使用したことで独特のニュアンスを持つ#4のイントロ的なインスト#3。パーカッションが妖しいムードを増幅する怒涛の3連チューン#4はラストの墓場風SEがナイス。そしてリフ・マスター トニー・アイオミ(G)が別の一面を見せる端整なアルペジオが美しいアコギのインスト#5。一転して#6は超ド級のヘヴィ・リフをイントロに中間部では叙情的なギター・ソロが印象的なドゥーム・チューン。そして本アルバムの影のハイライトが#7。ギーザー・バトラー(B)が奏でる淡々としたベース・ラインの上を寂寥感たっぷりなフルートとオジー・オズボーン(Vo)のボーカルが漂う実に英国的な暗さと静寂を持った曲です。シンプルかつヘヴィなリフを持つ#8も中間部のテンポ・チェンジがアクセントとなっています。楽曲毎の起伏ある展開とアルバム通しての静と動の配置が巧みで、完全にBLACK SABBATHとしてのスタイルを確立した孤高の一枚です。Master of Reality

BLACK SABBATH / Vol.4

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BLACK SABBATHの1972年4th。トニー・アイオミ(G)の叙情的なオープニング・ソロ、オジー・オズボーン(Vo)が歌うミクソリディアン・モードのメロディと緩急によるヒネリを加えた展開が印象的な#1。ヘヴィな躍動感がリードする中、神秘的とも言えるパートが挿入された#2。シンプルなピアノとスペイシーなメロトロンによる伴奏をバックにした寂寥感漂う美しいバラード#3。サウンド・エフェクトをフィーチャーした実験的な#4。ギーザー・バトラー(B)のうねるベース・ラインとビル・ワード(Dr)のド派手なシンバル・ワークがリードするタテ乗りビートの#5。ヘヴィなリフに叙情味を加えドラッグをテーマにした構築度の高い代表曲#6。ドゥーミーなオープニングから一転して高揚感ある歌唱パートへ展開する#7。アコギとストリングスによる美しいインストゥルメンタル・ナンバー#8。ヘヴィネスとキャッチーなリフが同居した#9。アップテンポのパートを挿入し終盤はドラマティックな展開も見せる、引き摺るようにヘヴィなドゥーム・ナンバー#10。等々、ドラッグの助けもあったのかも知れませんが、単なるヘヴィ・ロックに収まらないプログレッシブな構成を持った楽曲群が収録されたアルバムです。Black Sabbath Vol. 4

BLACK SABBATH / Sabbath Bloody Sabbath

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BLACK SABBATHの1974年5th。ヘヴィでいながらメロディアスでもあるトニー・アイオミ(G)らしいリフが牽引する#1。中間部の英国っぽいメランコリックなパートと、後のヘヴィに移行するパートのギャップが、ドラマティックさを醸し出しています。印象的なリフとワウを絡めたバッキングから染み出す邪悪なムードと、一転してポップな後半インスト・パートの対比が面白い#2。もはや単なる息抜きどころでは無い本気度を感じさせる、アコギ中心の美しすぎるインストゥルメンタル#3。ブルーズ・ロックの出自を感じさせるシンプルなシャッフル・ナンバーから、突如シンセをフィーチャーしたシンフォニック・パートが登場して度肝を抜く#4ではリック・ウェイクマン(Key)がゲスト参加しています。コンパクトにまとまったリフ、トレモロを掛けたバッキング、ドラマティックなギター・ソロと様々なアイディアが盛り込まれた#5。フィルターが効きまくったズ太いアナログシンセのリフがリードする#6。ポップで軽快なリフからフルートを絡めた叙情的なパートへの展開が新鮮な#7。アコギの叙情アルペジオから、これまたポップなリフを経てストリングスまで動員しメロディアスかつ壮大に盛り上がる#8。4thで完成させた従来のおどろおどろしいヘヴィ・ロックに、シンセやストリングスを効果的に導入したドラマティックな要素を加え、音楽性の広がりを見せたアルバム。しっとりとした質感のサウンド処理と相まって、プログレッシブ&シンフォニックなBLACK SABBATHが味わえます。Sabbath Bloody Sabbath

BLACK SABBATH / Sabotage

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1975年6th。ヘヴィで邪悪なブギ#1、お約束のアコースティックな小曲#2、ビル・ワードのトップ・シンバル連打がこれぞ暗黒ハード・ロック”な#3、と畳み掛けるアルバム序盤の流れが完璧。特に#3。突然3連になって場面転換し、中間部以降はアコースティックに展開する予測不能な所がSABBATHの魅力。続く#4も素晴らしい。ムーディ且つヘヴィな導入部とキャッチーなサビの落差が良い感じです。 ”リフ・マスター”トニー・アイオミの生々しいピッキング・ノイズがヘヴィ感を増強する#5も、一瞬叙情パートがあったかと思うとキャッチーなサビが登場する佳曲。#6は妖しく壮大なクワイヤがトニーのギター・リフと神がかり的絶妙のマッチングを見せるインスト。この構成力は凄いですね。ラストの#8もドラマティックに展開。引き摺るようなリフとドリーミーなほど美しいアコースティック・パートの落差が印象的。初期のようなおどろおどろしさは減退している分、ドラマ性は大いに向上。アルバムごとに音楽的進化を感じ取れる部分もSABBATHのおもしろさです。 Sabotage

