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UK/Ire./US/Ca. OLD WAVE A〜B

アクション・パックド/アクション ('65〜'67年作)

所有しているのは、'80年英エドセル(Edsel)から出た、裏ジャケにポール・ウェラーによる解説の載ったアナログ盤だけなので、17曲中3曲は未聴です。ザ・クリエイションと共にモッズバンド愛好家には人気の高いバンドです。ただクリエイションはドイツで人気がありましたし、ザ・フーに注目されたりと、'65〜'66年当時は明らかに分が悪かったようです。何十年も経て両者を比べてみると、指向の違いがよく分かります。アクションはより本物志向、かなりソウルフルです。ポールウェラーもその辺りを指して、SmallFacesに並ぶ存在だと断言しとりました。うーエライ!ヴォーカル、レグ・キングのスモーキー・ロビンソンばりのソウルフルな歌唱に拠るところが大きいですね。スティーヴ・マリオットのような絶叫型でない分、当時は地味な印象を受けたのかもしれません。しかし表現レベルは高く、なぜヒット曲が生まれなかったのか不思議なほどです。実力があってもプロデューサーがあのジョージマーチンでもヒットしなかったんすね。現実は厳しいのだ。 しかあし!このバンドの凄い所は諦めず活動を続け、'69年、若干のメンバーチェンジを経てマイティベイビーと改名してからの大進撃であります。'68年にはクリエイションが失速していく中、彼らはアルバムを発表しながら、'70年代個々のメンバーはセッションマンとして数々の名盤に参加しました。シャーリー・コリンズ「No Roses」、ゲイリー・ファー、シェラ・マクドナルド、サンディ・デニーのソロ、キース・クリスマスなど多くのフォークロック系作品に貢献しました。結果的に、ブリティッシュ・フォークロックの影の立役者となったのです。うーエライ!

コメント : 弊社の弊社の弊社のね♪って曲が好きです。

のだ。 : 2005年9月29日(木)

ロールド・ゴールド/アクション ('68年作)

当時デモ・レコーディングされたものの結局完成せず、棚上げにされてしまった幻のアルバムです。CDのトレイには当時のレコーディング・シートの写真が載っていて、日付は68年5月3日、LPのAB面それぞれ7曲のタイトルが載っています。このCDもそれに倣った曲順で入っています。アクションはこの時期、ギターのピート・ワトソンが抜けて、マルチ奏者のイアン・ホワイトマンとギターのマーチン・ストーンが加入して6人編成になりました。演奏力が上がったことに加えて楽曲としてどれも魅力的だし、それまでほとんどカヴァー・バンドだったことを考えれば、全曲がオリジナルですから、セールス不振にもかかわらずいかにバンドとして絶頂期にあったかがよく分かります。ちゃんと完成していたら大変な名盤になったであろうことは容易に想像できると思います。メロディは全体にポップはポップなんですが、前年の67年典型のフラワー・ポップな陽気なメロディばかりではなくて、もっと曲がりくねっているというか、70年以降のピンク・フェアリーズとかマンのようなアンダーグラウンド・ロックを先取りしたようなところがあります。彼らがマイティ・ベイビーとして参加したゲイリー・ファーの69年のファースト、‘Take Something With You’で時折顔を出すようなポップ感覚にも近いです。デモなのでコーラス、演奏に未完成な部分はありますが(レジーのヴォーカルは完璧っす)、どの曲もメロディ・センスとアレンジ・センスが光っていて高水準を保っていると思います。レジー・キングのソロに再録される“In My Dream”と“Little Boy”(この曲泣けますね)も入っています。“In My Dream”、“Love Is All”、“Follow Me”は、もうすぐそこにマイティ・ベイビーが見えますね。この後にレジー・キングが脱退するので、最高のヴォーカリストと最高のプレーヤーが揃った瞬間をとらえたアルバムてことです。こんな素晴らしいアルバムが当時世に出なかったのはたしかに残念なことですが、逆にオーヴァー・プロデュースの失敗作としてリリースされていた可能性もあるわけですから、無理矢理これで良しとしましょう!

アップタイト・アンド・アウタサイト/アクション ('66〜'67/'98年作)

ポール・ウェラーの大好きなモッズ・バンド/のちにマイティ・ベイビーに発展する名(冥)バンドの60年代のBBC音源と、98年の再結成ライヴをカップリングしたCDです。目玉はもちろん60年代音源のディスク1です。当時のBBCはセッション・テープの管理にずぼらをかましていたらしく、特にこの手のカルト・バンドとなると音質が問題になってきますが、まるでラジオの前にマイクを立てて放送を録ったかのような最初の2曲、“I’ll Keep Holding On”と“ダンス天国/Uptight”以外は、スモール・フェイシズのBBCセッションの音に近く、けっこう良好です。12曲入りで30分強ほどですが、おそらくこれでしか聞けない“Mine Exclusively”、スモーキー・ロビンソン&ミラクルズの“Going To A Go Go”、バーズの“I See You”ではいかした演奏を聞くことができます。その他、バンド後期67年のポップなシングル“Never Ever”と“Shadows And Reflections”(後者はウェラーにとってのベスト・シングルだそう)も聞けます。BBCなのでオーヴァーダブの可能性はあるものの、彼らはライヴでも卓越したコーラス・ワークがかなり重要な位置を占めていたことが分かります。アクション・ファンには十分オススメできる内容です。

98年の再結成ライヴを収録したディスク2は、ノーザン・ソウル・クラシック(一部サザンあり)のオンパレード16曲です。ヴォーカルのレジー・キングは曲によっては苦しそうだったり、ドラムスのロジャー・パウエルはところどころコケ気味だったりします。この人のハネきらないシャッフルは現役当時からなんですが、ここまで徹底すれば逆に個性になってますよね。全体的にはガタガタのライヴともいえるのかもしれませんが、全てが名曲のカヴァーなので楽しめてしまいます(大喝采のロンドンのお客さんあたたかいです)。1曲目の“Meeting Over Yonder”は、たしかスタイル・カウンシルの最初かその次の来日公演の1曲目だったはずです。当時、あまりのカッチョよさにすぐにノックアウトされましたね。その後インプレッションズのカヴァーだと知った時は「なんだスタカンのオリジナルやないんか」と一瞬落胆しましたが、おかげでインプレッションズを知ることができたという、ウェラー兄貴の相変わらずのナイス・カヴァーでした。その前にこのアクションにしてもそうだし、ザ・フー→スモール・フェイシズ、クリエイションその他モッズ・バンド→黒人音楽へと広がっていったのは、ほとんど全て兄貴のおかげっす。あにきー!

フリー・アゲイン/アレックス・チルトン ('70年作)

ボックス・トップス解散とビッグ・スター結成の間にレコーディングされ、ファースト・ソロ・アルバムとなるはずだったチルトンの幻に終わった楽曲集です。全20曲収録ですが、うち5曲はテイク違いやミックス違いとしてダブって入っているので実質15曲です。ボックス・トップスを飛び出したチルトンがビッグ・スターでの明確な音楽的路線に至るまでの間に、さて何をやろうかと当時のメインストリームにも目を配りながら模索、試行錯誤していたのがよく分かる内容となっています。タイトル・トラックと“The Happy Song”はスチール・ギターの入ったいかにもなカントリー・ロック、Aメロしかなくちょっと未完成な印象ではありますが、“The EMI Song (Smile For Me)”はキャロル・キングやトッド・ラングレンを思わせる涙チョチョ切れメロー・ナンバーっす。“All We Ever Got From Them Was Pain”はビッグ・スターのアコースティック・サイドに通じる弾き語り調で、悲しげなタイトルはここまでのチルトンらの道のりを歌った自伝的な内容なんでしょうか?ストーンズのカヴァー(“Jumpin’ Jack Flash”)を始め、数曲収録のロックンロール・ナンバーに関しては、ビッグ・スターで開花した同路線と比べてしまうと、正直魅力に欠けると思いますが、特にこのあたりにチルトンの迷いが出ていて逆に興味深いところです。総じて曲によってはファンにはたまらんCDだと思います。自分にとっては愛聴盤とはならないかもしれませんが、ボックス・トップスとビッグ・スターをつなぐ架け橋的作品として大事にしたいCDには違いないです。なお、これはもともと90年代にジャケ違いで出ていた『1970』というCD(未聴)に別テイク/ミックス、未発表曲などを追加した内容っす。特に最後の初出デモ―“If You Would Marry Me Babe ”と“It Isn’t Always That Easy”がたまらんアコースティック路線です。

EPコレクション/アニマルズ ('64〜'65年作)

80年代後半に英シー・フォー・マイルズから出たエリック・バードン率いるアニマルズのコンピです。第1期コロンビア/EMIレコ時代の全EP5枚を集めたアナログ盤で、EP盤は4曲入りなので全20曲、レコの片面に10曲というシー・フォー・マイルズおなじみのパターンです。レコ妖怪にとっては、コロンビア時代のオリジナル・アルバム2枚とこれで第1期アニマルズの正規スタジオ録音はほぼコンプリートだと思います(確証なし)。オリジナル・アルバムに未収の大ヒット曲群はこちらに全て入っています。というか2枚のオリジナル(「The Animals」と「Animal Tracks」)って選曲がマニアックすぎですよね。ほとんどブルース・マニア向けです。個人的には66年以降のデッカ・レコ時代からサンフランシスコ時代の方が好きだったりしますが、初期のヒット曲にはやはり今でも抗しがたい魅力を感じます。一方で彼らの初期音源に感じる不満が、そのサウンド・プロダクションのショボさです。ストーンズやゼム、マンフレッド・マンら同時期他のブルース系のビート・グループと比べてもそう感じませんかね。レーベル仲間だったヤードバーズと比べてもそう思います。ヴォーカルとオルガンの存在感とは反対のあまりにペラペラなギター・サウンドとリズム隊の軽さです。なので最初に第2期アニマルズのデッカ音源を聴いた時(80年代)は、そのベースのバカでかさと全体に垢抜けた音にとても驚いた記憶があります。音のショボさには本人たち(かエリック)も不満を持っていたんではないかと思うほどの劇的な変化でした。おかげでこちらは突然アニマルズ信者となってしまい、アルバム「Animalisms」「Winds Of Change」「The Twain Shall Meet」「Love Is」へと突き進んでいきましたが、今度は重すぎてだんだん遠のいていくことになりました。うまいこといかんのう〜ワレ〜。このエリック・バードンというオッサンは何でも極端に走る傾向があるんかい!そういえばろくに聞いたこともないですが、ウォーに展開していくことを考えても、多分凝り性なんでしょうね。凝り性なアーチストの方が断然好きではあるんですが、裏目に出るとリスナーもそれなりに大変な目に会ってしまいます。

アート・ギャラリー/アートウッズ ('66年作)

ロン・ウッドの兄貴アート・ウッドがヴォーカル、ドラマーにキーフ・ハートリー、オルガンにジョン・ロードが在籍したカルト・モッズ・バンド唯一のアルバムです(レパートリー・レコからのボーナス・トラック14曲追加のデジパック仕様)。このアルバムがモッズ好きから愛されているのは内容プラス、ジャケにドカンとフィーチャーされた印象的なターゲット/英国空軍マークも一因でしょうね。20代初めの頃に雑誌か何かで初めてこれを見た時は完全に釘づけになりましたよ。しかし昔からオリジナル盤は激レア、あっても1〜2万じゃすまないようなブツです。内容は当時の多くのモッズ・バンド同様、ほとんど全てが同時代のR&Bやソウルのカヴァーですが、とりわけのちのパープルを思わせるジョン・ロードのクラシカルなフレーズが出てくる何曲かが個性的です。たしかに優れたヴォーカリストを擁していた当時のメジャーなグループと比べてしまうと、アートのヴォーカルは少し魅力に欠けるかもしれませんが、演奏力は抜群で、スペンサー・デイヴィス・グループやマンフレッド・マンにも引けをとらないと思います。そして同じデッカの同年のストーンズやスモール・フェイシズよりもやたらと音がいいです。このCDは基本的にステレオなんですが各楽器の分離がすごく良くて、ひとつひとつの音が大変クリアです。特にベースとベース・ドラムがいい音で録れていて、大変気持ちいいっす。この音でこの実力でこのジャケ!ということでモッズたちから支持されるのは必然なんでした。ボーナスにはこれもおそらく原盤は大変なプレミアがついているEPやシングルから全てが収録されています。つまりこの1枚でアートウッズ・コンプリート(のはず)というわけです。ソロモン・バーク/オーティスの“Down In The Valley”、リー・ドーシーの“Can You Hear Me”、エディ・フロイドの“Things Get Better”、マーヴィン・ゲイの“One More Heartache”、そしてブッカーT&MGsの隠れた名インスト“Be My Lady”など選曲も文句なしっす。

ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク/ザ・バンド ('68年作)

