2015.6.14

フォトエッセー どくだみの効用

dokudami  いつのころからか、庭の一角にどくだみ草が群生している。どくだみは別名「十薬」とも言われる薬草で、どくだみ茶には、一般によく知られる解毒作用のほか、アレルギー対策、動脈硬化予防、糖尿病予防など、10を超えるさまざまな効果があるそうだ。その名称に十分応えるように、ドクダミの葉っぱのにおいは強烈で、うっかり雑草と一緒にむしったり、踏みつけたりしようものなら、突然、脳の芯まで圧迫するような一撃をくらってしまう。この強烈さは他に例えれば、納豆の類ではなく、生のニンニクの匂いだ。臭覚に加え、皮膚感覚での刺激も受けるから、ひょっとしてこれは毒草ではないかと小さな恐怖心さえ覚え、身構えてしまう。
 ドクダミは梅雨に入る前の5月下旬ころから、白い花(実はこれは葉っぱで、花粉のように見える中央の黄色い部分が花であるのだが)をつけ始めるのだが、この花が何とも言えず可愛らしく、濃い緑の生き生きとした葉っぱとともに、とても魅力的だ。だからこの時期は、ほんの数本ではあるのだが、いつも切り花にして花瓶に飾っていた。(可愛らしいので思わず近づくと、やっぱりドクダミであることを再認識させられて、ショックを受ける。)
 ところが昨年、母の友人からドクダミは肌によくて、化粧水として使っているという話を聞いた。時期を同じくして、京都に住むハーブ研究家のベネシアさんが、ある番組で、ドクダミ化粧水の作り方を紹介していた。わが家もずっと以前から、アロエ化粧水を使い続けているので、とても興味を持ち、即、実行した。作り方は簡単で、ドクダミの葉っぱとアロエとホワイトリカー(もしもあれば、柚子の種:ペクチンによるゼリー効果)を消毒した瓶に入れて、涼しい場所に置くというだけ。
 ドクダミから受ける強烈な圧迫感に耐えながら、葉っぱをきれいに洗い、それを適当な大きさに切って、瓶に入れていった。そしてホワイトリカーを注いだところ・・・何とも不思議!いつの間にか、それまでの匂いが嘘のように消えて、ほのかな芳香に変わっていたのだ! 2ヶ月後、葉っぱを取り出すときには、更にまろやかな芳香になっていた。それまでのアロエ化粧水はあまりいい匂いではなかったので、使うのがとても楽しみになった(新鮮なうちの方が香りはよい)。
 ところでこの化粧水の効用であるが、乾燥しがちな冬に起きる皮膚のかゆみもすっかりなくなったし、最近、虫にかぶれて赤くブクブクになったところに、このどくだみ化粧水をつけたところ、さっと腫れが引いたのには、本当に驚いた。ドクダミの効用、恐るべし!
 体にいいと分かると、見方も変わるから、何とも身勝手だ。それまでは、丈夫な根を張り、群生領域をどんどん広げていくドクダミ草を「本当に困ったものだ」と苦々しく思いながら、まるで雑草のようにぞんざいに引き抜いていたのであるが、今は「だって、十薬だからね。これくらい強烈じゃないと効かないよね。」などとこの匂いを肯定的に受け入れながら、1本1本、丁寧に摘み取っている。
 ドクダミ茶は疲労回復にも効くという。乾燥させたドクダミの葉っぱと茎をジッパー付きのビニール袋に入れて冷凍し、これから向かう厳しい夏バテ対策に備えている。