BLACK SABBATH / Heaven and Hell

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BLACK SABBATHの1980年9th。脱退したオジー・オズボーンの後任に迎えられたのは、何とRAINBOWを脱退したロニージェイムズ・ディオ(Vo)。小気味良くドライブするリフにロニーの堂々としたコブシ回しの歌唱が乗ることで、従来の”おどろおどろしさ”に”気品”や”威厳”が取って代わった事を印象付けるオープニング・チューン#1。ロニーという新たな水先案内人を得て、リフ・マスター トニー・アイオミ(G)の創造性も大いに刺激されたのか、叙情的なアルペジオとヘヴィなリフによる対比がより鮮やかな#2。ギーザー・バトラー(B)のベースがうねる、邪悪なリフを持ちながらもコンパクトかつキャッチーに仕上がった#3。荘厳なリフとクワイヤによる硬軟織り交ぜたサウンド、表現力豊かなロニーの歌唱、スリリングな場面転換、といった最高の要素が完璧な融合を果たし、シンフォニックな様式美BLACK SABBATHの到達点となった#4。と、アナログA面の完成度は異常な程高いです。B面は、割とストレートなハード・ロック#5,#7では未だ探り合い状態のような煮え切らなさも感じられますが、疾走するカッコ良いハード・ロックにロニーのクリーンな歌唱を活かした静寂パートを織り交ぜ、ドラマティックな展開を見せる#6や、泣きのギターをフィーチャーしたBLACK SABBATHならではの叙情を感じさせる#8などを擁す事で及第点以上の出来。それまでのBLACK SABBATHの楽曲に散在していた起伏や静動といった要素が、ロニーの持ち込んだ様式美テイストとのケミストリーによって、明確に構築されたドラマティックなものに進化したHR/HM史に残る名盤。Heaven & Hell

BLACK SABBATH / Mob Rules

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ドラムがオリジナル・メンバーのビル・ワードからヴィニー・アピス(Dr)にチェンジしたBLACK SABBATHの1981年10th。ヘヴィなドライヴィング・チューン#1。シンプルなリフでありながらも、ロニー・ジャイムズ・ディオ(Vo)の歌唱によって威厳すら感じさせるソリッドなナンバーに仕上がった#2。ロニーのクリーンでメロウな歌唱が美しい序盤から一転して、ヘヴィなリフが入りドゥーミーかつドラマティックに展開する#3。シンセを使った妖しいムードのSE #4。#4から間を置かず爆発的にスタートする、跳ねるビートのブ厚いリフが超強力なハード・ロック・ナンバー#5。中盤に往年の名曲Snowblindを想起させるコード進行のメロウなパートを挿入したドラマティックな#6。トニー・アイオミ(G)とギーザー・バトラー(B)による休符を巧く使ったズ太いユニゾン・リフが、70年代風ロックのようなヘヴィなグルーヴを生み出す#7。沈み込むバラードからアップテンポのハード・ロックに移行する#8。悲痛なメロディの歌唱と弾きまくりのギター・ソロが激しく魂を揺さぶる#9。ロニーが馴染んだこともあってか、前作で一部見られたどっちつかずのロックン・ロールは影を潜め、さらに、ソングライティング面で深く関与したギーザーの影響で荘厳なムードも薄くなり、より妖しくヘヴィ・メタル然とした硬派なムードで統一された作風となっています。Mob Rules

BLACK SABBATH / Born Again

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BLACK SABBATHの1983年11th。Mob Rulesに伴うツアーを最後にロニー・ジェイムズ・ディオ(Vo)、ヴィニー・アピス(Dr)が脱退、バンドは解散の危機に追い込まれます。ところが、トニー・アイオミ(G)がソロとして制作中だったアルバムにオリジナル・メンバーのビル・ワード(Dr)とボーカルには何とイアン・ギラン(Vo)が参加。事ここに及んで、レコード会社の圧力でBLACK SABBATH名義でのリリースとなった本作。不気味でナイスなジャケット・アートは医療雑誌からインスパイアされたというか正直パクったみたいです。SABBATHの典型的パターンのひとつである疾走する爆音リフに、イアン・ギランらしいスクリームが加わり新鮮なイメージとなった#1。重く陰鬱なリフとパワフルなボーカルが融合した#5。イアン・ギランの歌い回しによりSABBATH版Highway Starみたいになった#6。沈み込む暗鬱バラード・パートから一転してヘヴィに突き抜ける場面転換でスクリームを活かした#7。リフ・マスター トニー・アイオミらしいソリッドなリフ・・・なんだけど、聴き様によってはSABBATH版Smoke on the Waterみたいな#8。等々、オリジナル・メンバーがやっている事は従来通りなのにもかかわらず、オジー期のドゥームともロニー期の様式美とも違った、イアン・ギランならではのストレートなテイストが前面に出たBLACK SABBATHが味わえます。不気味なリフに乗せた悪魔の笑い声がおどろおどろしくならず元気な高笑いになってしまった#3、みたいなミスマッチも今となってはHR/HM史に残る貴重な資産。Born Again

BLACK SABBATH / Tyr

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ロニーが去ったVoの座はトニー・マーティンが座った。歌唱はロニーそっくりで巧い。しかしこのアルバムはDrのコージー・パウエルでしょう。#3のイントロ「タカタカタッタカタッタントロロトン」だけでコージーファンはガッツポーズだ。曲中には得意のシンコペーションフレーズも。でもこのアルバム、全体的にエコー感が深くてウェット過ぎるな。サバスという名ではあるがもはや全然別物。しかし出来はいいですよ。