米国版「リージ&リーフ」です。メンバーは、ビッグピンクでレコーディング中、毎日のようにフェアポート・コンヴェンションの「リージ&リーフ」を聴いていたそうです。  間違えました。反対でした。このアルバム、死ぬほど語り尽くされてますので、今更絶賛してもしょうがないんですが、久しぶりに聴いてみてやはり大感動してしまいました。カナダ人4人とアメリカ南部人1人による人種を超えた真のソウル・ミュージックですね。ブルー・アイド・ソウルという言葉が安っぽく聞こえる程、真のソウル・ミュージックに聴こえるのは何故なんでしょうなぁ。ドラムス、リヴォン・ヘルムの米南部人としての血。ギター、ロビー・ロバートソンの本物を見極める才能と音に対するこだわり。リチャード・マニュエルの声、歌唱。キーボード、ガース・ハドソンの音楽的素養とセンス。ベース、リック・ダンコのえーと・・男気!5人全てが各々の資質を120%発揮し、奇跡的に融合してしまったとしか言いようがないですね、それもそう長くは続かない期間。そして曲作りにディランも絡みさらに相乗効果を生んでしまったのでしょう。松平維秋(ただあき)さんという今は亡き偉大な音楽ライターが、「SMALL TOWN TALK ヒューマン・ソングをたどって...」('00 Vivid Books これ凄く面白いです)という本の中で'70年代初めに、イングランドの土とアメリカの土との違いを指摘し、フェアポートとザ・バンドを並列に語っておられました。私には、デイヴィ・グレアム、マーティン・カーシー、ウィズ・ジョーンズ、ロイ・ハーパーらに続く世代に当る、フェアポート、アンドウェラ、ロニー・レインら多くの英国人がディラン、ザ・バンドに憧れ、作り上げた英国流カントリーロックに比べると、どうしてもザ・バンドの方がより大地に根を張ったリアルな音に聴こえてしまいます。やはり創始者としての無意識な部分の為せる業なのかなあと思いました。

ザ・バンド/ザ・バンド ('69年作)

最高傑作と呼ばれることの多いセカンドです。ジャケットは、ボブディランの手による1st「ミュージックフロムザビッグピンク」より地味でシンプル、バックの茶色がそのまま内容を表しているかのようです(1stのジャケもあれはあれで内容を表しているような気もします)。全員いい面構えしてます。右から二番目の人はタガメみたいですが。1stよりも渋スルメ曲が並び、12曲中9曲がロビー・ロバートソンによる単独作品、あとの3曲も共作としてロビーが関わってます。サウンドの一貫性、アルバムとしてのまとまり、完成度から最高傑作とされてるんでしょうな。私は1stとどちらかを選べと問われたら、「るせー、どっちもじゃ」です。キンクスの「サムシング・エルス」「ヴィレッジ・グリーン」みたいなもんです。2枚セットなんです。ラスト“King Harvest”のベース、ドラムスの一体感は何度聴いてもたまらんですね。リック・ダンコのドォ、ドォーンドってラインがイカしてます。そして全体に前作よりベース音が太くなってます。リヴォン・ヘルムのベースドラムも“Across The Divide”“Up On Cripple Creek”での、ミュートのための毛布は敷かず(多分)、倍音を効かせたアタック音が心地良いです。やたらとローピッチなスネアサウンドなんて、今のロック系ベースドラムに近いくらいです。ロビーのアコギ、エレクトリックギターも1stよりさらに生音に近く、全体の印象を渋くさせてます。一つだけ欲を言えば、個人的にはやっぱり全曲リヴォンが叩いてほしかったなぁって事くらいですね。1st同様、北米200年音楽史教科書であります。

南十字星/ザ・バンド ('75年作)

やっと聴きました。‘ステージ・フライト’とR&Bカヴァー集の‘ムーンドッグ・マチネー’はなぜかピンとこず、以前手放してしまいました。ライヴ盤‘ロック・オブ・エイジズ’は聴けばさすがに凄い演奏だなあとは思いますが、それほどターンテーブルには載らないです。そんなわけでオリジナル作品としてはセカンドの‘ザ・バンド’リリース('69)から6年ぶりに「今まで無視してすまなかった・・・」アルバムになりました。全曲ロビー・ロバートソン単独作で、彼のワンマンぶりが発揮されたそうです。しかしそれでも事実上最後に全員が気合いを入れて作ったアルバムらしく、そういうところはビートルズの‘アビー・ロード’に当たるような完成度の高さがあります。セカンドの頃を思い出すような曲調の“オフェリア”や、イントロのロビーのギターとリック・ダンコの熱唱がたまらん“同じことさ!”(これは前に聴いたことがあるような・・・ラスト・ワルツだったけか?)はいうまでもないですが、ドラムスのリヴォン・ヘルム曰く、「ザ・バンドのリード・ヴォーカリストはリチャード・マニュエル」ということで、個人的には彼の声のせいで悲しい歌にさらに哀愁が漂ってしまう“浮浪者のたまり場”、“アケイディアの流木”、ラストの“おんぼろ人生”あたりが気に入ってます。どれも甲乙つけがたいですな〜。でもやっぱりリチャード独壇場の“浮浪者”が一番好きですね。聴き始めのころはさっぱり誰が誰やら分からなかったヴォーカルの主が分かってくると、“アケイディア”(1stだと“ウェイト”)のようなヴォーカルとっかえひっかえナンバーでのリチャードが断然光ってきますて。ザ・バンド印の泥臭い曲が並ぶ中、“ジュピターの谷”のサウンドには少しだけ70年代後半が見えるような気がしました。ただこのアルバム・・・例えば“The Night They Drove Old Dixie Down”や“Up On Cripple Creek”、“King Harvest”ほどの曲が入っているか?とか、“同じことさ!”は確かにいいけど、同じリックの歌う“The Unfaithful Servant”と比べてしまうとどないなもんやろか?といえば聴き込みが足らんのも手伝って今のところはまだまだセカンドには及びません。

ペット・サウンズ/ビーチ・ボーイズ ('66年作)

近所のデパートでモノラル仕様の国内CDを手に入れました。レコを含めるとたぶん3〜4回目の買い直し(挑戦)です。まずは昔にも読んだはずの山下達郎さんと萩原健太さんの解説を眉間にしわを寄せながらじっくりと読んでから臨みましたよ。たかだか音楽を聴くのにアホかお前はと思われるかもしれませんが、キンクスの「マスウェル・ヒルビリーズ」同様、自分にとってはそういうアルバムなんです。ロック史上、このアルバムと「サージェント・ペパー」だけは好き嫌いを超えたところに位置している(に違いない)と思っているので何とかしなければなりません。しかも「ペパー」が生まれるきっかけとなったアルバムです。解説にあるような革新的なアレンジメントや複雑なメロディやサウンドについては語りつくされていると思いますが、その実験性があくまでポップ・ミュージックとして昇華されているように聞こえるか?が自分にとっての最重要課題です(やっぱりアホか)。問題になってくるのが、一聴してその魅力的なメロを認めざるを得ない4曲―“Wouldn’t It Be Nice”、“You Still Believe In Me”、“Sloop John B”(これはトラッドですが)、そして“Caroline No”以外のナンバーです。今回じっくり聴いて思ったのが、「ペパー」のナンバーほどキャッチーなサビが出てこないということです。一見つかみどころがないように聞こえますが、聞き込むと楽曲全体のメロの美しさに気づくタイプが多いように感じました。表面上は黒人音楽の泥臭さ渋さはほとんどなく、あくまで洗練されているので、私が多用する「スルメ・ナンバー」というわけではなくて、楽曲タイプとして自分の中で近いのはモリッシーのスミスですかね。今回そのメロディに感動して本当に鳥肌まで立ってしまったのが、“I’m Waiting For The Day”に出てくるリコーダー(縦笛)か何かによる間奏部分です(だいぶたってから歌メロと同じだったのに気づきました)。2曲のインストと“That’s Not Me”だけは、ただ今奮闘中です。まあ、結局のところ、音楽は嗜好品ですから好き嫌い抜きで語るのは不可能なのは分かっているんですが、それでもそれを超越した音楽もあるんではないか?!と思わせるのが、これと「ペパー」すね。果たして本当にそうか?月並みですが「神のみぞ知る」です。

コメント : いやぁ、自分もこのアルバムには苦戦しましたねぇ。でも、ある時、2曲目ラスト付近の分厚いコーラスあたりから徐々に…それからはたまに聴きたくなるものになりました♪でも、90年代からよく出始めたこのアルバム以降の彼等のフォロワー的なバンドは全然駄目でしたけどね。あ、いつもお世話になりながら確か初めてトラックバックなるもの、しちゃいましたよ♪うまくいきますように…うふ♪

駄目なへど : 2011年10月16日(日)


コメント : いやあ、苦戦しますねこれは。普通の8ビートもあまり出てこないから乗れないんす。2曲目ラスト付近のコーラスは達郎そのままやんけ〜!と思いましたね。まあ、このアルバムを目指しても誰もうまくいかないでしょうね。天然の人を真似するのは無理だと思うっす。トラックバックありがとうございます。私もトラックバック返ししましたのでよろしゅうです。

駄目でスワ : 2011年10月16日(日)


プリーズ・プリーズ・ミー/ビートルズ ('63年作)

デビューアルバムです。唯一作者のクレジットが‘Lennon-McCartney’ではなく、‘McCartney-Lennon’となっているアルバムです。元々、当時ガンガンヒットを飛ばしていたアメリカンポップスのソングライターチーム、ゴフィン−キング(ジェリー・ゴフィンとキャロル・キング)夫妻に憧れてチームを組んだ二人ですから、やはりリーダーのジョンは、「俺がゴフィンでお前はキングだから順序が逆だぜよ、ポールよ」とか言ったんでしょうね。ジョンらしいです。ストラングラーズのベーシスト、ジャン・ジャック・バーネルは、ポールの影響を受けたというのを読んだことがあります。言われてみれば一曲目“I Saw Her Standing There”とストラングラーズ1stの一曲目“Sometimes”のベースラインは似ているといえば似ています。レコーディングは'63年2月という真冬で、ジョンは風邪を引いていたのか、全体通して鼻声です。“There's A Place”の「Don't you know that it's so〜」の部分は、「フォー・セール」収録の“Every Little Thing”のサビや「ラバー・ソウル」収録の“Wait”の「till I come back to your side」のようにポールのメロディ作りのひとつのクセですね。プロデューサーのジョージ・マーチンは、このアルバムをビートルズのワンステージと想定して作ったそうです。今聴くと、一発目“I Saw Her…”とラスト“Twist And Shout”の2曲が無ければ、ロックンロールアルバムではないですよね。最初と最後の衝撃度がこの当時としては桁外れだったことで、この2曲に挟まれたナンバーがリスナーに安心感を与えたのってあるのかもしれないですね。うまいことやりますジョージ・マーチンのオッサンは。

ウィズ・ザ・ビートルズ/ビートルズ ('63年作)

セカンドアルバムです。このアルバムは1st「プリーズ・プリーズ・ミー」とはかなり印象が違い、オリジナルもカヴァーも、より泥臭い黒人音楽の占める割合が増えました。モータウンのカヴァー、“Money”“Please Mr. Postman”“You Really Got A Hold On Me”の3曲もモータウンの中では、ポップソウルというよりもR&B寄りの選曲です。チャック・ベリーの“Roll Over Beethoven”も前作に入っていたとしたら、浮き上がってしまうでしょうね。サウンド的にも前作にバシバシにかかっていたリヴァーブがほとんど無くなり、より生音に近いです。ジャケ通りモノクロな印象ですね。初のジョージ作品“Don't Bother Me”の間奏のリードギターは、4,5年後のロックを予兆させるようなモダンなセンスだと思います。オリジナルもR&B調な楽曲が多く、私実際、“Little Child”はR&Bのカヴァーだったのか、レノン・マッカートニー作だったのかわからなくなる時がありますよ。適当に作ってもこれくらい出来るんだぜ!ストーンズにくれてやるよ!って感じの“I Wanna Be Your Man”は皮肉にもストーンズ・ヴァージョンの方が断然カッコいいというのはどういうことなんでしょうね。こういったシンプルなロックンロールはストーンズに軍配が上がるということかもしれませんね。“Money”に関しては、ジョンのワイルドなヴォーカルのおかげで、ストーンズといい勝負ですね。ハンブルク時代からライヴのやり過ぎで、既にこの時点でバンドが上手くなりすぎてしまったんではないかと思うくらいのまとまりのある演奏です。

ア・ハード・デイズ・ナイト/ビートルズ ('64年作)

初の全曲オリジナル作です。初期の最高傑作だと思います(初期って...いつまで初期なんでしょう?)。全13曲中、ポール主導の曲は、“Can't Buy Me Love”“And I Love Her”“Things We Said Today”くらいですね。ジョンの才能が爆発してポールを圧倒してしまったような印象です。しかも“And I Love Her”の転調して間奏へ突入するところは演歌調です。“Tell Me Why”“Can't Buy Me Love”“I'll Cry Instead”のリンゴのシャッフル・ビートは抜群のノリですね。特にシャッフルでのリンゴの右手首と指の使い方って凄いですよ!ジョン主導の中では、タイトル曲を除けば“You Can't Do That”“I'll Cry Instead”“When I Get Home”がお気に入りです。特に“You Can't Do That”は同時期の“I Call Your Name”とセットで大好きな曲です。ちょっとマージービートからはずれるというか、1,2年後に出てくる、モッズ系ブリティッシュ・ビートを先取りしたようなメロディ・センスだと勝手に思い込んでます。“I'll Cry…”はブレイクでのポールのジャジーなベースカッコいいですね、ジョージのギターはカントリーぽいですが。ポールではなぜか“Things We Said Today”が一番好きです。どこかでは中途半端な出来だとか評されてましたが、私はこの切ないメロディとサビへいくコード進行がたまらなく好きっす。

