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The Undertones/Positive Touch/1994 Castle Communications ESM CD 485



これほど短い音楽キャリアの成果を言い表すのに、‘完璧なるポップ’という言葉がたやすく使われる例は、そう多くはないだろう。北アイルランド、デリー出身5人組アンダートーンズは、誰よりも純粋なエネルギーでもってポップの基本を貫いてきた。彼らのした事は単純そのものだ。基本コード、未加工だが素晴しいハーモニー、そしてそのコーラスラインは深く彼らの潜在意識に根づいたものだった。彼らはポップミュージックの可能性に全く真っ当に取り組んだ。彼らの陽気さと歓喜のサウンドには、抗しがたい魅了があった。

4枚のアルバムは、それぞれに特徴的な音楽的発展を見せている。様々な評価があったにせよ、常にバンドは、3分間の人懐っこいポップ・センス以上の何か特徴的な才能を持っていた。加えて彼らは音楽的団結力があったし、お互いに協力して、天性以上のものを引き出す創造的向上心を持っていた。バンドの消滅から10年以上経てもなお彼らが崇拝されるのは、奇妙なことに思えるが、そんな崇拝なんて実は彼らには不相応だ。誠実さと気取りのないバンドの性質が、彼らの大きな魅力だからだ。それは華やかさや、エゴの拡大に対し、常にノーという立場を取っているかのようだ。彼らに相応しい受け止め方は、単にこの作品群がいつも私に、そして多くの人たちに、誰にも邪魔されず、この上ないエンターテイメントをもたらせてくれるのを認めることだけだ。

この彼らの3枚目は最もとっつきにくいアルバムであろう。そして彼らが初めて作った、ソフィスティケイト(洗練)されたアルバムでもある。そしてそれは次のアルバム‘The Sin Of Pride’のスタイリッシュさにきっちりつながっていた。ただまだバンドは、初期のサウンドを維持していた。ファーストアルバムが、彼らのルーツであるラモーンズ、バズコックスらの遺産を受け継いでいたとすれば、Positive TouchはストーンズのとりわけBeggars Banquet, The Between The Buttons辺りに近いといっていいだろう。いくつかは音楽的、詞的に比較的あいまいな点を感じるが、初期の誠実なアンダートーンズ同様、繰り返し聴けば、熟練とそれに見合った成果が見て取れるのである。

サイアー・レーベルと苦い決裂をしてから最初の作品は、いくらか現実主義に適応した雰囲気を持っている。音源自体は彼ら自身のArdeck出版で、(スクイーズの)ポール・キャラックのピアノやホーン隊の導入によって、さらなる音楽的発展が見られる。‘Boy Wonder’‘His Good Looking Girlfriend’そしてストーンズの‘Paint It Black’のリフを拝借した‘When Saturday Comes’ は初期のサウンドに最も近い存在といえるだろう。他に盛り込まれている控えめなリズムを持つ‘Sigh And Explode’、‘Crisis Of Mine’‘You’re Welcome’は、新しい領域への、ちょっとした挑戦として説得力のあるものになった。多くのナンバーは西海岸サイケデリックからの影響が感じられる。全体としてこのアルバムは、彼ら独自のスタイリスティックな方向性を維持していると言える。

Positive Touchはボビー・サンズ(?)が死んだ前の晩に、トップ・オブ・ザ・ポップスに主演し演奏した、‘It’s Going To Happen’のリリースに続いて発表された。もともとは北アイルランドの政情不安が、バンド内にも影響していることを反映したものになる予定だった。彼らは多くのイギリスの評論家たちが、見せかけのコメントをずっと彼らに寄せてきたことに対して、直接的なメッセージを送ろうと考えていた。その結果、典型的なビート、流れるようなギターリフが聞かれる一方、歌詞においては、わずかに不穏なものも感じられるようになっている。このアルバムには多くの真実が挟み込まれている。

Positive Touchは確かにグループの衰退を示していた。相変わらず素晴しいライブと、チャートアクションも17位と健闘したが、それはまた別の話だ。幾人かの評論家が指摘するように、おそらく最終ミックスが全体の印象を決定してしまっているんだろう。プロデューサーを務めてきたロジャー・ベキリアンは、これが最後となってしまった。ファンもこのバンドのメローな方向性についていく事ができなかった。一方では確かに‘Boy Wonder’のような初期に通じるナンバーもあるが、彼らはすくなくとも少年を卒業し、大人への脱皮を図っていたのだった。

ボーナストラックは豪勢な‘Beautiful Friend’、今までにない精巧さに満ちた‘Julie Ocean’とそのB面‘Life’s Too Easy’その他が収録された。

アレックス・オッグ 1994


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