TYR

BLACK SABBATH / Reunion

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1997年12月5日地元バーミンガムでのオリジナルメンバーによるBLACK SABBATH再結成ライブ。名曲ばかりなのでベストアルバムとしても使えるな。やっぱりサバスはこのドロドロ感だな。

 

Reunion

BIG BIG TRAIN / The Difference Machine

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アンディ・プール(B/Key)、グレッグ・スパウトン(G/Key)による英国の2人組プログレッシブ・ロック・ユニットBIG BIG TRAINの2007年5th。ニック・ディヴァリ−ジオ(Dr/SPOCK'S BEARD)、ピート・トレワヴァス(B/MARILLION)ら、その筋のツワモノを要所に招き、2人のアイディアを余すところ無くバンド・サウンドとして具現化。ゲストプレイヤーによるヴィオラを中心に、サックス、ピアノ等でテーマ・メロディを提示した端整な#1。バンド全体で畳み掛けるアンサンブルによるアグレッションと、メロトロンを中心とした静かな叙情とで起伏を付けた展開の14分超に及ぶ実質的なオープニング・チューン#2。時折挿入されるエフェクトを掛けたヴォイスやサックスや鍵盤のソロが醒めた狂気を醸し出しています。#2の余韻をメロトロンやSEで引き継いだインストゥルメンタル小品#3。コンテンポラリーな感触のメロディアスなボーカル・チューンに、ヴィオラによる#1のテーマ・メロディを挿入し仄かな叙情を漂わせながら13分超を描き切った#4。霧のように漂うシンセの白玉が妖しくも神秘的なムードを醸成するインストゥルメンタル小品#5。透明感ある歌唱を活かした清楚なボーカル・チューン#6。コーラスと繊細なアルペジオで紡いだ神秘的で美しい静寂からメロトロンをバックにしたサックス・ソロを経て、#1のテーマ・メロディを奏でるヴィオラで統一感を持ってエンディングを迎える#7。VDGGやKING CRIMSONの不条理で強引な展開とGENESISの英国的メランコリーを高次元で融合、叙情的でありながら、あまり湿っぽくならずどこか醒めた感じのクールな質感を持った独特のサウンドが魅力です。The Difference Machine

BIG BIG TRAIN / The Underfall Yard

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英国の3人組プログレッシブ・ロック・バンドBIG BIG TRAINの2009年6th。ゲストで管や弦を加えた端整な室内楽風の部分にIslands期KING CRIMSON、メロトロンやメロディ等全体に漂う叙情味にGENESISを感じさせつつ、決して大仰にもウェットにもなり過ぎない現代的なバランス感覚で独特の個性を醸し出しています。ジェントルな男声コーラスで幕を開けるインストゥルメンタル#1から早くも、仄暗い中にも端整で温かみのある独特の質感のサウンド。押し寄せるメロトロンが圧巻の静と動の対比が見事な#2。チェロやフレンチホルンを使ったまろやかなパートと、シンセが唸りドラムが疾走するロックなパートによる緩急が溶け合った12分超の#3。ボーカル、コーラス、アコギのアルペジオを中心に瑞々しい演奏を聴かせる#4。チェロ、マンドリン、メロトロンで敷き詰めた雲の上を寂寥感を漂わせたフルートが浮遊する序盤から、思索路線の歌唱パートを経てジワジワと盛り上がる#5。オーガニックなサウンドの楽器群で丹念に紡ぎ上げ、終盤では#1のコーラス・パートをバックに劇的に盛り上がる22分超の大作#6の中間部では、元IT BITESのフランシス・ダナリー(G)が彼らしい音使いでのテクニカルなギター・ソロを、さらに、FROSTのジェム・ゴドフライ(Key)がデジタル・シンセ特有のササクレだった強烈なトーンでクレイジー&スリリング且つカッコ良いシンセ・ソロを披露。アルバム全体がお上品なムードで仕上がっているだけに、これらのソロ・パートが鮮烈に印象に残ります。又、カッコ良いフィルによる場面転換でリズムを牽引するSPOCK'S BEARDのニック・ディヴァージリオ(Dr)も全編で良い仕事をしております。彼のドラミングが適度な緊張感をもたらして、各々の楽曲に一本の芯を通してる感じなんですよね。 The Underfall Yard

BADGER / One Live Badger

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YESのトニー・ケイ(Key)を擁する英国の4人組ハードロック・バンドBADGERの1973年1st。デビュー作にしていきなりライブということで、よほど腕に自身があったのか、それとも制作予算が無かったのか・・・その辺は不明ですが演奏はタイト。鍵盤はブルース・ロックを基盤としたオルガンのプレイが中心ながら、シンセやメロトロン を効果的に使用しプログレ風味を取り入れたオリジナリティを発揮しようとの意欲が汲み取れます。メインのリフやバッキング、オブリガードなどの構築度が高い分、サビ以外の部分でのヴォーカル・メロディのラフさが気になりますね。ハードロックらしいと言えばその通りではありますが、メロディと歌唱にもう一工夫あれば#5みたいなキャッチーな曲も一段と輝きを増し、バンドそのものも違うステージに行っていたはずだ。ともあれ、メロトロン度は高いし、ライブならではの熱さとタイトな演奏が楽しめる好盤ではあります。ジャケット・アートはロジャー・ディーンOne Live Badger