フォー・セール/ビートルズ ('64年作)

4作目です。ツアー、プロモーション活動などでレコーディングにかける時間のない中、やっつけ的に作られたアルバムです。それでも14曲中8曲がオリジナル作品というのは大したものです。印象としては前々作「ウィズ・ザ・ビートルズ」の頃に戻ってしまったかのようです。ただこちらの方がカントリー、アコースティック色強いです。バディ・ホリー、カール・パーキンスらカントリー系白人ロックンローラーのカヴァーと、オリジナルでも“I'm A Loser”“Baby's In Black”“I'll Follow The Sun”のような渋めの曲が多いせいでしょうね。あとリズム的に8ビートよりシャッフル系が多いってのもあると思います。純粋なリズム&ブルーズといえるのは、チャック・ベリーの“Rock And Roll Music”と、“Kansas City”くらいですね。リンゴがヴォーカルを取る“Honey Don't”では声が裏返ったりしてますが、いてまえ〜!オッケーオッケーってくらい時間がなかったんでしょうな。私は“Eight Days A Week”で始まるB面の方が好きです。“Every Little Thing”のドドン!とか、カントリー奏法に磨きがかかってきたジョージのギターも多く聞けるし。“I Don't Want To Spoil The Party”の間奏も渋いっす。サウンド的にはこの頃のジョージが一番初期バーズに近いですね。逆か。ラスト“Everybody's Trying To Be My Baby”のエンディングでのジョージとリンゴのコンビネーションは何万回聴いても鳥肌ですなぁ。粋で渋い大人のアルバムです。ってもまだみんな21〜24歳なんすね。首絞めたろか。

ヘルプ!/ビートルズ ('65年作)

5作目です。ここからはもう後期に向かって独自の路線へ突入ですね。カヴァーもカントリー1曲、リズム&ブルーズ1曲の2曲のみです。タイトルトラックのリズムは不思議ですよ。基本はシャッフルなんですが猛烈にテンポが速いため、8ビートに限りなく近くなってます。ビデオを見ると、リンゴのハイハットの刻み方は信じられないほど速いです。でもちゃんとハネてるんです。ここまでできるロックドラマーはそういないですよ!“Ticket To Ride”はポールだったと思いますが、「僕らが初めて挑戦したヘヴィなサウンドなんだ」と言ったそうです。確かにベースライン重いですね。という訳でこの曲は史上初のヘヴィ・メタルという事にしたいと思います。リンゴのベースドラムもこのアルバムからより前に出てくるようになりました。ほぼ全体に渡ってハッキリ聞こえるようになってます。“I've Just Seen A Face”はもうホワイトアルバムに入っててもおかしくないような曲ですね。イントロから歌に入るところはポールならではの意表のつき方です。そしてこれに続くのがうちの親父でも知っている“Yesterday”です。私が中二の時、最初に買ったビートルズのLPがこのヘルプでした。理由はイエスタデイが入っているからでした。ベタにも程がありますね。最後がラリー・ウィリアムズのカヴァー“Dizzy Miss Lizzy”です。“Yesterday”の次にこのハードロックを持ってきて終わるところが彼らのバランス感覚ですね。オレたちゃあくまでロックンロールバンドなんだぜってな!!

ラバー・ソウル/ビートルズ ('65年作)

6作目です。次作「リヴォルヴァー」と並ぶくらい人気の高いアルバムだと思います。個々の曲の充実度から言えば、確かに「リヴォルヴァー」にも勝っているかもしれませんね。ポールのファズ・ベースやフレーズなど特にベースがカッコいいアルバムでもあります。ジョンだと思いますが、”Drive My Car”のイントロのギターは一体何拍子なんでしょうか?ジョンって感覚の人だから多分無意識に弾いてるんでしょうね。“You Won't See Me”は、ここまでのアルバムの中で3分を越えた一番長い曲じゃないかしら。そしてこの曲、微妙にテンポが遅くなっていき、エンディング近くなるとかなりノロノロになってます。気が付いたのはここ10年以内です。気が付くのが遅すぎですが、バンドの一体感がそれだけ凄いという事でしょうか。自分が鈍感なだけか。ジョージの“Think For Yourself”もカッチョいいですね。このLPを買った中学生の時に、まず好きになったのはこの曲でした。但し“Michelle”だけは一度も好きになったことないです。“I'm Looking Through You”からラスト“Run For Your Life”までの5曲が非常に強力です。一番好きなのは“Wait”です。リンゴのドロロロ…と曲の疾走感がたまらなく好きです。ジョンとポールの名曲も均等に入っているし、完全にインドへ行ってしまう直前のジョージの名曲も2曲入っているし、やはり「リヴォルヴァー」といい勝負ですなぁ。

リヴォルヴァー/ビートルズ ('66年作)

7作目です。'66年の来日公演の時には、既に完成していました。来日した時、加山雄三が自分のニューアルバムをジョンにプレゼントしたそうです。後日、再会したか、電話か、手紙かわかりませんが、ジョンは加山雄三に「いいアルバムだね」と言ったそうです。私ジョンは絶対聴いてないと思います。「リヴォルヴァー」を完成させていたジョンが聴くとは思えないです。'66年8月に最後のコンサートツアーをしますから、ライヴ活動停止直前のビデオで見る日本公演はどうりで適当なステージだったわけですね。しかし少なくともポールは、プロらしく手を抜かずステージを務めているように見えます。演奏中に手を振っていたジョージは、完全にアイドルとしての自分をパロッているようにも見えます。モンティ・パイソンにも一番関わるようになる皮肉屋ジョージらしくて最高です。“Taxman”を最初聴いた時に一番衝撃だったのは、間奏のリードギターでした。'79年に流行ったザ・ナックの“マイ・シャローナ”とほぼ同時期に聴いたのですが、ああナックのサウンドはこれかと思いました。あのディストーション・ギターだけが、15年後のギターサウンドと同じに聞こえるくらい浮き上がっているように感じました。ジョンのサイケデリックな名曲が多い事で評価の高いアルバムですが、歳をとってくるとポールの“Here, There And Everywhere”“Good Day Sunshine”“For No One”の方が沁みてきたりします。でもやっぱり最高なのは“She Said She Said”かなつって若ぶったりして!つて!

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド/ビートルズ ('67年作)

一般的には最高傑作とされてますが、ビートルズ好きの中では、楽曲の出来が今ひとつと言われてます。確かにジョージの“Within You Without You”や“She's Leaving Home”はちょっと眠くなりますが、やっぱり最高傑作だと思います。前半“Fixing A Hole”までと、後半“When I'm Sixty-Four”(今年ポールは64歳ですよ!)からラスト“A Day In The Life”まではやっぱりたまりません。ところでモンティ・パイソン関係で‘ラトルズ’というビートルズのパロディ・バンドのレコードがあるのですが、このサージェントペパーズのジャケットもパロッてます。ケッサクなのが、ジャケ左側の初期4人のパロディなんです。本物の方はリンゴとポールが、ややうつむき加減で、二人とも同じ方向を向いています。そしてポールがリンゴの右肩に手を置いてます。一方ラトルズは、リンゴ役(バリー・ウォム)が完全に落ち込んだ表情でうつむいていて、ポール役(ダーク・マクイックリー)のエリック・アイドルがバリーの右肩に手を置き、バリーのほうに顔を向けいかにも「気にすんなよ、大丈夫だよ、そう落ち込むなって」って励ましの表情なんです。これ5分は笑えますよ!このためだけにラトルズのレコード買っても損しません!

マジカル・ミステリー・ツアー/ビートルズ ('67年作)

英国でEP盤2枚組として発表された、映画のサウンドトラック盤です。映画自体は、脚本一切なしの即興映画でした。当時本国では酷評だったそうですが、年々その先鋭性が見直されて、今ではそれなりの評価になってるみたいです。まず当時放映された時、一般の人たちは殆ど白黒で観たそうですから、それでは魅力半減です。今でも映画については色んな意見がありますが、音楽に関しては間違いなく素晴らしいです、'67年ですから!たったの6曲ですからこうなったら全部載せときます。“Magical Mystery Tour”“Your Mother Should Know”“I Am The Walrus”“The Fool On The Hill”“Flying”“Blue Jay Way”です。ジョージの“Flying(インスト)”と“Blue Jay Way”がいいですね。この頃のジョージは、インドナンバーよりこういったサイケナンバーの方が断然好きです。ポールの“Your Mother…”と“The Fool…”は、“Penny Lane”に始まるポール印が完全に確立されたナンバーで、こちらもノスタルジック度高しで大好きです。ジョンの“I Am The…”もカッコいい曲ですが、これは映画の演奏シーンがよりカッコいいですね。ベタ褒めし過ぎたので、文句も言っときます。“The Fool…”のリコーダー(縦笛)はヘタ過ぎです。小学生の頃、音楽の先生によく言われたタンギングがなってません!タンギングタンギングタンギング!ってな!

マジカル・ミステリー・ツアー/ビートルズ ('67年作)

【レコ妖怪向けレビュー】
アメリカ編集のLPではなくて、英国オリジナルのEP2枚組(モノラル)の方です。自分の場合、アメリカ編集の旗帯国内盤とこれを所有しているんですが、ただでさえ旗帯盤のジャケはオリジナルに比べてどのアルバムもボケボケ不鮮明なのに、付属のブックレットはまるでこのEPの写真をそのまま引き伸ばしたかのような粗さですね。76年頃に出たアメリカ編集のイギリス盤はどうなっているんでしょうか?このオリジナルEP並みに鮮明ならちょっと気になります。ただステレオしか出ていないはずなので、そこがイマイチ興味のわかないところです。とにかくこのEP盤は旗帯盤を見慣れた人にとっては衝撃的な美しさですので、ビートルズのオリジナル盤に興味の出てきた人は、EPだからといって舐めてかからないようにしましょう!レコ番号はMMT-1、そのままタイトルの頭文字なので覚えやすいです。見開きジャケットは両面コーティングで、2枚のレコがはさんであるポケット下部分のみが折り返し(フリップバック)になっています。もっとも気をつけないといけないのがブックレット真ん中の歌詞部分で、初版は水色(写真)、セカンド・プレスは黄色に変わるところです。これ基本中の基本です!1度しかいいませんので聞き逃さないようにしてください。所有のレコのマトリクス(枝番)はサイド1が-1、サイド2が-1、サイド3が-1、そしてサイド4だけが-2です。全てが-1になっているのがあるかどうかは知りません。レコ中央の穴ぼこ部分は、ドーナツ盤(穴の直径が3,8センチあるシングル盤)専用のプレーヤーに対応できるように、プッシュアウト・センターとなっています。私何度かプッシュアウトしたい衝動に駆られたことがありますが我慢しました。ブックレット最後のページに大勢が写っている白黒写真があって、必ず誰もがビートルズの4人を探すと思うんですが、昔からポールの左の太ったオバハンを挟んで子供を抱っこした人がスペンサー・デイヴィスに見えてしょうがないっす。

マジカル・ミステリー・ツアー/ビートルズ (67年作)

すでに2回とりあげた6曲入りのイギリス・オリジナル2枚組EPではなくて、11曲入りのアメリカ編集のLP(の旗帯盤EAS-80569)っす。まずはトラック・リストです。

A面: 1. Magical Mystery Tour / 2. The Fool On The Hill / 3. Flying / 4. Blue Jay Way / 5. Your Mother Should Know / 6. I Am The Walrus

B面: 7. Hello Goodbye / 8. Strawberry Fields Forever / 9. Penny Lane / 10. Baby You’re A Rich Man / 11. All You Need Is Love

A面全6曲がイギリス・オリジナル2枚組EPと同一内容、B面が67年に発表した3枚のシングルA面3曲とB面2曲の全5曲です。なんでB面は2曲だけかというと、7のB面が6だからです。自分にとっては『サージャント・ペパー』とこのアルバム2枚でビートルズのサマー・オブ・ラヴ(67年)が全てそろう!っちゅうことで大変大変大事な1枚っす。って67年の公式録音はこれで全てですよね?ただこの旗帯盤で唯一残念なのが、9が疑似ステレオである…ということです。76年だかに出たアメリカ・オリジナル盤もやっぱり擬似ステだったんでしょうか?そんなわけで、美しいステレオ・ヴァージョンの入っている青盤が今度は大事になってきます。『ペパー』ではジョンの主導曲がたったの3曲(“Lucy In The Sky With Diamonds”、“Being For The Benefit Of Mr. Kite!”、“Good Morning Good Morning”)ですから、こちらに収録の6と8と10と11で名誉挽回です。見逃せないのがジョージの4で、自分にとってはビートル・ジョージ・ナンバーの中で“タックスマン”と『アビー・ロード』収録の2曲の次くらいに好きな曲っす。『ペパー』の制作も映画『マジカル』の制作もポールが指揮をとっていたらしいですから、プロ意識が高くて仕事中毒だったに違いないポールと、プライヴェイトでそろそろおかしくなり始めていた天然ジョンのビミョーなバランス関係が奇跡の成果をもたらした時期やったと改めて思います。

ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)/ビートルズ ('68年作)

