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Etta James/Tell Mama/2001 MCA Records 088 112 518-2



アラバマ州の田舎、マッスル・ショールズにあるレコーディング・スタジオ、FAMEは元カントリー・フィドラーのリック・ホールによって経営され、1962年以降数々のヒットを生み出してきた。最初はアーサー・アレキサンダー(ドット・レーベルでの)とジミー・ヒューズ(彼自身が書いた“Steal Away”はホールのフェイム・レーベル第1弾であった)だった。アトランティック・レコーズのジェリー・ウェクスラーがウィルソン・ピケットの“Land Of 1000 Dances”とそれに続く“Mustang Sally”を引っさげてフェイムに乗り込んできた1966年に、水門は一気に開かれた。1967年1月、ウェクスラーがアトランティックの新人アレサ・フランクリンの“I Never Loved A Man(The Way I Love You)”をフェイムでレコーディングし、これはアレサを“Queen of Soul”へと仕立て上げたが、これは元々ライバルのチェス・レコーズの女性ヴォーカル・スターであったエタ・ジェイムスのために用意されていた曲だった。

【負けじとばかりに】

“ニューヨークの商売人(ユダヤ人)”と、チェスのボス、レナード・チェス(彼自身ユダヤ人だった)はウェクスラーのことをそう呼んでいた。このシカゴのレーベルはフェイム・レコーディングを敢行するために、シンガーたちを送り込み始めていた。最初はローラ・リー、続いてアーマ・トーマスで、二人ともそこそこのR&Bヒットを放った。1967年8月、レナード・チェスは保護下にあった才能あるエタ・ジェイムスと共にマッスル・ショールズに到着した。彼女はボーイフレンドと2匹のフレンチ・プードル犬を連れてきていた。

ジェイムスは1960年から63年の間にチェスで一連のトップテンR&Bヒットを飛ばしていたが、その4年間で大ヒットとなったものはなかった。しかしホールは彼女にぴったりのべらぼうにハードなナンバー、“Tell Mama”を持っていた。これはクラレンス・カーターが書き、元々は彼が“Tell Daddy”として1年前にフェイム・レーベルに吹き込んでいた曲だった。“Tell Mama”はジェイムスの目的にかなうものとなったが、結局これが彼女の最後のトップテンR&Bヒットとなった。今日、これは“At Last”と並ぶ彼女を代表するナンバーとなったが、なぜかジェイムスは今では決まっていずれの曲のリクエストに応えることを拒否している。しかし“Tell Mama”のB面だった“I’d Rather Go Blind”は今でも彼女の重要なレパートリーである。

ロサンゼルス生まれのこのシンガーは、1967年と68年に計4回マッスル・ショールズを訪れた。レナード・チェスは最初の2回は同伴していたが、彼はリック・ホールに創造的なコントロールは任せていた。“彼は自分の仕事をリックにさせたんだ。リックはそれを引き受けて、自分でレコードをプロデュースしてしまったんだから感服したね。”ギタリストのジミー・ジョンソンは回想する。

“リックはワンマンショーのごとく仕事をするんだ。”キーボーディストのバリー・ベケットはいう。“彼は自分がやりたいようにアレンジしてしまうんだ。”

一方で十分に熟練したミュージシャンではなかったホールは、自分の欲しい音を歌ってみせたり、ベースあるいはアコースティック・ギターで見本を示すことができた。“時々彼はアコースティック・ギターを持ち込んできてこういうんだ。‘このフレーズをギターで教えてほしんだ。’ってね。”ジョンソンは回想する。“彼は教えてもらったとおりに弾いて、それを僕が弾けばもう少し良くなるってわけさ。ベース・ラインも同様だったね。彼はデヴィッド[フッド]にベース・ラインをハミングして聞かせることができたんだ。彼は絶対音感を持っていた。グッド・ハーモニーを歌えたし、アレンジ・パートも得意だった。彼がやる多くの部分はそこだけ聞くとよく分からないんだけど、それを通してやってみると素晴らしいレコードが出来上がっているというわけだ。”
このことはもちろんシンガーが素晴らしくなくてはならず、ジェイムスはマッスル・ショールズのミュージシャンたちが楽しんで仕事をすることのできた最高のうちの一人だった。“エタは信じられなかったね。”ジョンソンはいう。“彼女とアレサは即座に曲を理解する能力を持っていた。彼女はヘッドホンを通じて完全に僕らを酔わせてしまって、それが僕らにいいプレイをもたらしてくれたね。ここで聞けるのはどれもバンドのライヴ演奏だよ。バンドはエタのいかしたリズムに鳥肌が立って凍死してしまうほどだったな。彼女は完全にバンドのパフォーマンスを支配していたね。”

Lee Hildebrand


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