THE BUGGLES / The Age of Plastic

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トレヴァー・ホーン(Vo)、ジェフリー・ダウンズ(Key)による英国のポップ・ユニットTHE BUGGLESの1980年1st。#2(邦題:ラジオスターの悲劇)のプロモ・ビデオがMTVでオンエアされて大ヒット。のっけからシンセの多彩な音色でカラフルに迫る#1。ラジオ風エフェクトを掛けたボーカルとTOTO風ホルンを始めとするシンセ、女性コーラスでデコレイトした#2。後半のギターのキメ・パートがASIAみたいですね。ヴォコーダーのコーラスを使った#4。テクノ風ロックン・ロールの#5。落ち着いた中にもカラフルなアレンジが冴え捲くる胸キュンチューン#6。タイトル=鉄腕アトムと東洋的なメロディで印象に残る#7。これもなんとなくエキゾチックなムードを湛えた#8。テクノなレゲエ#9。ズバリなタイトルとは逆にサックスのオブリガードとオルガンによるキュートなメイン・フレーズがオーガニックな質感を持った#10。これも英国人ならではのユーモアでしょうか。80年代となり70年代とは違った新しさを前面に押し出したテクノな意匠の影で、実は所々に聴かれるアレンジやシンセのオーケストレーションがプログレ風味なのが面白いです。2人はこの後何とYESに加入するもDRAMA 1作を残して脱退。トレヴァーはプロデューサーとしてYESの90125等で大成功。ジェフもASIAを結成しこれまた大成功。才能がある人はやっぱり凄いですね。The Age of Plastic

THE BUGGLES / Adventures in Modern Recording

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YESを抜けたトレヴァー・ホーン(Vo)、ジェフ・ダウンズ(Key)の2人組エレクトリック・ポップ・ユニットBUGGLESの1981年2nd。しかし実態は、ジェフ・ダウンズが#3、#4、#7の3曲にしか関わらずアルバム制作中にASIA結成に向けて脱退。オーディエンス・ノイズのSEをはじめとしたサンプリングが、後にトレヴァーがプロデュースしたYESの90125アルバム収録曲"Owner of a Lonely Heart"を彷彿させるキャッチーな#1。リズム・マシンのトボけたビートにジャズのビッグ・バンド風ホーン・セクション・サウンドが乗るユーモラスな#3。YESのDrama収録曲をプログレッシブなパーツ抜きでリメイク。神秘的なムードでダークかつしっとりと仕上がった#4。重いエレクトロニック・ビートと垂れ込める厚いシンセ・ストリングスに叙情マイナー・メロディが乗る#8。#1のクライマックスをリプライズした#9。等々、トレヴァーがほぼ一人で完成させたという経緯もあってか、弾けるようなポップスが楽しめた前作と比較すると全体的に内省的で落ち着いたテイストの仕上がりに。前作では生ドラムのロックな響きも感じられましたが、本作では皆無。全面的にドラム・マシン(フェアライト?)を使用してのクールなビート感が前述のテイストの醸成に貢献しているように、テクノな方法論がより深化しております。The Adventures in Modern Recording

BEGGARS OPERA / Pathfinder


英国のプログレッシブロック・バンドBEGGARS OPERAの1972年3rd。適度なギターの歪みとオルガンの端整なプレイ、ヴォーカル・ハーモニーが格調すら感じさせる全編フック満載のキャッチーな歌メロとアレンジで彩られた楽曲が並んでます。英国の俳優兼歌手リチャード・ハリス(「ワイルド・ギース」や「ハリー・ポッター」のダンブルドア先生役)が歌った68年のヒット曲のカヴァー#2では印象的なハープシコードを中心にオルガン、ピアノ、メロトロン など鍵盤が大活躍、テンポの緩急による場面転換や音密度の濃淡、朗々と歌い上げるヴォーカルと相まってスケールの大きなエピック・チューンに仕上がってます。他の楽曲もクラシカル風味な#1やエッジの立ったギターにオルガンが絡むハード・ロック風味な#3、メロディアスなインストゥルメンタル#6等バラエティ豊かなサウンドで飽きさせません。

Pathfinder

BILL BRUFORD / Feels Good to Me

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YESKING CRIMSONと渡り歩いたビル・ブラッフォード(Dr)のソロ・アルバム1978年作。キーボードにはHATFIELD AND THE NORTHでの渋いオルガン・サウンドが印象的なデイブ・スチュワート。#5や#8にみられるミニマルなメロディ・ラインは彼ならではだ。しかしこのアルバムではアンサンブルに徹しています。それは自分が頑張らなくてもこの人が居てくれたからでしょう。そう、Gはアラン・ホールズワース。SAXのように滑らかな変態フレーズをハンマリング&プリング中心のプレイで次々と繰り出してきます。個人的にはPOPな#6がやっぱり良いですね。全編に渡りホールズワースの天翔るGがカッコええ!デイブもピアノ、シンセ、オルガンと大活躍でバックを固めてます。 Feels Good to Me