大変です!ジャケットが経年により黄ばんでしまってます(黄色すぎました!)。 30曲も入ってますが、10分もある“Revolution 9”は要らなかったと思います。この手の前衛作品は「リヴォルヴァー」の“Tomorrow Never Knows”ですでに頂点を極めたんですから!これをアルバムに入れるのに反対した、プロデューサーのジョージ・マーチンは正しかったと思います。ジョンの悪ノリが過ぎてしまったようです。ヨーコに出会って前衛芸術にかぶれてしまったようです。'66年、ヨーコの個展にジョンが訪れ、ある作品を発見しました。天井に穴が開いていて、たしか「見ろ」とかなんとか書いてあったらしいです。はしごを使って覗き込んだところ、YESという文字が書いてあり、ジョンはそれに感銘を受けたという話があります。YESがNOだったらヨーコとはそれっきりだっただろうと言ったそうです(NOだったらよかったのに…)。う〜ん…と思ってしまいます。そんなの子供だましくらいにしか思えません。昔のヨーコも今のヨーコも大嫌いです。でもジョンらしいといえばジョンらしいですね。ヨーコと出会わなくても、もともとそういう資質を持ってましたから同じような結果になってたでしょうね。“Revolution 9”を除けば、ジョンもポールも名曲ばっかりです。ポールでは“I Will”“Mother Nature's Son”“Blackbird”などのフォーク系がぐっと来ます。ジョン作もどれも好きですが、”Happiness Is A Warm Gun”がやはり凄いですね。天然ジョンが作った、なんだかわけわかんないけど名曲!だと思います。ジョージでは“Savoy Truffle”がカッコいいです。

イエロー・サブマリン/ビートルズ ('68年作)

考えたら彼らサントラ盤がやたら多いです。「プリーズ・プリーズ・ミー」から「レット・イット・ビー」までのオリジナル作品13枚に「マジカル・ミステリー・ツアー」を入れて14枚とすると、うち5枚がサントラ盤です。その中で最も聴く頻度の少ないサントラ盤がこれです。後半(B面)がジョージ・マーチンによるオーケストラで占められているせいもありますが、曲が少ない上にしょうがないことですが、“Yellow Submarine”で始まるのも原因の一つです。既に「リヴォルヴァー」と“イエローサブマリン音頭”で聴き飽きてしまっていたのでした。しかしそれ以外は腐ってもビートルズです。「マジカル…」のジョージもそうでしたが、ここでもジョージの“Only A Northern Song”“It's All Too Much”がアルバムを救ってます。特に後者のサイケナンバーは、同時期のピンク・フロイド並みにカッコいいです。ジョンでは断然“Hey Bulldog”ですね。ポールのベースラインとジョンのヴォーカルがめっちゃカッコいいハードロックナンバーです。前半ラストの“All You Need Is Love”は、なぜかそれほどいいと思ったことはないです。イントロ・コーラス部分の変拍子なんて凄いと思うんですが、サビがあんまり好きでないです。それより私の持っているこのLP(旗帯盤)の上部がカビてきてるのが気になります!

アビー・ロード/ビートルズ ('69年作)

リリースは「レット・イット・ビー」より前ですが、レコーディングは後なので、実質的なラスト作です。最後に、「サージェント・ペパーズ」以来4人が協力して、バンド一丸となったプロフェッショナルな作品です。'66年頃から才能を発揮し始め、どんどん名曲を書くようになったジョージの、ビートルズでの頂点がここでの曲だと思います。彼は解散直後に創作意欲のピークがきました。3枚組(All Things Must Pass)なんて作ってしまったほどですから!あるビートルズ本に、この作品のここまでの出来はやっぱりメンバー全員が、これが最後だと本能的に分かっていたからだろうということが書いてありました。皆この意見に同感だと思います。ツェッペリンもパープルもデビュー済みでしたし、キング・クリムゾン、ピンク・フロイド、イエスらプログレ勢も出揃ってましたし、アメリカではザ・バンドも注目されてましたから、時代の趨勢として苦しい立場にあったのは確かだと思います。悲しいことですが、運命か偶然か、ここで終わってしまったことで偉大な誰も超えられないポップバンドとしての面目が保たれたのかもしれませんなぁ(涙)。

アビー・ロード/ビートルズ (69年作)

【レコ妖怪向けレビュー】
近所ですぐにでも戦争が起こるかもしれないのに呑気なことやってますが、UKオリジナル盤(PCS 7088)です。国内旗帯盤の帯に書いてあった「A面の野性味、B面の抒情性。何人(なにびと)も否定し得ぬビートルズ・ミュージックの錬金術」ってうまいこといいますね。当時これ考えた人、ちゃんとレコ聴いたんすね。当たり前ですけど、たまに「ほんまに聴いたんかい?!」と思うようなキャッチコピーを見かけることもありますので。所有のレコは例の「レフト・アップル(左寄りアップル)」ではなく、普通のそろったやつです。マトリクスはA面が2、B面が1、“Her Majesty”表記なし、インナーバッグは真っ黒の方です。いちおうこれもファースト・プレスっちゅうのが現時点でのビートルズ研究の到達点なんですよね?なんとくだらない研究か。実は「レフトアップル」ももっていたこともあるんですが、昔ヤフオクで1万くらいで売っ飛ばしました。なんでか!ジャケがこちらの方が鮮明で美しかったからっす。レフト・アップルのジャケ全てがこれに比べてやや鮮明度で劣るのか、自分が所有していたジャケだけがそうだったのかはわかりません。久しぶりにくり返し聴いてますが、リンゴのドラムとポールのベースが本当に気持ちよいです。レコードのサウンドとしてロック・ミュージックはこの時点で最高点に達してしもて、それ以来これ以上のサウンドは作られることはなかったんじゃないかと思うほどです。で、ついでに改めて旗帯盤とオリジナル盤を聴き比べてみました。が、やはり違いは全くわかりませんでした。あくまで一般人の耳にとってはの話ですけど、この作品に関しては70年代の国内盤も十分いい音ってことだと思います。一度、ビートルズ研究家の人たちにUKオリジナル盤と非UKオリジナル盤の聴き分けテストやってみたいっすね。全曲でやるのか1曲だけでやるのかとか、盤の消耗度をどうやって合わせるのかとか、条件そろえるのがなかなか大変そうですが、おもしろそうです。

レット・イット・ビー/ビートルズ ('70年作)

実質的なラスト作は「アビー・ロード」ですが、リリースはこの作品が最後です。今から思うとやっぱりレコーディング順通り、「アビー・ロード」を最後にリリースしてたらもっとカッコよかっただろうなぁと思ったりします。しかしそれでも歴史に残る名曲がたくさん詰まっているところが、腐ってもビートルズです。フィル・スペクター・プロデュースにも関わらず、「アビー・ロード」よりも泥臭い演奏と楽曲が、また違った魅力のある作品にしています。たしかリアルタイムでこれが出た時に買ったファンの人たちは、まだ解散だと完全には信じてはなくて、実際に公式発表もされてなかったんですよね、ちょっとあやふやですが。当時のファンの人たちは、その時このアルバムを聴いてどう思ったんでしょう。ああこの出来じゃやっぱり解散も近いなと思ったんでしょうか?それとも、なんだまだまだビートルズは大丈夫じゃないかと、一安心したファンの方が多かったのかな?リアルタイムで聴いた人に話を聞いてみたいものです。

ザ・ビートルズ 1962-1966/ビートルズ

【レコ妖怪向けレビュー】
73年にリリースされた2枚組LPで通称「赤盤」です。70年代の国内旗帯盤は4600円もしましたよ。当時の2枚組国内盤はたしか普通3600円前後でしたから、東芝EMIの殿様商売だったんですかね?コラ!現在、状態良好のUKオリジナルでもセールかなんかで安ければおそらく4000円前後か、普通でももう少し張るくらいだと思います。手っ取り早くUKオリジナルの音を楽しむにはもってこいのベスト盤です。ウィキペディアで見てみたら、ジョージが選曲担当とされているのは日本だけで、海外ではブライアン・エプスタイン亡き後のマネージャーとしてやって来たアラン・クラインが選曲したっちゅう説もあるらしいです。ファースト・アルバムの「Please Please Me」から7枚目の「Revolver」までの時期からヒット曲を中心としたベスト26曲が入っていて、時期的には「Rubber Soul」時代の曲が一番多いです。しかしジョージが選曲したのだとすれば、ジョージ作で重要曲の“If I Needed Someone”や“Taxman”が入っていないところが謙虚すよね。ある程度ビートルズを聞き込んだファンの目から見れば、全体に無難なナンバーがずらーっと並んでいるだけなんですが、入門編として最適な内容っす。ビートルズの中で一番客観的にビートルズを見渡せる立場にいたジョージらしい選曲ともいえます。もし他の有名人に好みで赤盤の選曲をやってもらうとすれば、内田裕也さんとか永ちゃんの場合だとやはり1曲目は“Twist & Shout”、全体にジョン主導のロックンロール系になりそうすね。大瀧詠一さんだったらそれプラス「Please Please Me」からアメリカン・ポップス系をたくさん選びそうです。瀬戸内寂聴さんだったら反対にポール中心ですかね。高田渡さんだったら、考えるのがめんどうなのでそれぞれのアルバムから頭3曲か4曲を選んで終わりそうです。次は「青盤」です。

ザ・ビートルズ 1967-1970/ビートルズ

【レコ妖怪向けレビュー】
73年にリリースされた2枚組LPで通称「青盤」です。ビートルズのシングル史上最強のカップリングでありながら、連続1位の座を逃してしまったっちゅう“Strawberry Fields Forever” b/w “Penny Lane”の後者の美しいリアル・ステレオ・ヴァージョンが入っているだけで、自分にとっては手放せないレコっす。アメリカ盤仕様の国内旗帯盤「マジカル・ミステリー・ツアー」に入っている“Penny Lane”は、落ち着かない擬似ステレオなんすよね。この「青盤」も「赤盤」同様、UKオリジナルは今でもそれほど高くないと思います。まあ、ジャケ含めて「赤盤」とセットみたいなものなので、「赤」を買ってしまった人は自動的にこれも買うはめになります。アルバム「サージャント・ペパー」からラストの「レット・イット・ビー」までのベスト28曲で、やはり無難な選曲ですが、唯一ジョージの“Old Brown Shoe”が珍しいところです。ってなにかのブログか本で読んで「そういやそうだな」と思った記憶があります。あとさすがに「アビー・ロード」のB面メドレーは入っていません。実は自分の場合、初めて聴いてからなが〜い間このB面メドレーがイマイチ好きになれず、あまり聴かなかったんですが、たしか昔レココレに書いてあったある記事を読んで、「ああ!それでかあ!」とスゲー納得した覚えがあります。何と書いてあったかというと、「このメドレーはポールが未完成の複数の曲をなかば強引につなげてしまった側面がある」といったようなことでした。そのことを頭に入れて聴くと、たしかにそう感じるんですよね。しかし不思議なもんで、納得したおかげかそれ以降、このメドレーが大好きになりました。“Let It Be”の間奏はロックなアルバム・ヴァージョンとはフレーズも音も全く違う、トレモロ(?)エフェクトの効いた方です。たしかこっちがシングル・ヴァージョンですよね。個人的にはアルバム・ヴァージョンの方が好きっすね。おわりじゃ!

アット・ハリウッド・ボウル/ビートルズ ('64〜'65年作)

これは未だ公式CD化されていないらしいので、ファンにとっては大事な1枚だと思います。演奏者のためのモニターがなかった時代に、演奏中も鳴り止まない大歓声の中でやったライヴだったことを考えると、楽器もヴォーカルもコーラスも全く音を外さず、バンドの一体感も完璧なのが驚きですよね。が!これは64年と65年の2つのライヴを編集したレコですから、当然ジョージ・マーチンとジェフ・エメリックは選曲に当たって曲そのものとともに、プレイの出来も考慮に入れたと考えるのが自然です。で、この2つのライヴ全演奏曲目を載せてみます。※がレコ収録曲です。

1964年8月23日;

TWIST AND SHOUT YOU CAN’T DO THAT ALL MY LOVING※ SHE LOVES YOU※ THINGS WE SAID TODAY※ ROLL OVER BEETHOVEN※ CAN’T BUY ME LOVE IF I FELL I WANT TO HOLD YOUR HAND BOYS※ A HARD DAY’S NIGHT LONG TALL SALLY※

1965年8月30日;

TWIST AND SHOUT※ SHE’S A WOMAN※ I FEEL FINE DIZZY MISS LIZZY※ TICKET TO RIDE※ EVERYBODY’S TRYING TO BE MY BABY CAN’T BUY ME LOVE※ BABY’S IN BLACK I WANNA BE YOUR MAN A HARD DAY’S NIGHT※ HELP※ I’M DOWN

というわけでまだ半分残ってるんですね。果たしてこの中でしくじったのもあるんでしょうか。考えにくいですが。ぜひともコンプリート・ハリウッド・ボウルCDをリリースしてほしいっす。この24曲なら余裕で1枚のCDに入りますので、わざわざ変なボーナス・トラックを追加して2枚組にしなくてもいいですよ。ビートルズだから売れますって!個人的には特に“You Can’t Do That”と“抱きしめたい”と“みんないい娘”を聴いてみたいです。以上ビートルズ3連発でした。サンキューベリモッチ!

