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The Undertones/Hypnotised/1994 Dojo Ltd. DOJO CD 192



音楽史の中でこれほど短い音楽的キャリアの成果を言い表すのに、‘完璧なるポップ’という言葉がたやすく使われる例はそう多くはないだろう。北アイルランド、デリー出身5人組アンダートーンズは誰よりも生意気なエネルギーをもったポップの基本を貫いてきた。彼らのしたことは単純そのものだ。基本コード、未加工かつ素晴しいハーモニー、そしてそのコーラスラインは潜在意識深くに根ざしていた。彼らはポップミュージックの可能性に全く普通に取り組んだ。彼らの陽気さと歓喜に巻き込まれないなんて不可能だった。

4枚それぞれのアルバムの様相は特徴的な音楽的発展を見せている。いろいろな評価があったにせよ、常にバンドは3分間ポップと伝染性ポップの精通以上の何らかの注目すべきものを持っていた。加えて彼らは音楽的に団結力があったし、彼らの天性以上の知覚が互いに寄り集まった創造的向上心というものを持っていた。バンドの消滅から10年以上経てもなお彼らが敬意を評されるのは、奇妙なことに思える。しかしそんな崇拝なんて彼らには不相応だ。誠実さと気取りのないバンドの性質から言っても、そんなところが彼らの大きな魅力だからだ。それは華やかさとエゴの拡大に対し、常にノーという立場を表明していた。相応しい反応としては単に、誰にも邪魔されないような、限りない娯楽をこの作品群がいつも私に、そして多くの人たちにもたらせてくれるということを認識するだけだ。

アンダートーンズはデビュー作に続いて再度スタジオ入りした時もなお、追い風の頂点にいた。このアルバムはジョン・ピールによって全く当然のごとくに完全に放送された。セールス的には前作ほどではなかったが、バンド史上最高の6位に達した。注目すべきトラックは‘More Songs About Chocolate And Girls’だ。これは自嘲気味で、バンドの巻き返しを促し、前の評価をたちどころに狂わせることになった。“取るに足らない娯楽を享受するのに遅すぎるなんてことはなかったね。”この曲は、このアルバムが紹介される時に、最も引き合いに出されることになった。しかしもっと言うならおそらく次のようにも言えるだろう。“彼らが聴かれるには時間が少なすぎるし、多くの用心を要するってことを知るのは容易なことじゃない。”つまりアンダートーンズにおいて、(パンクバンドの)‘難しい’セカンドアルバムという苦境がきっちりあらわれていたということだ。

2年間以上彼らはデビュー作のレパートリーを磨き上げ、言うまでもなく限りない評論家の恩恵を受けたが、15曲の傑出したロックと名付けられたこのアルバムと共にプレッシャーも増していった。後半のトラックは多くはほんの1ヵ月間で書かれたものだ。‘More Songs…’でさえそうだが、バンドのソングライティングは、たちまち変化した。この頃の計画は、さらなるテレビ出演と、彼らのより繊細な色合いを出すことにあった。そこにあった戦略は、伝染性に必須の感性、皮肉を込めた嗜好であった。レコーディング・スタジオにおいてバンドは、日に日に自分たちのアイデンティティを表すようになっていった。‘Hard Luck’は彼らなりのグラムロックの消化であることを示していた。‘Whizz Kids’はデビューアルバムに収録されていたかもしれなかった。‘Girls That Don't Talk’と‘Hypnotised’はよりそれが分かるナンバーだ。そういったペースの中で彼らが妥協したのは、より多くのそれら攻撃的ナンバーで埋め合わせていったことだ。

両極端なナンバーはライヴにおいて重要かつ強力な存在となった。シングル‘Wednesday Week(フィアガルの両親が最初に気に入った曲だ)’、それと並んで豪華な‘Tearproof’はそれまでの3コードバンドではなく、豊かな素材を持っていることを示していた。そういった実績は60sポップをうまく取り込み、シャーキーのヴォーカルに新しい雛形を与えたことを表していた。しかしながら間違いなくアルバム中最も印象に残るのは‘My Perfect Cousin’だ。オニール兄弟の勇ましいギターリフが伴い、歌詞は従兄弟のケヴィンに降りかかっていた不正の数々を列挙したものだ。英語ほど、次のような詞にうまく適応させることのできる言語も珍しいだろう。“彼は僕のことを能無し(キャベツ―cabbage)だと思ってる。なぜって僕は大学受験(challenge)が大嫌いだから”

このCDのボーナストラックには彼らの作品中、不可欠なナンバーが含まれている。‘You've Got My Number(Why Don't You Use It!)’は驚嘆すべきナンバーで、才気を発するソロとフィアガルの乞い願う最高のヴォーカルで成り立っている。またシングルB面に収められていた、チョコレート・ウォッチ・バンドの‘Let's Talk About Girls’も入っている。これはグループの初のカヴァーだ(厳密に言うと本編の‘Under The Boardwalk’よりも先んじていた)。加えて‘Hard Luck(Again)’と‘I Don't Wanna See You Again’はシングル‘My Perfect Cousin’のB面、‘Told You So’は‘Wednesday Week’のB面である。

アレックス・オッグ 1994


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