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Richard & Linda Thompson/Pour Down Like Silver/2004 Universal Island Records Ltd. IMCD 306/981 790-1



英国最高のエレクトリック・ギタリストと称されるリチャード・トンプソンは、1971年1月、独自の音楽的探求の旅に出るため、フォークロックのパイオニア、フェアポート・コンヴェンションを去った。タイム誌に“最高の女性ロックシンガー”と称賛されたこともあるリンダ・トンプソンは、グラスゴーからロンドンに通う学生であったが、すぐにロンドンのフォーク・クラブに通うようになり、そこでサンディ・デニーと親しくなった。

リチャードとリンダの最初の出会いは、フェアポートが傑作Liege & Liefをレコーディングしていた1969年だ。しかしこの二人がより親密になったのは1971年だった。二人はザ・バンチのRock On、サンディ・デニーのNorthstar Grassmanに参加したが、それらに参加したのは初期アルビオン・カントリー・バンドの面々だった。リンダはリチャードのソロ・デビュー作―Henry The Human Flyにバッキング・ヴォーカルとして参加し、二人は英国最高のシンガー/ソングライターたちの作品にセッション・ミュージシャンとして呼ばれることとなった。

Pour Down Like Silverは、暗鬱で、塞ぎ込んだような、情景の浮かぶような歌の詰まった古典として風格ある作品であり、1975年最高のアルバムの1枚だ。ギタリストとしてのトンプソンはその揺らめくような、ギクシャクするような、そして時にはヤスリのような響きを持つプレイをメインに、自らのヴォーカルの可能性をも拡げてきた。希望を伴う雰囲気が支配するにもかかわらず、アルバムはリスナーに大きなカタルシスと贖罪を残してゆく。リチャードとリンダは1975年初めUKツアーで主役を務め、そこでは次作の曲が初めて披露された。レコーディングはケンブリッジ・フォーク・フェスティヴァルでの素晴らしいライヴを挟んで、その夏に始まった。

彼らの通常のレコーディング方法は、最小のオーヴァーダブでほぼ一発録りであった。参加ミュージシャンはかつてのフェアポート仲間―デイヴ・ペグとデイヴ・マタックス、それにいつものトンプソン御用達のジョン・カークパトリック、パット・ドナルドソン、そしてティミ・ドナルドだ。Hokey Pokeyに参加していたアラン・ベインとイアン・ホワイトマンがオーヴァーダブのために再び呼ばれている。英国において最も特徴的なミュージシャンのひとり、ニック・ジョーンズがフィドルを担当した。二組のリズム隊が参加しているが、アルバムの印象は憂鬱で暗い悲しみをたたえている。

その年の夏の間に二人はスーフィー信仰に傾倒した。11月リチャードはNMEにPour Down Like Silverの力強い道徳的トーンについて語っている。“ある意味今回は、レコードで僕ら自身はさほど重要ではないんだ。自己もなく自我もない。これまでのアルバムはイスラム教徒になる前だから。”楽曲は寓意的だ。“なにか自己についてというよりも人間についてかな。”聴いてみると、スーフィーの神秘的な詩によって普通のラヴ・ソングが次第にスピリチュアルな切望を伴った歌へと変貌していくかのようだ。

Pour Down Like Silverは元々1975年11月、アイランドからリリースされた(ILPS 9348)。今回のリマスターで我々は2曲の未発表ライヴと、トンプソンのguitar, vocalに収録だった2曲ライヴを追加した。Streets of Paradiseは1975年9月7日、ロンドンのラウンドハウスで収録された。Night Comes Inは1975年11月27日、オックスフォード技術専門学校でのライヴである。ダン・ペン/チップス・モーマンの古典、Dark End of the Streetとリチャード作Beat The Retreatは、1975年3月25日ロンドンのクィーン・エリザベス・ホールでのライヴだ。

デヴィッド・サフ、2004年1月


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