2013.9.18

東京オリンピック・パラリンピック開催決定によせて

 一昨日、大型の台風18号が日本列島を縦断し、本州を中心に各地で甚大な被害が続出しました。こちらは台風の進路から大きく外れていたにも関わらず、16日未明強風が吹き荒れ、台風の被害の大きさを実感させられました。東日本大震災を始めとして、ここ数年、尋常でない気象現象や凄まじい規模の自然災害が日本各地で起こっていますが、それらは、世界の科学者たちによる膨大なデータの詳細な分析によれば、世界各地で連鎖反応的に起こっているということが分かってきたようです。東日本大震災以来、たびたびメディアでも取り上げられていますが、日本では、過去の地殻変動や現在のプレートの動きなどから、南海トラフや関東直下型地震に対する備えが早急に叫ばれています。震災から2年半以上経つ現在でさえ、その復興作業は一向に進まず、多くの方々が仮設住宅での生活を強いられ、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水問題はますます困難を極めています。地球温暖化による影響とも指摘されている、近年稀に見る記録的な猛暑、豪雨、竜巻などによる被害の傷跡はどこもとても深く、その復旧作業には、今後も途方もない時間がかかることでしょう。

 そんな中、7年後の東京オリンピック・パラリンピック開催が決定し、その招致成功に、今、日本中が沸いています。先日の全国世論調査によれば、それも追い風となって安倍内閣支持率は上昇し、日本の未来に明るい展望を思い描く人々が増えました。

 どんなことであれ、純粋で正当な理念のもと、人々がある目的に向かって一致団結して、栄光を勝ち取るということは素晴らしいことだと思います。けれども、震災からの復興もままならず、生の基盤を揺るがしかねないような事態にいつ直面するかも分からない状況下にあってなお、経済の活性化がすべて現状打開につながるかのごとく、積極的な招致活動を何の迷いもなく敢行し続けてきた東京都、及び政府の決断に、わたしは大きな不安、脅威、危惧の念を禁じ得ません。

 日本の原発が安全神話のもと、高度経済成長期を突っ走り、その慢心が東日本大震災で取り返しのつかない重大な人災を引き起こしたことは、承知の事実です。にも関わらず、先日行われたオリンピック・パラリンピック招致のセレモニーで首相が世界に向けて発信した「汚染水問題はすべてコントロールされている。」という無責任極まりないメッセージは、新たな安全神話、危険への第一歩を歩み始めてしまったように思えてなりません。

 東京オリンピック・パラリンピック開催までのこれからの7年間は、明るい話題が優先されていくことでしょう。けれども、地球の温暖化は確実に進み、地殻の変動も起こり続けます。激しい気象現象も相変わらず続くでしょう。自然の脅威にさらされ続けている今だからこそ、私たちは地球からのメッセージにしっかり耳を傾け、真摯に向き合うべきです。今後、本来最優先されるべき課題がなおざりにされたり、都合の悪い科学的データや真実が封印されたり、隠蔽されたりすることだけは決して許されないことだと思います(もちろん、それによって不安をあおるような偏った見解や報道がなされることは問題ですが)。それこそ、世紀を代表する一代イベントを真に成功に導くための主催者側の使命です。そして、私たち一人一人も、常に危険と隣り合わせに生きているという自覚を、どんなときも決して忘れてはいけないと思います。


 清々しい秋の到来・・・あまりにも痛ましい豊穣の季節です。それでも、一人でも多くの人が自然の恵みを感じることができますように。


フォトエッセー 中秋の名月

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明日は中秋の名月。雲ひとつない夜空に浮かび上がったお月様がとても美しい。