BRUFORD / One of a Kind

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ビル・ブラッフォード(Dr)がソロ作品に参加していたメンツでバンドBRUFORDを結成。1979年作でオール・インスト。 何と言ってもデイヴ・スチュワート/Keyの独壇場。 まろやかな感触で敷き詰められたパッド系シンセ音がベースとなり、アクセントとしてホールズワースがソロを引き倒し、ジェフ・バーリンがフレットレス・ベースでするどく、そして時に甘く切り込んでくる。 ハットフィールドの時は単音歪みオルガンが印象的だったが、時代とともに機材の進化にも適応してシンセを十二分に使いこなし、それでいてエレピ等従来の機材とも上手く融合させるアレンジ・センスが冴えまくっている。 変拍子やミニマルなメロディのユニゾン等テクニカルでありながら、耳障りの良いサウンドがリスナーに余計な緊張感を与えない優れたアルバム。 One of a Kind

BRUFORD / Gradually Going Tornado

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ビル・ブラッフォード(Dr)のジャズ・ロック・バンドBRUFORDの1980年2nd。脱退したアラン・ホールズワースの後任として、”無名の”ジョン・クラーク(G)が加入。前任者ほどの変態度は無いものの、なかなかテクニカルなプレイを披露しております。5曲の作曲を手がけるサウンドのキーマン、デイヴ・スチュワート(Key)は時代を背景にしたシンセによるバッキング・プレイにますますプロデューサー的才能を発揮。ジェフ・バーリン(B/Vo)のヘタウマ・ボーカルを中心にトリッキーなリズムをあしらったPOPな#1や#5などの歌モノでアレンジの冴えを見せています。また、フレットレス・ベースのメロディアスなプレイが光る#3でのHATFIELD AND THE NORTH当時とはまた違った質感の歪みトーンによるアグレッシブなプレイや、音使いがHATFIELD・NATIONAL HEALTH時代を彷彿させる#4などオルガン・ソロでも相変わらずセンスの良いプレイを聴かせています。そして、本アルバムのハイライトは何といってもバーバラ・ガスキン(Vo)、アマンダ・パーソンズ(Vo)が参加した#8。全体的にフュージョンっぽい印象の本アルバムではありますが、ノーセッツの2人による洒落た美声コーラスやNATIONAL HEALTHの楽曲 The Bryden 2-Stepのフレーズが飛び出したりと、HATFIELD・NATIONAL HEALTHのテイストが程よく溶け込んでカンタベリー風味いっぱいに仕上がっています。 Gradually Going Tornado

BARCLAY JAMES HARVEST / Barclay James Harvest

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優しいヴォーカルとアコギが醸し出すのどかなフォークとオーケストラによる荘厳な響きが融合した、独自のメロディアスなサウンドを聴かせるBARCLAY JAMES HARVESTの1970年1st。#1ではまだ荒削りでロックな部分も感じさせますが、大曲#7を初めとしてそこかしこに気品も漂わせてます。田園フォークな#2もアコギのアルペジオとストリングス、トレモロがかかったエレキ・ギターによるアンサンブルがドリーミーな空気感を醸成。壮大なオーケストレーションが格調高い#4では、終盤の美しいストリングスにうっとり。かと思うと続く#5ではサイケな薫りも芳しいノリノリなフラワー・ロックが炸裂。チープなサウンドのオルガンによるバッキングとコーラス・ワークが楽しいです。優しくも哀愁のメロディがドラム・レスで切々と紡がれる小品#6を挟み、ティンパニの重々しいリズムから幕を開ける#7はオーケストラとロック・バンドが見事に溶け合い、シンフォニックな盛り上がりを見せます。 Barclay James Harvest

BARCLAY JAMES HARVEST / Time Honoured Ghosts

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BARCLAY JAMES HARVESTの1975年8th。ツイン・ギターのハーモニーで幕を開け、中間部にメロトロン・クワイヤやオルガンを配してのゆったりしたパートを挿入した軽快な#1。うっすらとしたオルガンに乗ったサビ・メロが堪らないフォーク・タッチのバラード#2。BEATLESの曲名を繋いだ歌詞で構成された#3。と、序盤はフック満載の叙情ポップ路線。繊細なフォークからメロトロンが敷き詰められたスケールの大きなシンフォニック・ムードに展開する#4。シンセのオーケストレーションが取り入れられたドラマティックな#5。ロックなダイナミズムにオルガンやシンセのシンフォ・テイスト、アコギのもたらす叙情フォーク・タッチが融合した#6。アコギとエレキ・ギターのアルペジオがクリアな空間の広がりを演出しコーラス・ハーモニーと溶け合う#7。幻想的な#8。素朴で叙情的なフォーク・フィーリングとメロトロンやシンセによるシンフォニックな演出が融合、コンパクトながらもドラマティックな楽曲が並ぶ好盤です。 Time Honoured Ghosts

