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Rockpile/Seconds Of Pleasure/2004 Sony Music Entertainment Inc. CK 63983



“一瞬の娯楽”の20年間
by アンディ・シュウォーツ

もともと1980年10月にリリースされたロックパイルのSeconds Of Pleasureは、ロックンロールの規範からすれば奇妙にも全く反対の立場をとっていた。大抵のデビュー・アルバムというのは集中的なツアーが行なわれ、それに引き続いてリリースされるものだが、このデビュー・アルバムはツアーとレコーディングの頂点として最後の時期にあたり、ロックパイルは1年以内に解散することになっていた。

彼らの年齢と経験は、1980年のベスト・セラー・アーチストを3つ挙げるとすれば、クィーン、ELO、そしてボブ・シーガーと同等であった。しかし彼らの控えめなスタンスとロックンロールの基本に対する確固たる献身は、エルヴィス・コステロ、プリテンダーズ、ミンク・ダ・ヴィル、ブロンディーと並んで、ポスト・パンク/ニュー・ウェイヴ・シーンの中でのロックパイルの名声を打ち立てていた。“Teacher Teacher”、“When I Wright The Book”、“Now And Always”のような巧妙なナンバーによって、ロックパイルはロックの悪疫が蔓延する中に解毒剤を提供した。彼らの音楽はよくいわれていたもの以上でも以下でもなく、それそのものだった。“それ”とはチャック・ベリーとバディ・ホリー、ビーチ・ボーイズとエヴァリー・ブラザーズ、50年代のチェスとサン、60年代のスペクター、スタックス、そしてモータウンだった。

1980年までにデイヴ・エドマンズ(ヴォーカル、ギター)とテリー・ウィリアムズ(ドラムス)はほぼ15年間、断続的に共にプレイしていた。彼らの友情は60年代初頭のウェルシュ・ビート・グループ・シーンにまでさかのぼり、彼らはパワー・トリオ、ラヴ・スカルプチャー(1966-1970)の3分の2であった。Rockpileは元々エドマンズのファースト・ソロ・アルバムのタイトルだったが、それは世界的なヒット・シングル“I Hear You Knocking”に乗じてあわただしく作られ、1971年にリリースされたアルバムだった。“I Hear You Knocking”はデイヴの愛するファッツ・ドミノ/スマイリー・ルイスのR&Bクラシックだ。

ニック・ロウ(ヴォーカル、ベース)とビリー・ブレムナー(ギター、ヴォーカル)もどちらも全く新人ではなかった。スコットランド、アバディーン出身のブレムナーは、彼が14歳の時に初めてセミ・プロ・バンドに加入していた。彼は世界的スターになっていたウォーカー・ブラザーズのバッキング、ブレンダ・リーからピンク・フェアリーズに至るあらゆるアーチストの限りないセッションに参加し、騒々しい2年間を過ごしていた。ニック・ロウは1970年から75年まで、ルーツ・ロック・バンドのブリンズレィ・シュウォーツの一員としてツアーとレコーディングを経験し、グループ6枚のアルバムのほとんどの曲を書いていた。その後、独立したロウはスティッフ・レコーズのまさに第一弾シングル、“So It Goes” b/w “Heart Of The City”を1976年にリリースした。また彼はエルヴィス・コステロ、ドクター・フィールグッド、グレアム・パーカー&ザ・ルーモア、ザ・ダムドらの歴史に残るアルバムをプロデュースした。

ニック・ロウのPure Pop For Now People(1978)やデイヴ・エドマンズのRepeat When Necessary(1979)のような称賛を受けたソロ・アルバムはクレジットあるなしにかかわらず、プレイヤー、バッキング・ヴォーカル、コンポーザーとしてロックパイルの他のメンバーが関わっていた。1977年から79年のバンドの4つのUSツアーで、ニックとデイヴはいく分交互にリード・ヴォーカルをとり、ビリー・ブレムナーも1〜2曲を歌っていた(ブレムナーはSeconds Of Pleasure収録の“Heart”でも元気なパフォーマンスを見せている)。全盛期のロックパイルはわくわくするようなライヴ・バンドであり、自信にあふれたヴェテランの一団として自らのレパートリーを楽々とやってのけ、飼いならされない若さをもったエネルギーと興奮を見せつけていた。グループのほとんど無造作な熟練技は、彼らの音楽に備わった力強さとソウルを過小評価させやすくしていたのは確かだ。

こういったアルバム(バンドも)はセールスやチャート・アクションでは測れない重要な影響を残していくことがある。我々はいかに多くのリスナーたちが彼らを聞いたあとに、ジョー・テックスやエヴァリーズの音楽に関心をもつようになったか知る由もないだろう。我々はカーディフ(ウェールズ南部)からコスタメーサ(カリフォルニア州南西部)に至るファンたちが、どのくらいデイヴ・エドマンズが示した“Crawling From The Wreckage”あるいはニック・ロウがブリンズレィズと共にプレイしていた“Play That Fast Thing(One More Time)”によって突き動かされていったかを想像するしかないのである。

過去20年間、我々はとてつもない量の‘ロック’をもたらしたが、大事な‘ロール’はほとんど置き去りにしてきた。それはビッグ・バンドからルイ・ジョーダン、チャック・ベリーへと代々伝えられていったスウィングの喜びと高揚感だ。ロックンロール。ロックパイルはそれを熟知し感じていた。そしてSeconds Of Pleasureでそれをプレイした。今、そのPleasureはあなたのものだ。

※ ※ ※

よく考えてみれば、僕の気持ちとしてはロックパイルってのは上品なバー・バンドだったんだろうね。僕らはチャック・ベリーの音楽をみんなの4倍速くプレイすることを得意にしていた。僕らは楽しむために集まって、本当に楽しんだ時にそれをレコードにしたんだ。

Kind regards,
Nick Lowe


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