ヘイ・ジュード/ビートルズ (64〜69年作)

もともとは解散直後くらいに出たアメリカ編集盤(の旗帯盤)です。40年近く前に買った、このわけのわからない編集盤を今でも手放さないのはなんでか!いうと、“Rain”のステレオ・ヴァージョンが入っているからです。旗帯ナンバー34の『レアリティーズ』に入っている“Rain”はモノラル・ヴァージョンなんですね。あ、さっきわけのわからない編集盤といいましたが、よく考えたらこのあとに赤盤、青盤が出て、ほとんどの曲が再収録されたっちゅうことなんですかね?ということはこのアルバムのコンセプトっちゅうのは、つまり当時アルバム化されていなかったシングルの初アルバム化ということでよろしいでしょうか?そうならば当時は意義のあるアルバムだったということになります。ん?当時アルバム化されていなかったシングルなんて、初期にもっとなかったでしたっけ?あ、それは『オールディーズ』に収録されたんかな?でもだいぶあとに出た(80年前後?)『レアリティーズ』って初アルバム化集じゃなかったのか?もうわけわからんのでやめときます。とにかく!今となってはオリジナル・アルバムと青盤があればほとんど必要ないレコかもですね。それこそ唯一の存在意義が“Rain”のステレオ・ヴァージョンだったりして。このステレオ・ヴァージョン、リンゴのドラムが主役か!っちゅうほどど真ん中で目立ったミックスになっていて、めちゃめちゃカッコいいです。そんなとこでそうくるのか!とか、そこで終わらずにそのまま続けるのか!というリンゴ独特のフィルもすごいです。‘レコーディング・セッション’かなんかで読んだような記憶がありますが、たしかドラムのテープ・スピードを落としてテンポと音質を変えてあるんじゃなかったでしょうか。見事にハマった感じですね。ビーのシングルの中では、一番好きな“Strawberry Fields Forever”b/w“Penny Lane”の次に好きなのが“Paperback Writer”b/w“Rain”です。

レアリティーズ/ビートルズ ('63〜'70年作)

「アビー・ロード」以外のビートルズは全てLPで所有なので、自分にとってはこれでしか聞けない曲が多く、大変大変大事なレコです。めったに聞かないですが(あのね)。中でも個人的に大事な1曲が、サイケ期突入の重要曲“レイン”です。7インチ盤も1枚も持っていないので、はっきりいってこの1曲のおかげで絶対に手放せないレコです。あとは「ハード・デイズ・ナイト」収録の“ユー・キャント・ドゥ・ザット”とセットのような“アイ・コール・ユア・ネーム”と、ポールのカッチョいい“アイム・ダウン”と“シーズ・ア・ウーマン”あたりですかね。“アイ・コール・ユア・ネーム”に関しては、2枚組の「ロックンロール・ミュージック」に入っていたリアル・ステレオ(たしか)・ヴァージョンの方が本当は好きなんですが、残念ながら大昔売っ飛ばしてしまいました。今となっては後悔しています。イントロのギター・リフがかなり違っていたような記憶があります。あとの13曲は別にどうでもいいようなものばかり・・と思って久しぶりに聞いたら“ユー・ノウ・マイ・ネーム”がえらいカッコよく聞こえました。いや、やっぱりドイツ語ヴァージョン含めてどれも楽しめてしまいました。さすが腐ってもビートルズです。“サンキュー・ガール”のドラマーが本当にリンゴだとすれば、最後の短いソロは「アビー・ロード」のドラム・ソロよりも派手ですよね。“ロング・トール・サリー”後半の「マイ・ジェネレーション」化するドラムもカッコいいです(リンゴだとすれば)。オリジナル・ベスト盤の「オールディーズ」にも入っている“バッド・ボーイ”は、ジョンの「あ”あ”〜!!」部分が可笑しくて中学の時によく弟と爆笑してました。今聞くとどこが可笑しいんだかさっぱり分かりませんでした。というよりすごいグルーヴっすよね。次の「スロー・ダウン」とともにイカしたハード・ロックだと思います。この2曲プラス、「ヘルプ」収録の“ディジー・ミス・リジー”の3曲が、ニューオリンズR&Bシンガーのラリー・ウィリアムズのカヴァーで、他にはストーンズが“シー・セッド・イエー”をカヴァーしています。

ライヴ・アット・ザ・BBC/ビートルズ ('63〜'65年作)

所有しているのは2枚組のイギリス盤LPです。大半を占めるのは、アメリカ上陸直前に英本国で人気爆発した63年のセッションで、65年は“Dizzy Miss Lizzy”と“Ticket To Ride”の2曲だけです。オリジナル・アルバム未収曲が多いので大変貴重な音源集なんですが、さすがにこれだけ多くのR&Bのカヴァーを聞かされると拷問に近くなってきます。しかしこの時期の公式ライヴ盤は「ハリウッド・ボウル」だけなので(ですよね?)、生の演奏が聞けるという意味でも貴重です。BBCなので多少のダビングはあるものの、技術的なことではなくてライヴ・バンドとしてやっぱり上手いなと思います。ジョンとポールのヴォーカルはもちろん、“All My Loving”のコーラスやリンゴのシャッフルなんかを聞くとさすがだなと思いますね。レコードから持ってきた“A Hard Day’s Night”の間奏は大目に見るとして(何様か)、不思議なのは“Ticket To Ride”のリンゴのリズム・パターンです。これ、サビにいってもリンゴはそのまんま同じパターンを繰り返しています。まだ最終アレンジが決まってなかったのかなと思ったら、どうやらシングル・リリース後のセッションのようだし。まさかループですかね?謎です。ただの怠慢か。そういえばリンゴの怠慢で思い出しましたが、「武道館」の公式CDリリースってまだですよね。映像は見飽きたので音だけリマスターして出してほしいものです。あまりやる気のないひどい演奏なのは分かってます(特にリンゴ)。でもライヴ中止直前の66年の演奏ですからな!どこのライヴでもいいので66年に入ってからのライヴはぜひ聞いてみたいです。ジョージがギブソンのSGを使ってザ・フーばりにばしばしディストーションかけたライヴなんてないでしょうか。ないでしょうね。もしかしてその辺りは「アンソロジー」で聞けるんでしょうか。「アンソロジー」は依然未聴なので今さら気になってきました。次は「ハリウッド・ボウル」かもしれません。

ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー/ビートルズ (67年作)

【レコ妖怪向けレビュー】
数少ない所有のシングル盤の中から1枚ご紹介〜。ビーの発表したUKオリジナル・シングルの中で一番人気かもしれない“ストロベリー・フィールズ”と“ペニー・レイン”の7インチ盤です。ビーにとっては、当時UKシングル・チャートの連続1位がついに止まって、2位に終わってしまったという不名誉なシングルでもあります。これ、いくらで買ったかもう忘れてしまいましたが、1万近くはしたと思います。60年代の英国の7インチ・シングルは基本的にジャケなしでカンパニー・スリーヴにレコが入っているだけでしたから、このカッチョいい写真にジョンとポールの名曲のカップリングということで、そら今となってはプレミアがつくのも当然!でしょうね。当時のカンパニー・スリーヴと同じ、ヒラヒラの傷みやすい紙でできたジャケなので、現在だとミントは2〜3万はするかもしれません。2万と3万ではえらい違いですが…。裏ジャケにはメンバーの幼少の頃の写真が載っていて、ジョンだけが4〜5歳、他の3人は1〜2歳くらいでしょうか?ジョンはいかにも当時の中流階級って感じのお坊っちゃんです。これ、右上の青のセーターの子がジョージですかね?右下はリンゴだと思うんですが、まだ髪の毛が生えそろってなくて、オッサンみたいな赤ん坊です。レコ・レーベル部分はプッシュアウトではなくてソリッド・センター(っていうんでしたっけ?もう忘れた)です。これのプッシュアウトって存在するのかどうか知らんですが。センター・ホールのヒゲの状態を見ると両面だいたい同じ程度なので、もともとの所有者はどっちも好きやったんやな〜っちゅうのがわかります。まあビーファンならたいていどっちも好きでしょうけど。ジョンは初期よりこの頃のヘアスタイルが一番カッコよくないですか?もみ上げ伸ばして少しパーマかけたんですかね?しかもちょっと痩せたし。68年以降はどんどんヨーコ化していくので嫌です。嫌って…

ナンバー・ワン・レコード/レディオ・シティ / ビッグ・スター ('72/'73年作)

元ボックス・トップスのアレックス・チルトン率いるロック・バンドの1stと2ndの2オン1です。後世のギター・バンドへの影響はよく語られてきましたし、最近リンクにあるへどろんさんのところで紹介されていて、ずっと気になっていたバンドっす。結論からいうと大変よかったです。英米関係なしに延々と受け継がれてきたサウンドだけあって今聞いても古さを感じないし、ヘタすると90年代以降のこの手のバンドの方が色褪せて聞こえたりして。乾いたギター・サウンドに、グッド・メロディとグッド・ハーモニーの組み合わせがバーズ以降の普遍的なフォークロックに見事に当てはまっています。まず「ビッグ・スター」というグループ名に「ナンバー・ワン・レコード」というタイトルが自虐ユーモアっすよね。やっぱり売れなかったんでしょうか?ファースト後半のアコースティック・ナンバー含めて魅力的なメロディのオンパレードですが、一番気に入ったのが“My Life Is Right”です。曲作りには絡んでいないアレックスには申し訳ないすけど。セカンドはなぜか大事なアルバム一発目で奥に引っ込んだモノラルになっている“O My Soul”がもったいないと思うんですが、これはなぜなのかしら。チュクチュクいうギターがカッコいいのに残念です。ひょっとしてこの現象はCDだけ?全体にややレイドバックしたセカンドでは、“You Get What You Deserve”のギター・リフとリード・ギターが一発でビビっときましたね。これはのちのバンドがいかにもカヴァーしそうな必殺フレーズだと思います。語弊ありまくりですが、“Daizy Glaze”なんかに無駄な装飾やギターのオーヴァーダブで厚みを出せば、80年前後のトム・ペティやチープ・トリックなんかになりそうな気がします。念のため、トム・ペティもチープ・トリックも好きなアーチストです。そうです、究極まで贅肉をそぎ落とした、場合によってはスカスカ過ぎるほどのサウンドが今でも古びない理由だと思います。それにしてもボックス・トップスで聞かせていた、あのしゃがれたソウルフルなヴォーカルが微塵も出てこないところがびっくりでした。器用なシンガーですな〜。

コメント : いやぁ、レビュー恐縮っす♪これは当時は全然売れなかったみたいっすね。だって、原盤みたいことないですし、ボックスのブックに原盤のジャケが載っているくらいですから…そうっすね、スカスカで装飾を剥ぎ取ったかの如くのサウンドだから、今聴いてもいけるんですかね?英米のギターバンドへの影響は、日本じゃ考えられないくらい大きいのかも知れないっすね、うひょ♪

#1ヘドロン : 2012年3月29日(木)


コメント : いやあ、やはり売れなかったすか!のちのギターバンドが影響を受けたのも納得できるカッチョよさでした。もしかしてメンフィスでしかもスタックスだったっていうのもこのスカスカ・サウンドに一役買ってるんですかね?考えすぎ?でもこんな地域からさわやかなウェストコースト風な音を出していたなんてイカした奴らっすよね。晩年のチルトンが報われたのならうれしいことっす。

鬼瓦レコード : 2012年3月29日(木)


サード/シスター・ラヴァーズ / ビッグ・スター ('75年作)

元ボックス・トップスのアレックス・チルトン率いるビッグ・スターの3作目で最終作です。3作目が出ていたとは最近まで知らなんだです。ただし75年に制作されながら、契約とバンド内のごたごたによってリリースされたのは数年後で(数年後って何年後だ?)、ジャケットや曲順は国やレーベルによって様々だそうです。入手したのは92年にアメリカのライコディスクからリリースされた“Kizza Me”で始まるCDっす。まずその一発目の“Kizza Me”からして、いかにも精神状態悪そうな不安定なヴォーカルが「このアルバム、最後までつきあえるやろか?・・・」という不安をかき立てまくりでしたね。いい意味でも悪い意味でもアルバムを象徴する絶妙な配置ではあります。正直その“Kizza Me”は何度聴いても楽曲としてあまりいいとは思えないんですが、2曲目からほとんど最後まで、やや立て直したヴォーカルと曲が見事にマッチしたすんばらしいナンバーが続きますよ。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカヴァー、“Femme Fatale”含めてスロー/ミディアム・スローが多く、1st、2ndでの意気のよさはないものの、その分深みと味わいは先の2枚にまさっていると思います。ちなみに“Femme Fatale”ではおそらくメンフィス人脈からあのスティーヴ・クロッパーがギターを弾いていますが、クロッパー節は全く出てきません!1曲目以外は全部好きですが、特に“Holocaust”(タイトルからしてヤバい)、“Kangaroo”、ストリングスがめっちゃ気持ちいい“Stroke It Noel”の「3連発」が気に入りました。メロトロンのような音と抑制の効いたノイジーなギターが入る“Kangaroo”はほとんど英アシッド・フォークの世界です。次のドラムのジョディ作の“For You”もいいですよね。このストリングスは個人的にアーサー・リーのラヴの名作『Forever Changes』なんかを彷彿させて大好きです。ボーナス・トラックではキンクスの“Till The End Of The Day”のカヴァーがこの中にあって異色の出来です。完全にキンクスの『Live At Kelvin Hall』ヴァージョンで、ショボくれたヴォーカルがレイ・デイヴィスそのものでサイコーっす!

