2017.11.01

ご挨拶 秋・・・まるで夏のような冬のような

 今日から11月。日暮れも早くなり、天高く馬肥ゆる秋、実りの秋、食欲の秋という言葉がすでにうら寂しく響く季節になりましたが、みなさま、お元気にお過ごしでしょうか。それにしても、今年ほど秋らしからぬ秋は近年なかったのではないでしょうか。10月も半ばに入り、2週末連続で超大型の台風が日本の南の海上を日本列島を沿うように北上し、またも各地に大きな被害をもたらしました。こちらは幸運にも被害がなく、胸をなで下ろしたところですが、せっかくの行楽シーズン、予定がすっかり狂ってしまわれた方もいらっしゃることでしょう。抜けるような青空に代わりどんよりとした空が広がり、清々しい風に代わり強風を伴う豪雨が降る。木枯らしが到来したとの報道も幾つか耳にしました。

 こちらはここ数日、久しぶりの快晴。大きく深呼吸したくなるような気持ち良い青空が広がり、穏やかで心地よい風に吹かれながら、そうそう、これが秋・・・と感慨に耽っていると、つるべ落としの夕闇が寒風とともにあっという間に迫り、すでに虫の音も消え去った夜の静寂を経て、とうに掛け替えている冬布団にくるまって眠りについた矢先、「ぷ〜〜〜ん。」というあの耳障りな音にすぐさま起こされ、締め切った部屋で蚊取り線香の臭いをプンプン漂わせながら寝る・・・この超季節的ともいえる不思議な光景。自然のリズムに翻弄されながら、それでも束の間の秋を今、しみじみと味わっています。


フォトエッセー 菊の花がすごい!

 10月に入り菊のシーズンを迎えた。庭先には数種類の菊が植えてあり、それらが真冬にかけて順次咲いていく姿をいつも楽しみにしている。今年はすでに中輪咲きの白菊が満開を過ぎ、今、ピンクのスプレー菊が見頃を迎えようとしている。毎年5月のはじめごろ、挿し芽をして菊の株を育ててきたが、このやり方はかなり大変なので、ここ数年は怠慢をして株分けで対処してきた。根っこが元気そうなので大丈夫だと思っていたが、気がついたらお気に入りの菊が幾つも消えてしまっている。土が十分に肥えていない中、数年前から化学肥料を使うのをやめてしまったことも影響したのだろうか、昨年はほとんど咲かず、ほぼ全滅状態と思っていたところ、今年の春、土中で秘かに生き延びていた株から元気な新芽が沢山出てきて、この暑い夏を見事に乗り越えたのだ。


咲きほこる白菊、本当は一本咲き?

kiku_white  元気に育った株の半分以上は、株元に挿しているプレートに「白一本」と書いている白菊だった。この菊の本来の仕立て方を私は知らないが、多分、お盆の花などで売られているような一輪花にするのが正当なのだろう。けれども私は摘蕾という作業をいつも中途半端に行い(それでも相当数の蕾を取り除く)、1茎に対し数輪の花を咲かせようとするので、この写真でもお分かりのように、大きさも形も不揃いの花が咲き乱れることになる。けれども花壇の至るところでこの白菊が次々に開花し、一帯が白の輝きを放つ光景はかなり見応えがあり、とても美しかった。ところが満開を迎えた途端、皮肉にも日本に襲来してきた台風の影響で連日雨が降り続いた。花びらが傷んでしまったのはもちろんのこと、幾十もの花弁をもつ花はその中に多量の水分を含み、その重みに耐えきれなくなった花々があちらこちらでたわんでしまった。ほんとうに残念でならない。それでも、ここまで蘇った白菊をとても嬉しく思う。


ピンク色にデコレートされたオレンジの木

kiku_pink kiku_pink2  植えてもいないのに、いつの間にかオレンジの木の根元に菊が茂り始めた。果実の木のまわりには定期的に肥料をやるので、どうしても雑草が群生してしまう。だから菊のほうが花も咲いてきれいだし、夏は木陰をつくってマルチング効果になるかも知れないとそのまま放置していた。けれどもこちらにもしっかり肥料が効いているようで、あまりにも生育がよすぎる。オレンジの木のほうが心配になり始めたが、初夏には例年どおり真っ白な花が沢山咲き、小さな実を順調に付け始めたので、更にそのまま放置した。すると、あるものはオレンジの木の枝を縫うように上へ上へと延び(写真左は最先端、2.5mほどある)、あるものはクネクネと茎をくねらせながら、とにかく日の光を求めて生長し続けた。そうこうするうちにオレンジの小さな実はいつの間にか1つ2つと枯れはじめ、パラパラと落ちていってしまった。菊の影響で、オレンジの木の栄養が不足してしまったのだろうか、それとも気候など他に原因があるのだろうか、ここまで不作(ガリガリした青く硬い実がたった2つ残っている)の年は今まで一度もなかったので、本当にショックだ。

 ところで夏を過ぎたころ、これらの菊は沢山の蕾を付け始めた。一体どんな花が咲くのだろう、この生長ぶりからするときっと野菊だろうと思い、期待もせず、摘蕾もせず、更に放置した。野菊は素朴で可愛らしいが、開花した花弁はまるでタンポポのようで、切り花としてはちょっと物足りない。それに生育が凄まじく、とうとう通行の妨げにもなり始めたので、もう抜いてしまおうかとも思い始めた。けれど何だか様子が違う。日ごとに蕾が大きくなり、ふっくらと膨らみ、きれいに色づき始めたのだ。そして次々に開花し始めた花は、なんと私の大好きなピンクのスプレー菊だった(参照 写真右)(ちなみに参照写真左の白のスプレー菊は消えてしまった1つかもしれない。これから1本でも咲いてくれることを祈るのみ)。何の手入れもしなかったので、1つ1つの花は小さく、色も薄く、花弁のカールも小さいが、とにかく花数がすごいのだ。本来ならば、木々のあちこちにオレンジの実が黄色く熟し始めるこの時期に、何とピンク色の花が咲き乱れているのだ。まったく驚く光景だ。今はまだ5分咲きほどで、木は日ごと華やかさを増し、見るたびに心が弾む。よっぽどお気に入りの場所なのだろう。一体この株を今後、どうしよう。多分、他に移植してもこんなに素晴らしい花を見せてはくれないだろう。けれどもオレンジが大好きな身としては、この事態をとても看過できない。今はただ、この素晴らしい光景を心ゆくまで楽しみたい。