BARCLAY JAMES HARVEST / Octoberon

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BARCLAY JAMES HARVESTの1976年スタジオ7th。フォーク・タッチのサウンドで叙情フレーバー溢れるコンパクトな楽曲を中心としていた前作から一転、オーケストラを復活させクワイヤをもプラスしてシンフォニック度とスケールを大幅アップ。静かでゆったりとした哀愁フォークが、バンドとオーケストラによって徐々にスケールを増していく#1。煌びやかなアルペジオをバックにした繊細なパートから、ギターのエッジ、オルガンのグリッサンドといったロックなパーツを付加したサビに発展し、混声合唱団による厳かなクワイヤにオーケストラまで加わった感動的な終盤で圧倒する#2。オルガンと美しいコーラスが印象的な切々としたボーカル・パートを、バンドとオーケストラが一体となっての重厚で大仰なパートでサンドした#3。叙情的なサビが素晴らしい哀愁ナンバー#4。シンセのデコレーションがアクセントになった、ハギレ良いエレキ・ギターのカッティングがリードする明朗なロックン・ロール#5。中間部にメロトロンを中心としたインストゥルメンタル・パートを挿入した、ジェントルな歌声によるひねりの効いた叙情メロディが胸キュンな#6。穏やかでポジティブなムードに叙情マイナー・フレーズを織り込んだ淡い感動が、意味深な効果音と共に幕を降ろす#7。バンド中心のコンパクトなポップ・チューン#4,#6での胸キュン・メロディと、それ以外の長尺ナンバーのシンフォニックな感動がバランス良く配置されています。 Octoberon

BARCLAY JAMES HARVEST / Gone to Earth

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BARCLAY JAMES HARVESTの1977年10th。甘く優しいメロディと美しいハーモニーが絶妙な空間処理によるプロダクションでさらに引き立てられ、全編瑞々しいサウンドで全く古さを感じさせません。#3等アメリカンなテイストを感じさせる曲もあるが、単にC調なPOPに陥らないのはきっちり構築されたアレンジと独特の間が醸し出す英国ならではの気品が健在だからだと思います。凛としたアコギのカッティングに導かれる序盤から、いつしか雄大なシンフォニック・チューンへと変貌する#1。メロトロンがむせび泣く思いっきり叙情的なナンバー#4。甘いヴォーカルが胸キュンな#5。オーケストレーションがヴォーカル・ハーモニーと見事に溶け合う荘厳な#6。静けさの中に暖かみのあるハーモニーが心に染み入る#9。等々、捨て曲一切無しの良く練られたアルバム構成も見事。冬の澄んだ空気の中で聴くと体中が浄化されるかのような清涼感が味わえます Gone to Earth

BIG SLEEP / BLUEBELL WOOD

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英国ビート・ポップ・バンドEYES OF BLUEのメンバーによる変名バンドBLUEBELL WOODの1971年唯一作。メランコリックなムードのフォークやサイケをベースに一部ヴォーカル・メロディにブルーズの節回しも登場したりと、掴み所の無い良い意味での節操の無さが70年代初頭の英国ロックを体現しているアルバム。気品を感じさせるピアノのサウンドとフレージングが拡散しがちな各曲のイメージをBIG SLEEPという名の下に収束させている感じです。ゲストプレーヤーの演奏による#1のストリングスや#6のフルート、サックス等のカラフルな装飾も効果的で、不気味なジャケットとは正反対の端正で瑞々しい音楽が奏でられています。場末の酒場を彷彿させるホンキートンクなR&Rで唐突にエンディングを迎えるラスト#8の意外性も英国的なヒネリなんでしょうか。 BLUEBELL WOOD

BLUE MURDER / Blue Murder

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BLUE MURDERの1989年1st。WHITESNAKEを追い出されたジョン・サイクスがBトニー・フランクリン、Drカーマイン・アピスと結成したトリオ編成のブリティッシュHRバンド。Voはサイクスが兼任、想像以上に歌えている。トニーのフレットレスによるなめらかでメロディアスなBが、WHITESNAKEを彷彿させるスケールの大きな楽曲の中で独特のうねりを醸し出している。サイクスのGは勿論最高。自分のバンドなんで好き放題弾きまくっている。ズ太いグリッサンド、チョーキングから感情の赴くままに揺れの速さをコントロールしたヴィブラート、ピッキング・ハーモニクス、若干トレブリーなレスポール・カスタム・サウンド・・・・ TYGERS OF PAN TANGから苦節ウン年、ここに来て漸く自らの個性を確立した感がある。   Blue Murder

BLUE MURDER / Nothing But Trouble

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1993年2nd。バック陣を全とっかえ。”バンド”というよりも”プロジェクト”と言った方がしっくりくるラインナップでレコーディングされている。ソング・ライティングはより洗練され、バラエティ豊かな作風の中でハジけまくるサイクスのギターが楽しめる。ただ、良い意味でのブリティッシュな翳りは後退した感じ。翳りの中でこそ暑苦しいほどにエモーショナルなギターがより一層輝きを増すと思うんだが・・・

ナッシング・バット・トラブル

BAD MOON RISING / Bad Moon Rising

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元LIONのVoカル・スワンとGダグ・アルドリッチを中心としたHRバンドBAD MOON RISINGの1991年1st。ダグは本当に上手いギタリストだ、#4のソロなんて鳥肌クラスのカッコ良さだ。確かなハイテクとセンス良いフレージングが彼の特徴なんだが、同時にイマイチ存在感が希薄というか強烈なオリジナリティに欠けるというきらいもある。それはこのバンドそのものにも当てはまる。そんなダグも今(2007年現在)ではWHITESNAKEか・・・・

Bad Moon Rising

The BEATLES / White Album

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ザ・ビートルズ

BLACKMORE'S NIGHT / Shadow of the Moon

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レコード会社との契約消化作「Stranger In Us All」を発表後、自由の身となったRAINBOWのリッチー・ブラックモアがルネッサンス音楽とロックの融合を目指してパートナーのキャンディス嬢と組んだユニットBLACKMORE'S NIGHTの1997年1st。