コレクターズ・ガイド・トゥ・レア・ブリティッシュ・バーズ/バーズ ('64〜'67年作)

ロンウッドが在籍していたモッズバンドです。このCD昔買ったんですが売り飛ばしてしまい、記憶にあるのは英エドゼル(Edsel)から出た「These Birds Are Dangerous」っていうアナログ盤に入ってた6曲だけです。なんていい加減なレビューでしょうか。しかもそのレコード今持ってるのか手放したのかも覚えてません。CDを売ったのは、その6曲レコードより音が悪く、ダブリも多く自分としてはあまり凄い曲は入ってなかったからです。WHOのカヴァー"Run Run Run"もピンとこなかった記憶があります。なのでお薦めはエドゼル盤です。中古レコ屋で探すしかないですが、そんなに高くないですよ。曲数は少ないですが彼らの全シングルたったの3枚AB両面ですし、全て超強力英ガレージパンクとも言えるファズバシバシ猥雑サウンドです。それにしてもロンウッドって凄い人生ですね。Birds→Creation→Jeff Beck Group→Faces→Stonesですから。でも彼の原点であるバーズのギターを聴けば単なるラッキーな人ではなく、先進的なセンスを持っていたからステップアップできた事が分かりますね。スゲーですもん'65年でこのギターサウンド。もちろん好みによりますからCDで欲しい人はこれで充分いいと思いますが、エドゼル盤の6曲に勝るのはなかったです。多分なかったと思う。なかったんじゃないかな。まちょと覚悟はしておけ。(まさし)

ウィ・アー・エヴァー・ソー・クリーン/ブロッサム・トウズ ('67年作)

英サイケ・バンドのデビュー・アルバムにボーナス10曲です。実は20年ほど前、たしかドイツから出た再発レコで買ったことがあるんですが、しばらくして手放してしまいました。今聴くとどうだろうかと思いCDで購入してみたのですが、やっぱり印象はあまり変わりませんでした。裏ジャケにはサイケ・ポップの名盤として広く認められていると紹介されています。しかしポップはポップでもそれほどとっつきやすくはなく、どちらかというとアレンジやサウンド・エフェクトの方に重点が置かれたような作品です。さんざんいろんなビッグネームの同時期の名盤を聴いたあとでは、当時最先端の技術と流行りのフレーズをこれでもかと詰め込んだ印象が強く、ポップな曲にしてもこれはよくあるパターンだなあと正直思うようなナンバーが多いです。例えば“The Remarkable Saga Of The Frozen Dog”は、少々あざとい感じがしてコソバユいです。楽曲とアレンジのバランス感覚って大事ですね。いまいちメロディに魅力がないんですが、いろいろと考えさせられるアルバムとしては面白いです(なんというフォローか)。ボーナスに入っているメンバーのインタビューでは何度か‘フリーキー’という言葉が出てきます。‘ニュー・ウェイヴ’、‘ニュー・ロック’、‘ネオ・モッズ’、‘ナウい’という言葉同様、何10年も経つと皮肉にも全く正反対の意味をなしてしまいます。大阪に‘千里ニュータウン’というところがあるのですが、そのナウいネーミングからイメージするのは大阪万博です!37年前やないかい!メンバーはこのあとB.B.ブランダーとして元アクションのヴォーカリスト、レジー・キングと組んだり、ロニー・レーンのスリム・チャンスに参加することになります。なので演奏はしっかりしています。決してジョンズ・チルドレンではありません!

ブロンド・オン・ブロンド/ボブ・ディラン ('66年作)

ザ・バンドとの「地下室」(ベースメント・テープス)を除いて手元に残ったディランのレコはこれだけになってしまいました。アルバムとしては67年の「ジョン・ウェズリー・ハーディング」もけっこう好きなのですが、まあディランだったら聴きたいと思った時にいつでも入手可能でしょうから。どうしても手放せなかったこのアルバムの中で特に好きなのが、“I Want You”、“Most Likely You Go Your Way”、マンフレッド・マンがカヴァーして大ヒットした“Just Like A Woman”です。どれも名曲ですね。特に“I Want You”は、あの詰め込みすぎの歌詞と、投げやり語尾下がりの歌唱あってこその“Like A Rolling Stone”同様、他のアーチストがカヴァーするとただの物真似になってしまいそうなディラン印の名曲です。カヴァーの方が好きな曲が多いディラン・ソングの中で“Just Like A Woman”だけは、大サビを省略したマンフレッズ・ヴァージョンよりこちらのオリジナルの方が好きです。バッキング・ミュージシャンは鍵盤のアル・クーパーとギターのロビー・ロバートソン以外は私の知らない人ばかりですが、レイドバックしたバンド・サウンドはクールでいかしてますね。“One of Us Must Know (Sooner or Later)”と“4th Time Around”はマッギネス・フリントあたりの英パブ・ロックの人たちに英国のフィルターでもかけてもらいたいような哀愁漂う名曲です。サビメロとサビメロあとのベース・ラインがたまらない“Stuck Inside of Mobile With Thee”は7分があっという間ですよ。“Absolutely Sweet Marie”のギターはロバートソンでしょうか?何となく「ビッグ・ピンク」のギター・サウンドに似ています。最後はゆったりした涙ちょちょ切れの大作、“Sad Eyed Lady of the Lowlands”です。いやあ、改めて名盤だと思いました。67年前後、他のアーチストたちが傑作アルバムを連発する中、ディランはバイク事故を起こして隠遁するわけですから、故意でなくともどこまでひねくれてんねんと思いますが、前もってしっかり大傑作を残してから事故るところは、「ただでは起きない」でなくて「ただでは転ばない」オッサンなんでした。

雨の日の女/ボブ・ディラン ('66年作)

ディランの中で一番好きなアルバム「Blonde On Blonde」から“Rainy Day Women”の詞をご紹介します。ヘラヘラ笑いながら歌っているので、くり返し出てくる動詞の“stone”は“石を投げる”でなくて、“酔わせる”の意味で訳しました。ただ、人を煙に巻くことにかけてはロック界で一二を争う人なので本当のところはよく分からないです。そもそもなぜ“雨の日の女”なのかも分からんし、作った本人が分かってるのかどうかも分からんし、単にラリパッパ状態で詞を書いた可能性もあります。・・・なんかそんな気がしてきました。これを聴いていると、このなげやり語尾下がり唱法もドラッグからきたんじゃないかと思えてきます。あとこの歌詞の場合、その内容よりもしっかり2節ごとに韻を踏むことに重点が置かれたような気もします。だとすれば訳してもしょうがないすね。アルバムを久しぶりに聞きましたが、やっぱりディランの「サージャント・ペパー」に当たる傑作だと思いました。もしかして1曲として手を抜かずに作った初のアルバムじゃないでしょうか?(語弊ありすぎ) カヴァーの方が圧倒的に好きなパターンの多いディラン・ナンバーの中で、“Just Like A Woman”だけはマンフレッズ・ヴァージョンより本家のこちらの方が好きだし、ガレージでパンクなギター・サウンドも素晴らしいですね。ずばりマイ・ベスト・トラックは“I Want You”っす!

彼らは君を酔わせるだろう 君がいい子にしようと思っても
彼らは君を酔わせるだろう 彼らがいったとおりに
彼らは君を酔わせるだろう 君が帰ろうとしても
彼らは君を酔わせるだろう 君が一人でそこにいても
でも僕は一人のような気がしないだろう
みんなラリってるに違いない

彼らは君を酔わせるだろう 君が町を歩いていても
彼らは君を酔わせるだろう 君が席についていようとしても
彼らは君を酔わせるだろう 君が床を歩いていても
彼らは君を酔わせるだろう 君がドアに向かっていても
でも僕は一人のような気がしないだろう
みんなラリってるに違いない

彼らは君を酔わせるだろう 君が朝食のテーブルについていても
彼らは君を酔わせるだろう 君が若くて有能でも
彼らは君を酔わせるだろう 君が一稼ぎしようと思っても
彼らは君を酔わせるだろう それから幸運を祈ってくれるだろう
でも僕は一人のような気がしないだろう
みんなラリってるに違いない

そう 彼らは君を酔わせて これでおしまいというだろう
彼らは君を酔わせて それからまた来るよというだろう
彼らは君を酔わせるだろう 君が車に乗っていても
彼らは君を酔わせるだろう 君がギターを弾いていても
そう でも僕は一人のような気がしないだろう
みんなラリってるに違いない
オーライ

そう 彼らは君を酔わせるだろう 君が一人でいても
彼らは君を酔わせるだろう 君が家に帰っていても
彼らは君を酔わせて 自分たちは勇敢だというだろう
彼らは君を酔わせるだろう 君が墓場に送られても
でも僕は一人のような気がしないだろう
みんなラリってるに違いない

地下室/ボブ・ディラン&ザ・バンド ('67年作)

60年代後半の英フォークロック系のミュージシャンにとっては、ほとんど例外なくお手本になったような音源集です。ビッグ・ピンクの地下室でこれがレコーディングされたのが67年の6月から10月にかけてですから、この人たちはスウィンギン・ロンドンはおろかサンフランシスコのサマー・オブ・ラヴさえも、「んなもん知ったこっちゃねえぜ」状態だったことになります。といいつつ「どうも西の方では大変な事が起こってるらしいから、ちょっと変装して自家用機で偵察に行ってくるわ。あさって帰ってくるし」なんてことも実はあったかもしれません。そして帰ってきたディランはザ・バンドのメンバーたちに、「あんな浮かれ騒ぎは今年いっぱいで終わるね。来年は君たちの出番だぜ」などとクールに報告したのかもしれません。冗談はさておいて、流行をよそに地下にこもったディランとザ・バンドの連中はかなりのひねくれ者!というより(両者ともそういう側面はたしかにありましたが)、黒人音楽含めて移民文化である北米の200年を、あの浮かれた時代に虚飾(サイケ)抜きに音楽で表していたのは確かです。フェアポート、フォザリンゲイ始め、マッギネス・フリントやマーク・エリントンその他多くの英国勢、そしてアメリカのバーズでさえカヴァーした曲がテンコ盛りのこのアルバムは、なかなか後追いで聴くと良さが分かりづらい部分もあると思います。それは元々レコード化を前提としたセッションではなく、どちらかというと実験に近いものでしたから、質素な機材の関係で音があまり良くなかったり、細かなところまで作りこまれていなかったりするところにあると思います。しかしディラン、ロビー・ロバートソン、リチャード・マニュエルらによるルーツ・ミュージックに根ざしたオリジナル曲の核部分を聞き取った英フォーク系の人たちにとって、それはそれは衝撃だったことは想像に難く・・・いや、今となってはなかなかそれを想像するのは難しいことです。確実にいえるのは、メジャー、マイナー問わず、自身の作品にうまく昇華されたかされなかったにかかわらず、本物を見る目を持っていた英フォーク系アーチストたちも偉大だった!ということにしたいと思います。というわけで‘必聴盤’というより‘確認用必携盤’ということでお願いします!

ボビー・チャールズ/ボビー・チャールズ ('72年作)

ベアズヴィル・レーベルの名盤を最近になって初めて聞きました。「今ごろ聞いとんけ、まずはこれやろ」と友人に怒られてしまいましたね。15年ほど前のサザン/スワンプ・ロック再評価ブームの頃には頻繁に登場していたアルバムだけあって、大変すばらしかったです。声が私の大好きなザ・バンドのリチャード・マニュエルにちょっと似ているところもいいっす。ザ・バンド周辺のウッドストック系ミュージシャンが多数参加しているらしいのですが、残念なのは2008年に出たこのライノの英盤には曲目のみを載せた単なる二つ折りのジャケがついているだけで、そのへんの情報が皆無であることです。リズム隊は全てザ・バンドのリヴォンとリックでしょうか?まず1曲目の“Street People”のイントロ、ハイハットの刻みに続いて右から入ってくる三味線並みに渋いエレクトリック・ギターの音がたまりません。この16分で刻むベース・ドラムは、いかにもリヴォンがやりそうなパターンのような気がします。1曲ニューオリンズR&Bのカヴァー以外は全て本人のオリジナルで(1曲リック・ダンコとの共作)、渋くてセンスのいいメロ満載です。聞けば聞くほど味の出るスルメ・ナンバーが多い中で、ステイプル・シンガーズのお父さん、ローバックのギター・プレイを思わせる“Save Me Jesus”と、もともとニューオリンズの白人R&Bシンガーだった彼の特徴がよく出ている“I’m That Way”が、まず一発で気に入りました。70年代にあった渋谷のブラックホークという音楽喫茶の本のタイトルになっていた“Small Town Talk”も今回初めて聞きましたが、このアルバムの中で一番ポップでキャッチーなナンバーだったんすね。ボビー・チャールズは38年生まれですから、この時点で33〜4歳です。R&B、フォーク、ゴスペル、ブルースを消化してきたキャリアと時代がバッチリ一致して相乗効果を生んだ奇跡の名盤!

ザ・ベスト・オブ.../ボンゾ・ドッグ・バンド ('67〜'71年作)

ビートルズのマジカル・ミステリー・ツアー('67)に出ていた、後にモンティ・パイソン・フライング・サーカスに発展する音楽集団です。ニール・イネス、ヴィヴィアン・スタンシャルが在籍していました。彼らのCDは国内盤、もしくは国内仕様の歌詞対訳付でないと絶対キツいと思っていたので、それを捜していたところ、見つけたのは運よく’バラッドの世界’の茂木健さん対訳でした。彼の対訳はわかりやすくてセンスいいんです。1曲目は”The Intro And The Outro”です。いきなり紹介して締めです・・・。これを頭にもってくるこのCDもなかなかやりますな!50人くらいメンバー紹介して曲は終わってしまいます・・・。クールなジャズが始まり、最初は真面目にメンバー紹介するんですが、アドルフ・ヒットラーがヴァイヴ!とか、エリック・クラプトン、ウクレレ!とかトライアングル担当カウント・ベイシー・オーケストラ!(その後チーンと一音)と、だんだんおかしくなってきて、人声物真似のゴリラ(ガオーッ)とか、鐘を鳴らすカジモド(せむし男)と、メッチャクチャになって終わります・・・。

”Kama Sutra”はタイトル通り下品な曲です。40秒くらいです。詞と曲調のギャップが可笑しいです。 ”Shirt”はシャツについて、町中で人々にインタビューする設定です。ヒッピー全盛69年の曲ですから、題材がシャツになったんでしょうか?登場人物はもちろん変な人ばっかりです。

インタビュアー(この声はエリック・アイドルのような...):「毅然とした態度で紳士がひとり歩いてきました。用心深そうな方です。ピョンピョンはねてます」どこが用心深いんじゃ!

「さて、レディがやってきました。小さな可愛い・・・・カンガルーを連れて」

クリーニング屋のオッサンのセリフは茂木さん大阪弁で訳してます。

「超特急でクリーニングしてくれないかな?」「三週間程度かかりまっせ。よろしおまっか?」「三週間だって?でも看板には”59分クリーニング”って書いてあるじゃないか」「あれはうちの店の名前でんがな」・・・・。しかも59分て。”Mr. Apollo”はデヴィッド・ボウイのパロディっぽいです。ボーカルがそっくりです。

このままではレビューがPt.5くらいまでいきそうなのでこのへんにしときます。他にも毒満載ナンバー目白押しです。音楽的にもカッコいいブルースロックや、サイケポップありです。さすがイネス。でも詞がわかると10倍は楽しめまっせ!

ネオン・レインボウ/ボックス・トップス (60年代後半)

アレックス・チルトンがいたグループの18曲入りベスト盤です。ほとんど同じジャケの「Soul Deep」というタイトルのCDも全く同一内容です。“The Letter”(あの娘のレター)は鈴木ヒロミツのモップスで、“I Met Her In Church”はサザン・ソウルのトニー・ボーダーズで、“Soul Deep”は同じくクラレンス・カーターで先に聴いていてどれも大好きな曲ばかりだったので、これらのオリジナル・ヴァージョンはどんなことになっているのか興味があって聴いてみました。プロデューサーはダン・ペン、トミー・コグビル、チップス・モーマンら、レコーディング場所は主にメンフィスのアメリカン・スタジオということで、もろジェイムス・カーのセカンド・アルバム「A Man Needs A Woman」やウィルソン・ピケットの「I’m In Love」、ゴールドワックスの多くのシングル盤で聞けるようなあのサウンドです。ん?ということはこのグループの他のメンバーはいったい何をやっとったんでしょうか?コーラス・グループでもないようだし、バンドの音はどう聴いてもドラマーのジーン・クリスマンを始めとするアメリカン・スタジオのレコーディング・バンドです。そのへんがいかにもダン・ペンらによって「作られた」グループではありますが、音楽自体はもちろん素晴らしく、のちのビッグ・スターのチルトンとは別人のようなソウルフルなヴォーカルがたまらんです。自作の“Together”、“Happy Song”、“You Keep Tightening Up On Me”あたりでビッグ・スターのチルトンを思わせるヴォーカルを聞くことができます。このCD、一応代表曲は全て詰まっているようなので内容的にも曲数的にも申し分ないし、二つ折りの味気ないブックレットも廉価ぽい作りを考えればしょうがないと思うんですが、各曲のクレジット全てに「1972年より前の録音」とあるのはなぜでしょうか。「ビッグ・スターより前の録音やで〜」ということですかね?いいかげんなのか何か深い事情があるのかようわかりません。

ヴェリー・ベスト・オブ〜/バディ・ホリー&ザ・クリケッツ (56〜58年作)

2011年に出たデジパック仕様の3枚組CD54曲入りです。22歳で飛行機事故で亡くなるまでにリリースしたアルバムは3枚、その全てがこれに入っているらしいです。これ買ったあとに食った大阪王将の餃子定食820円より安かったので、ええ買いもんしました。前に載せたチャック・ベリーと同じように、自分にとっては「ここらで基本に戻っとこか」シリーズってことで購入した元祖ロックンローラーの1人っす。いったい何度基本に戻ったら気が済むのかわかりませんが… 70年代後半〜80年前後に洋楽に目覚めた世代なら、たいていFMなんかで流れていた“ザットル・ビー・ザ・デイ”と“ペギー・スー”の2曲だけは、すぐに口ずさめると思います。ほんでそのあとにリンダ・ロンシュタットの“イッツ・ソー・イージー”とかビートルズの“ワーズ・オブ・ラヴ”が続くんですよね。これパターンです。自分の場合、最近になってスティーライ・スパンがカヴァーしていた“レイヴ・オン”を聴いて、これいい曲やなあ〜と思っていたところ、ホリーのカヴァーだと知って少々びっくりしました。そういえばビートルズから始まってブリティッシュ・ビートへと突き進んでいった高校生の頃は、ホリーのもつフェンダー・ストラトキャスターに違和感ありましたね。まだシャドウズも知らなかったし、ストラトといえばその頃の王道ロックの人たちとか、マーク・ノップラーとかリッチー・ブラックモアのイメージが強かったし、一番古くてもジミヘンのイメージだったですから。マヌケにも「ああ、このギターってこんな昔からあったのか」と思いました。というわけで、ストリングスバシバシのムード・ポップス系も含めて楽しめるあっという間の54曲です。ってこれ、1枚18曲の3枚組ですが、1曲平均せいぜい2分ですから、余裕で1枚27曲の2枚組にできたと思います。唯一の不満はそこですね。次はリトル・リチャードかエヴァリー・ブラザーズあたりか、いやもしかしたらエルヴィスかビル・ヘイリーあたりに行くかもしれません。

ミスター・タンブリン・マン/バーズ ('65年作)

どうしてもUSオリジナル・モノラル盤がほしくて昔購入したものです。プロデューサーのテリー・メルチャーは、当時モノラル・サウンドに対して異常なこだわりを持っていたらしく、レコードには限界ギリギリまでデカイ音でカッティングすることを心がけていたそうです。確かにこれをかける時、他のレコよりもアンプのヴォリュームをかなり絞って聴かないと音デカ過ぎです。このデビュー・アルバムのドラムスはたしか全曲を名セッション・ドラマーのハル・ブレインが叩いているんですよね?他のセッション・ドラマーも混じっているんでしょうか?へてからベースもセッション・ミュージシャンでしたっけ?よく覚えていませんが、一応全曲ドラマーはハル・ブレインだとして、のちの例えば67年の‘名うてのバード兄弟’なんかでは、いかにもハルさんほどの人じゃないとできないようなプレイが出てくるので分かりやすいんですが、このアルバムでは故意にリズム・キープだけに徹することでなるべくマイク・クラークとの差を広げないように、また新人バンドらしく初々しくプレイしているように聞こえます。しかし情報がなければ一聴してハル・ブレインだとは分からないところがまた職人さんの仕事すね。タイトル・トラック以外で特に好きなのが、“The Bells Of Rhymney”、“All I Really Want To Do”、“It’s No Use”です。“The Bells〜”の間奏の文字通り鐘のようなキンキラリンのリード・ギター、“All I〜”の大サビ直後の一瞬のフレーズ、“〜Use”でのズッコケ一歩手前のリード・ギターとそのサウンドがたまらないっす。ボ・ディドリー・ビートの唯一黒っぽいナンバー、“Don’t Doubt Yourself, Babe”のトレモロ・ギターはすでにサイケですよね。フェアポートのリチャード・トンプソン、エコバニのウィル・サージャント、スミスのジョニー・マー、その他無数の80年代以降のフォークロック・ギタリストに多大な影響を与えたジム(ロジャー)・マッギンの最初の一発だった。

ターン!ターン!ターン!/バーズ ('65年作)

ファーストでは4曲取り上げていたディラン・ナンバーは2曲のみ―“Lay Down Your Weary Tune”と“The Times They Are A-Changin'”となり、ビートルズ色が抜け、彼らのオリジナリティが出てきたセカンド・アルバムです。オリジナル・ナンバーの中では、ジーン・クラークの“Set You Free This Time”がさっそく名曲誕生といったところですね。同じくレイドバックした次のディランのカヴァー、“Lay Down Your Weary Tune”と張り合っているかのようです。65年で早くもレイドバックしたこのノリは、のちの71年のソロ名盤‘ホワイト・ライト’(通称)さえ思い浮かんできますよ。レコでのA面は次のトラディショナル、“He Was A Friend Of Mine”までゆったりとした作りになっています。この曲のバックにはかすかにメロトロンのような音が入っていて、もうそこまでサイケさんの足音さんが迫ってきています。ジーン・クラークの素晴らしいオリジナルはあと2曲、レコB面の“The World Turns All Around Her”と“If You’re Gone”ですが、特に後者は内省的ですよね。ここまであまりにかげった雰囲気だとアルバム的にちょっとマズイと思ったのか、ラスト3曲は元気を取り戻します。カヴァーの方が好きな曲が多いディランなんですが、“The Times They Are A-Changin'”もやっぱりその中に入ります。この曲のエンディング部分はアルバムの中で唯一ビートルズを強く感じさせますよ。最後の“Oh! Susannah”がとってつけたように陽気な雰囲気で、アルバムの中で浮いてしまっています。ところでこのアルバムもドラマーはハル・ブレインなんですかね?だとすると最後のこの曲はかなり確信犯的プレイですよね。出だしのつまずき方やブレイク部のいかにも素人っぽい装飾はハル・ブレインだと思って聞くとちょっとわざとらしくも聞こえるし、後半のマーチング・ドラムはすごくきれいだし・・・マイク・クラーク本人だったらすまん悪かった。

霧の5次元/バーズ ('66年作)

バーズの続きをやります。バーズは全てアナログ盤での紹介になります。サイケ時代に突入の3作目です。デビューから2年経ち、セッション・ドラマーでなく、このレコでは上達し始めたマイク・クラークが叩いているように聞こえます。全曲かどうかは分かりませんが、ややぎこちないフィルが出てくるのは彼じゃないかしら。1曲目のタイトル・トラックは途中からスネアの位置がひっくり返るのでクラークに違いないと思います。A面のハイライトといえるのが“Mr. Spaceman”と“I See You”ですよね。後者ではいよいよロジャー・マッギンの特徴的なギター・プレイが出てきます。“What’s Happening?!?!”での歌メロを無視したようなサイケデリックなギターもいいっす。故意なのかたまたまそうなってしまったのかは分かりませんが、ギター・ソロに突入すると急にルーズなノリになるところが気に入ってます。多分このアルバムで一番有名なB面あたまの“Eight Miles High”は、実は昔はそれほど好きではありませんでした。なぜかちゅうと、まだこの曲を知らなかった頃にいろんな(余計な)情報を先に仕入れてしまい、期待が大きくなり過ぎてしまったためか、初めて聴いたときに「あれ〜?」と拍子抜けしてしまったからでした。もちろん今では大好きです。66年という時代を考慮すればロック界ではやっぱり斬新だったと思います。でもあくまで私にとってはマッギンのジャングル・ギターよりも楽曲の良さの方が光ってますね。“Hey Joe”は米ガレージ系のリーヴスというバンドのヴァージョンがこんな感じじゃなかったでしょうか。クリエイションからジミヘンまで無数にカヴァーされたナンバーですが、1位はゴールデン・カップスのムチャ・ヴァージョン!ということにしたいと思います。ラヴ(アーサー・リー)のヴァージョンもよいです。他にB面で好きなのはトラディショナルではありますが、サンディ・デニーに歌ってほしいような美メロの“John Riley”です。最後の“2-4-2 Fox Trot”は、今となっては“Eight Miles High”以上にギターのフレーズにインパクト感じました。リフ一発ロック・ギターの普遍的なカッチョよさはこちらだと思います。次は「明日より老けて」です。

ミスター・スペースマン/バーズ ('66年作)