シャドウ・オブ・ザ・ムーン

BLACKMORE'S NIGHT / Under a Violet Moon

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ヨーロッパ各地の中世音楽の要素をそれぞれの楽曲に持ち込んだことで前作よりトラディッショナル色が増量された1999年2nd。#16はRAINBOWの1stに収録されていた曲のセルフ・カヴァー。他の曲と同じようなテイストにアレンジされているので途中まで気付かなかった。それくらいこのアルバムのトーンは統一されているっていうわけです。

アンダー・ア・ヴァイオレット・ムーン

BLONDIE / Parallel Lines

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Parallel Lines

BLONDIE / The Best of Blondie

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The Best of Blondie

BOSTON / Boston

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アメリカのプログレッシブ・ハードロック・バンドBOSTONの1976年1st。マサチューセッツ工科大学(MIT)出身のエンジニア トム・ショルツ(G/Key)が宅録したデモテープがCBSレコードに認められデビュー。「No Synthesizers Used」「No Computers Used」のクレジット通りシンセやシーケンサー等を使用せず、緻密なオーバーダブやピック・スクラッチに空間系エフェクトを施すなど、オーガニックなテクニックで最先端かつジャケット・アートのイメージ通りのスペイシーなサウンドを創造しております。アコギのアルペジオがフェイドインし、ピック・スクラッチと共にブ厚いコード・カッティングが登場する#1。ギターの粒の細かい歪みが爽やかです。#2もアコギのカッティングと流麗なツイン・リードが印象的なロックン・ロール。オルガンのクラシカルなアルペジオにディストーション・ギターのパワー・コードが絡むドラマティックなインストゥルメンタル小品のForeplayからメドレーでLong Timeに繋がる#3。SEのオーディエンス・ノイズが興奮を呼ぶBOSTON流ロックン・ロールの#4。小気味良いブギーにクールなジャズ・オルガン風ソロとチャーチ風オルガンによる盛り上がりを挿入した#5。アコギをバックにブラッド・デルプ(Vo)の爽やかでメロディアスな歌唱が映える#6。静かなイントロから哀愁を帯びたツイン・リードギターのハーモニーがドラマティックに登場する#7。終盤のアップテンポでのパートが楽しいパーティ・ロックン・ロールの#8。キャッチーな歌メロにフック満載のドラマティックなアレンジとスペイシーなムードを持ち合わせた、時代を超越した名盤です。Boston

BOSTON / Don't Look Back

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アメリカン・プログレ・ハード・ロック・バンドBOSTONの2ndアルバム。オリジナルは1978年なので勿論LP盤しかなかったけど、当時から音質は抜群だった。そして、アルバム・スリーブには誇らしげに「No Synthesizers Used」「No Computers Used」のクレジット。ギターとオルガンのみで、こんなにスペイシーなんですよ!それは勿論、MITマサチューセッツ工科大学出身の天才トム・ショルツ(G)が生み出したエフェクト「ロックマン」に拠るところ大なわけです。それにしてもピック・スクラッチがカッコええ〜!マネしてたくさんピックをすり減らしたあの頃・・・・いや〜、#1のリフの空ピックのドライブ感ときたらもう!聴いて一瞬でワクワクしますね〜。「だ〜だ、だ〜だ、だ〜だ、だだ、ぎゅぅん!」というグリッサンドもBOSTON節ですね〜。続く#2のスペイシー感。実はオルガンがかなり効いてます。で、間髪入れずノリノリな#3。中間部のセンチメンタルなパートがキュンときますね。勿論ツイン・リード・ギターのハーモニーも最高。そして故ブラッド・デルプ(Vo)の美声が堪能できるバラード#4。2分50秒のピック・スクラッチが又効いてます。アナログではここで一旦休憩して盤をひっくり返すと、またまたノリノリな#5だ。思わず一緒にハンド・クラッピングしたくなりますね。そして、心が洗われるようなクリーンなアルペジオに導かれるBOSTON流ロックン・ロールな#6。ツイン・ギターのハモったオブリで、BOSTONらしさ爆発。で、次の#7ってイントロがなんか切ないんですよ、オルガンが効いてて。冒頭にグリスをカマしたオルガン・ソロがグッときます。そしてラスト#8はハナからツイン・リードでハートを鷲づかみ。ワウとスライドを駆使したソロが楽しいです。Don't Look Back