バーズの「Fifth Dimension」収録の“Mr. Spaceman”の詞を紹介します。「名うてのバード兄弟」に入っている“Space Odyssey”とどっちにしようかと迷ったんですが、あっちは難しかったのでこっちにしました。“Space Odyssey”については、映画「2001年宇宙の旅」の原題が「2001:A Space Odyssey」でした。たしかに詞の内容は映画と共通するようなんですが、ちょっと調べてみたら「名うて」は67年録音で68年1月リリース、「2001年」は映画も小説も68年4月とあったので、どれくらい関連があるのかは分からんです。バーズはロサンゼルス出身なので、ハリウッドに映画撮影時から見学に行っていたとかあるんでしょうか。こちらの“Mr. Spaceman”の歌詞はシャッフルの陽気な曲調と同様にユーモラスというか、はっきりいってバカバカしいっす。でも空飛ぶ円盤ていまだに謎ですね。これまで報告されたうちのほとんどは偽造だとは思いますが、全てがニセモノといいきる根拠もないし。最初の遭遇報告が戦後すぐの1947年、米ソの東西対立が始まった頃だったところに何かカギがあるような気もします。その報告の信憑性についてはどうなんですかね。難しい問題です。う〜ん・・・分かりました。UFOの正体はメニンブラックです!(ストラングラーズ参照)

目に光が飛び込んできて僕は目覚めた
そしてまだ外が暗いことに気づいた
空から光が差し込んできたんだ
誰だろう?なぜだ?分からん

見知らぬ訪問者が毎晩やってきているに違いない
あの空飛ぶ円盤が出す光が人々を不安に陥れる
暗闇に浮かぶ青緑色の足跡を残して
彼らの星へ帰ればいいのに

ねえ、宇宙人さん
どうか僕を連れて行かないでおくれ
何も悪いことはしないから
ねえ、宇宙人さん
どうか僕を君たちの仲間へ入れないでおくれ

朝目覚めたら まったく気色悪い気分だった
僕のひげの中にハエがいるような
練り歯磨が塗りたくられたような
窓の外を見ると 彼らは僕の名前を書いていた
それからこう書いた さようなら、また会おう

霧の8マイル/バーズ ('66年作)

〜歌詞に同業者が出てくるシリーズ〜
歌の中に他のアーチストが登場する歌特集です。有名なところでは、フランク・ザッパが出てくるディープ・パープルの“スモーク・オン・ザ・ウォーター”がありましたね(火の粉〜がパーチパチ)。まず第1弾はラーガ・ロックの草分けとなった有名なこれですが、今回かなり思い込み入ってます。タイトルの「霧」は歌詞中の「Rain gray town」からきていると思うんですが、「霧の8マイル」ではなくて「霧のロンドン」にすればわかりやすいような気がしました。バーズが66年にUKツアーを行なったかどうかは知りませんが、行なったとしてそれを題材にしたか想像でこの歌を作ったとすると、英国の66年といえば!そうです、僕らのスモール・フェイシズの年です!「え?スモール・フェイシズ?でもどこにも出てこないじゃないか?」となりますが、実は「ところどころに解き放たれた小さな顔たちが」の原詞が「In places small faces unbound」です。隠喩で「small faces」を使ったと解釈すればなかなかおもろい歌詞ですし、66年のロンドンは日本人が想像する以上にSF大旋風だったんでしょうね。NMEによる66年度の人気投票では、ザ・フーに大差をつけて総なめにしていたそうですから。ただ問題は・・・このシングルのUKリリースが66年3月らしいので、SF人気爆発のちょっと前なんですよね。よって考えすぎかもしれません。

8マイル上空から 地上に降り立てば
有名人というより よそ者だと気づくだろう
通りの看板が行き先を教えてくれる
彼らの正体がわかるところへ

あたたかいところなんてどこにも見つからない
地位を失うことを恐れる人たちの中
そのサウンドで有名な灰色の雨の街へ
ところどころに 解き放たれた小さな顔たちが

がやがやと群がる広場のまわりには
ある者は笑い ある者は不恰好な姿
野次馬の現場と黒のリムジン
ある者は陽気 ある者は孤独

昨日よりも若く/バーズ ('67年作)

大傑作だと思っている4作目です。マッギン単独作がなくなり、クロスビーとヒルマンの手による曲が占めるようになりました。このアルバムでは特に英フォークに通じるような翳りのあるクロスビーの楽曲群がたまりません。“Mind Gardens”はまるでフェアポートの“Sailor’s Life”か“Reynardine”といったところですね。おかげでこれに続くディランの“My Back Pages”がやけに軽く聞こえますが、これも間違いなく名曲名演っす。ヒルマンの曲はのちの彼の音楽的展開を思わせるような(フライング・ブリトー以外は未聴なんですが)カントリー調なナンバーが多いです。“Time Between”ではストリングベンダーのようなギター・プレイが聞こえてきます。アルバム全体の雰囲気はイギリスのビート系ミュージシャンたちの琴線に触れたのか、1曲目の“Rock’n’Roll Star”はムーヴがライヴで、“Why”はトゥモロウ、“Renaissance Fair”はサンフランシスコ期のエリック・バードンが一部引用してました。“Why”のハネたいのかハネたくないのか分からない煮え切らないリズム感覚も英国ビート系のノリに通じるような気がします。個人的にはクロスビー作の“Renaissance Fair”と“Everybody’s Been Burned”、ヒルマン作の“Thoughts And Words”が特に気に入ってます。どれもまず楽曲として素晴らしいし、ベース・ラインが気持ちいいっすよね。ビート・ナンバー、サイケ・フォークロック、カントリーと、これまでの路線とこれ以後の路線を感じさせる曲が入り混じっていて、どれもが完成度高いと思います。最初にジャケを見たときは一瞬ずいぶんメンバーが増えたんだなと思ってしまいましたが、フェアポート同様、オリジナル・メンバーはどんどん減っていくんですね。次作同年の「名うてのバード兄弟」と並んでサイケ期バーズの名盤ではありますが、ジャケに関してはどちらも「はいやり直し!」と思ってしまうような出来ですな!67年らしくもっと凝ってほしかったです。次は「ヒデオの恋人」です。

名うてのバード兄弟/バーズ ('67年作)

名作5枚目です。初代ヴォーカリストのジーン・クラークは前々作「フィフス・ディメンジョン('66)」の頃脱退し、デヴィッド・クロスビーは前作で脱退してしまったので3人ぽっちになってしまいました。そして名セッション・ドラマー、ハル・ブレインがマイク・クラークの代わりに多くの曲で叩いています。“Artificial Energy”“Natural Harmony”“Get To You”“Tribal Gathering”“Dolphins Smile”あたりがそうじゃないかしら。キャロル・キングとジェリー・ゴフィン夫妻作の“Goin' Back”“Wasn't Born To Follow”も取り上げてます。どちらもセンスのいいアレンジを施してあって本家より好きだったりします。“Tribal…”と“Get To You”で5拍子が出てきたり、“Change Is Now”“Space Odyssey”のサイケデリックな演奏は、初期のフェアポート・コンヴェンションに影響を与えたと思います。石垣や馬と一緒に写っているジャケットからイメージするサウンドではなく、'67年らしく、全体の印象はやっぱりサイケ〜です。所有しているのはステレオ盤ですが、このアルバムまではモノラル盤も同時に出ていました。サウンド的にちょっと低音不足のような気がするので、モノラル盤の方が低域が強調されていいのではないかと思いますが、アナログ盤は高額激レア、現行CDではステレオのみのはずなので聴いたことはないです。もしかしたら現行リマスターCDでは低音が強調されているか、ミックスを中央寄りにしていたりするんかな?!

■お詫びと訂正:
セッション・ドラマーはジム・ゴードンが正解のようです。申し訳ございませんでした。

ロデオの恋人/バーズ ('68年作)

あけましておめでとうございます。今年ももくもくと地下活動していきたいと思ってます。よろしくお願いします。

2010年第一弾は年越しバーズの6作目です。グラム・パーソンズ、クラレンス・ホワイト(この人はヘルプ?)が参加したカントリー・ロックの問題作/名作です。最初の“You Ain’t Going Nowhere”と最後の“Nothing Was Delivered”でディランのカヴァーが復活しました。バンジョー、フィドル、スチール・ギターが大きくフィーチャーされ、リズムはある意味ロック的ではないシャッフルか3拍子中心となり、同年のザ・バンドのデビュー作「ビッグ・ピンク」と共にサイケデリックな時代に反旗を翻した作品となりました―と、いかにももっともらしく書きましたが、実際のところどうなんでしょうね。リアルタイムでは当然知らないし、人によって見方は様々なんですが、いろんな書物を通しての私の当時の印象は、67年の夏(サマー・オブ・ラヴ)が過ぎたとたん一気にそれまでの浮かれ騒ぎは影を潜めて祭りのあとのようなむなしい雰囲気が充満し始めたのが68年だったというものです。多分、想像なんですが、フラワー・パワー期を境にロックの世界は伝統、革新関係なく本当に何でもありの時代に突入したんじゃないかという気がします。なので逆にこのアルバムが67年の夏真っ只中に出ていたら今以上に神格化されていたかもしれませんね。「何でもあり」が最高潮に達したときに、あのウッドストックとワイト島のようなあまりに度を超したしょーもない大規模フェスティヴァルなんてやってしまうから、今度は取り返しのつかないくらいの「祭りのあと」がやって来たんじゃないでしょうか。何10万の大観衆コンサートてのはいくらなんでもやり過ぎですよね。その代償は大きかったと思います。話がそれました。このアルバムはディラン以外にカントリーのカヴァーが多いのですが、スタックスのウィリアム・ベルのヒット曲、“You Don’t Miss Your Water”が入っています。フライング・ブリトーもジェイムス・カーの“Dark End Of The Street”、アレサ・フランクリンで有名な“Do Right Woman”を取り上げていました(これらは多分パーソンズの趣味)。これをきっかけにサザン・ソウルへはまるのも1つの手ですよ。カントリー色強いサザン・ソウルとしてオススメしたい個人的No.1は、キャンディ・ステイトンの名作‘Stand By Your Man’です。

バーズ博士とハイド氏/バーズ ('69年作)

メンバーが一新され、オリジナル・メンバーはロジャー・マッギンのみとなってリリースされたアルバムです。もしかするとバーズの中ではあまり話題に上らない作品かもしれませんが、カントリー・ロックの名に十分ふさわしい素晴らしい出来だと思います。それに時代的なこともありますが、前作「ロデオ」までと比べると各パートの音が太くなって全パート間のバランスも飛躍的に良くなったと思います。ただ楽曲的にはどうかというと、ラストにメドレーで‘Younger Than Yesterday’収録の“My Back Pages”を再演してしまうところなど、さすがに前作までのレベルは維持されていないです。そのディランの“My Back Pages”は、ジミー・リード(黒人ブルース・シンガー/ギタリスト)の“Baby, What Do You Want Me To Do”とつながっていますが、そういえばディランとリードのダルなノリには共通するものがあります。このアルバムは歪んだエレクトリック・ギターがフィーチャーされたリック・ダンコ/ディラン作のロックな“This Wheel’s On Fire”で始まりますが、オリジナルのザ・バンド・ヴァージョンは別格として、これはジュリー・ドリスコールのヴァージョンがオススメです。特にブライアン・オーガーのオルガンやサイケデリックなアレンジがヒジョーにカッチョよく、個人的にはこのヴァージョンより好きですよ。ドラマーのジーン・パーソンズ加入で今までより演奏力は上がったと思いますが、ピンとこない人はこの時期の彼らのライヴ盤‘Live at the Fillmore West February 1969’がCDで出ていますので、セットにして聴くとよく分かると思います。‘ロデオ’からのナンバーや、“Sing Me Back Home”、“So You Want To Be A Rock 'n' Roll Star”、その他初期のヒット曲などのレパートリーを考えれば、へたするとそちらのライヴ盤の方がこの時期の良さがよく出ているかもしれません。以上でバーズはとりあえずおしまいです。それでもビートルズの影から脱して4年間でここまで大きくなりました。ご成長ありがとうございました。なんつってな!

ザ・コロンビア・シングルズ '65-'67/バーズ

所有のレコは、2002年に米サンデイズトから出たアナログ盤2枚組です。サンデイズトはアナログのみリリースのレコ会社なんでしょうか?65年から67年までの全シングル両面がリリース順に並んでいるので、67年までのバーズの音楽的変遷がよくわかる大変重宝するレコです。アルバムでいうと、ファーストの「ミスター・タンバリン・マン」から「名うてのバード兄弟」までの5枚です。発売後、回収されたシングル含めて全30曲で、全て嬉しい嬉しいモノ・ミックスです。当時のシングルはほとんどがモノラルでした。プロデューサーだったテリー・メルチャーによると、シングル盤のモノラル・マスターを作るときは、まずLAのラジオ局のDJのところにアセテート盤(テスト用のレコ)を持ち込んでいたそうです。当時は誰もが車にモノ・ラジオを持っていたので、DJに頼んで「今から車で君の番組聞くから、ラジオでこのレコ流してくんないかね?」とかいって、音質のチェックをしていたそうです。そしてとにかく可能な限り、限界レベルぎりぎりまでデカい音でレコに入力することを心がけていたそうです。モータウンでもこういうことをしていて、タンバリンの音をデカくしたという話を聞いたことがあります。テリー・メルチャーが参考にしたレコは、ラジオから流れてくるフィル・スペクター・サウンドらしいです。ここでのサウンドはステレオのアルバム収録ヴァージョンより断然迫力ありますよ!あまり詳しくはないのですが、アルバムとは別テイクのシングル・モノ・ヴァージョンも入っているのかもしれません。ジャケもカッコいいし、見開き部分の当時のカッコいいシングル盤ジャケも楽しめます。


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