BOSTON / Third Stage

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アメリカのプログレッシブなハード・ロック・バンドBOSTONの前作から8年ぶりとなる1986年3rd。メドレーっぽく繋がった#2,#3,#4を挟み、ヒット・シングルとなった#1とそのメロディをアレンジしたバラード小曲#5で締める、という構成のアナログA面の完成度ときたらそれはもう異常な程です。アコギの爽やかで優しいカッティングに乗ってブラッド・デルプ(Vo)の美声が聞こえてくると、そこはもうBOSTONの世界な#1、お約束のツイン・リード・ハーモニーも健在です。独特の軽いオーバー・ドライブがかかったリフからハード・ロックに移行する#2。終盤、じらした後「1,2,3,4,Come On!」からのツイン・リードが鳥肌ものの堪らなさ。ラストのクリーンなアルペジオは教会の鐘を模したとのことです。トム・ショルツ(G/Key)がエフェクトを駆使したジェット・サウンドのSEとシアター・オルガンで作り上げたスペイシーなインストゥルメンタル・ナンバー#3。BOSTONの旅が続いている事の暗喩でしょうか、前作の2曲目The Journeyのフレーズがさりげなく挿入されております。シンプルなリフに忍ばせたヒネリとシンコペーションがドライブ感を演出するBOSTON流ロックン・ロール#4。シリーズの締めは、#1のアコギに対してこちらはウーリッツァーの控えめな音色に乗せたバラードの#5で感動的に。アナログ時代はここで余韻に浸りながらレコード盤をひっくり返すところですが、CDでもここで数秒のインターバルが設定されています。イントロ#6を冠し、感傷的なボーカル・メロディとスペイシーで壮大なギター・オーケストレーションでドラマティックに展開する#7。BOSTON流ロックン・ロール#8。ブラッドのコーラス・ハーモニーで幕を開け、Still in Loveがメドレー的に繋がった、ギターによるクラシカルなフレーズのオブリガードが印象的なロックン・ロール#9。ギター・オーケストレーションが壮大にアルバムを締めくくる#10。実態はほとんどの楽器をプレイしミックスやエンジニアリングも行うトムと看板ボーカリスト ブラッドのユニットなんですが、もはやお馴染みとなったBOSTONとしての"バンド・サウンド"が完璧かつ丁寧に紡ぎ上げられております。Third Stage

BOSTON / Walk On

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トム・ショルツ(G/Key)のライフワーク・プロジェクトBOSTONの1994年4th。オルガンとミュート気味のギターが徐々にフェードインし、ピック・スクラッチを合図にバンド・インするマイルドなメロディアス・ハード・チューン#1。リッチなクリーン・ギターのアルペジオに乗るフラン・コスモ(Vo)の声はブラッド・デルプと比べると若干ハスキーですが、サビのハイトーンもまずまず出ており安心。ギター・ソロではトムが珍しくアーミングを使ったりしている所もちょっとした変化かも。ドライヴしたギターのバッキングに爽やかなサビが乗るBOSTON定番のロックン・ロール#2。インストゥルメンタル・パートのギターのハーモニーが美しい、シンセ・ストリングスをイントロに配したバラードの#3。そして、Walk On メドレーと題された#4〜#7。アルバム中間部にこうした構成を持って来るのもまさにCD全盛時代ならでは、ということでこんな部分にも8年の歳月を感じます。抑えたトーンによるギターのフリーな独奏がディストーションONと同時にフレーズも激しく変化する#4。そのムードを引き継ぎ、スウィングしたカッコ良い単音リフが登場、メドレーのメイン・チューンであるBOSTON王道パターンのドライヴ感満点なブギ#5へ。#5のインストゥルメンタル・パート的な#6はジャムが一旦ストップし、クラシカルなオルガンとピック・スクラッチのシャワー、ギターのオーケストレーションで壮大に盛り上がるアルバム随一のハイライト。続いて再びブギに戻る#7と、構成もクール。スペイシーなインストゥルメンタル・パートを持つ#8。美しいコーラス・ハーモニーをフィーチュアした#9。ロックマンを通したギターのファットなリフとハンド・クラップが往年のBOSTONサウンドを想起させる#10。ブラッド・デルプが自身のバンド活動の為レコーディングには不参加(作曲には絡んでいる)となり、代わりにフラン・コスモが歌っていたり、#3にてシンセ・ストリングスが導入され”No Synthesizers Used”のクレジットが初めてはずされたりと、さすがに8年も間が空くと色々な変化があるもんですが、BOSTONサウンドは不変です。 Walk On

BOSTON / Corporate America

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天才トム・ショルツ(G/Key/B/Dr)率いるアメリカン・プログレッシブ・ハード BOSTONの2002年5th。前作Walk Onからは8年ぶりとなりますが、BOSTONからすれば平均ペース。ライブではベースを担当する女性メンバー キンバリー・ダーム(Vo/G/B)の弾き語りを中心にした、彼女作のフォーク・ナンバー#4、Walk Onから加入のフラン・コスモ(Vo/G)の息子、アンソニー・コスモ(G/Key)が書いた、爽やかなアメリカン風味の#2、ダークで深遠な#6、従来のBOSTONらしさに一捻り加えたメロディアスな#7、など他メンバーの才能をフィーチュア。 代名詞となったギターのハーモニーも健在、ブラッド・デルプ(Vo)の素晴らしい歌唱がシンプルなバッキングに乗る#1。意外なディスコ・ビートが異彩を放つも、サビでピック・スクラッチを合図にギター・オーケストレーションとコーラス・ハーモニーがブ厚くスペイシーに展開するとトリ肌が立つ#3。オルガンのリフにお約束のピック・スクラッチからギター・ハーモニーが絡む#5。キンバリーとゲストのチャーリー・ファレン(Vo)がデュエットを聴かせる#9。等、トムのペンになる楽曲も負けじとこれまでになくバリエーションが豊かになっています。このように音楽性を微妙にアップデートしながらも、全体の質感や爽快感など、1976年のデビュー以来四半世紀に渡ってBOSTONらしいスペイシーなサウンドはほぼ不変。リスナーである自分は、多感な思春期や就職に結婚など様々な経験を経て成長したわけですが、BOSTONの音楽に触れる度に子供の頃のワクワク感が蘇ってきます。 Corporate America





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