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HAWAIIAN GUITAR MAGIC VOL.2
ROMANTIC SCREEN MUSIC


Hawaiian Guitar, Ukulele, Keyboard & Arrangement : Ricky Miya


                @ 虹の彼方に Over The Rainbow (1939 USA)
                A 裸足のボレロ La Contessa Scalza (1954 USA)
                B 魅惑の宵 Some Enchanted Evening (1958 USA))
                C ムーン・リバー Moon River (1961 USA)
                D いそしぎ The Shadow Of Your Smile (1965 USA)
                E 追憶 The Way We Were (1973 USA)
                F ベニスの夏の日 Summertime In Venice (1955 England)
                G アゲイン Again (1948 USA)
                H シャレード Charade (1963 USA)
                I エイプリル・ラブ April Love (1957 USA)
                J 遥かなるアラモ The Green Leaves Of Summer (1960 USA)
                K ラブ・レター Love Letters (1945 USA)
                L セプテンバー・ソング September Song (1950 USA)
                M 女王蜂 L'Ape Regina (1963 Italy)
                N 白い恋人たち 13 Jours En France (1968 France) 


 60年代、私は念願かなって撮影所の門をくぐることができました。その頃の映画界は五社協定というルールに縛られていて、新生日活は他社の俳優を使うことができず(一部の気骨ある俳優たちは好んで新天地を求めてきましたが・・・)自社でスターを育てざるを得ない状況ということもあり、他の撮影所には無い近代的な設備のステージが林立する中に若々しい活気が満ち溢れていました。吉永小百合、和泉雅子、浅丘ルリ子、松原智恵子や石原裕次郎、小林旭、和田浩治、赤木圭一郎、宍戸錠、後には高橋英樹などがメインストリートを闊歩していました。
 配属された技術課で、私は新しい特撮技術の研究に明け暮れていました。

 そんな頃、もともと好きだった音楽を本格的に勉強しようと思い立ち、東京、中野の楽器店でスティールギターの先生を紹介してもらいました。それが早稲田大学在学中に学生バンドの名門、早大ナレオ・ハワイアンズのジュニア・バンドでスティール・ギターを弾いていたという平田茂雄さんです。
 自由な職場で私は自分のバンドを作り、地元の調布公民館で開催されるダンスパーティーなどに出演することができました。熱心に指導してくださった平田さん。ステージではいつも私の横にウクレレを弾く彼がいました。今でも彼を忘れることはありませんし、「こういう風にコードを変化させたら」と言われたことなどを守り続けています。

 歌声喫茶では哀愁を帯びたロシア民謡の歌声が響き、ラジオやテレビからハワイアンやジャズ、ラテンが流れる時代でした。ロードショウ館ではアメリカ映画やイタリア映画、フランス映画の新作が公開されていました。あちこちの名画館では旧作の三本立が上映されていました。モナコ王妃になったグレース・ケリーはもう旧作でしか見ることができませんでしたが、オードリー・ヘプバーンは相変わらず活躍していました。若者たちは貧乏でしたが、今の若者たちよりも夢に満ち溢れていたような気がします。私の音楽の原点はこの種々雑多な西洋の文化に溢れた東京の繁華街や路地裏やライブハウス、それに多摩川べりの撮影所だったと思います。

 今回のCDを制作するに当たり、もう一度聴きたい曲を選曲しようと時間をかけましたが、その過程でオードリー・ヘプバーンの主演した映画のテーマがことごとくヒットしていることに気づきました。それに引き換え、グレース・ケリーの映画でヒットしたテーマ音楽は「上流社会」以外にほとんど無いのです。不思議な発見でした。もっとも主演作品の本数がまったく違うことも原因のひとつでしょう。
 考えてみるとこのCDのルーツは恩師平田茂雄さんです。彼にこのCDを捧げたいと思います。




@ 虹の彼方に(Over The Rainbow)
 1939年にアメリカのMGMが製作したカラー映画 オズの魔法使(Wizard of Oz)で主演のジュディ・ガーランドが映画の中で歌った主題歌で、後にジャズ歌手のサラ・ヴォーン、フランク・シナトラ、ドリス・デイ、ローズマリー・クルーニーなども歌ってジャズのスタンダード・ナンバーになった名曲です。誰でもどこかで聴いたことがあると思います。
 この映画の日本での公開は戦後の1954年です。ジュディ・ガーランドは美少女というよりも大きな眼が印象的な少女でした。
 この映画のプロデューサーはマーヴィン・ルロイ、監督は風と共に去りぬ(1939年公開、日本公開:1952年)のヴィクター・フレミングで、作詞はエドガー・イップ・ハーバーグ、作曲はアカデミー音楽賞に輝いたハロルド・アーレン(It's Only A Paper Moonなど名曲を数多く残した)です。
 私はドリス・デイの歌うこの歌が好きでしたが、今はハワイアン歌手イズラエル・カマカヴィヴォーレがウクレレをバックに歌っているのが好きで、時々聴いています。


A 裸足のボレロ(La Contessa Scalza)
 映画のファーストシーンは雨の日の北イタリアの墓地、ヒロインの葬式でした。この寒々とした光景は自由奔放なフラメンコのダンサーからハリウッド女優そして伯爵夫人に上り詰めたヒロインの悲劇を暗示していました。
 雨の中に佇むひとりの男、ハンフリー・ボガート扮するハリウッドの映画監督の回想でこの映画は進行しますが、タイトルバックにも流れた激しくも悲しみを帯びたテーマ曲がヒロインが裸足で踊る野外のシーンで流れます。ヒロインのその後の運命を象徴的に表現した名曲だと思います。この映画は1954年フィガロ・プロダクション作品です。
 メガホンを取ったのは巨匠ジョセフ・L・マンキウィッツ(イブの総て)、撮影は名カメラマンとして有名なジャック・カーディフ(黒い牡牛戦争と平和ナイル殺人事件)、音楽担当はテーマを作曲したイタリア映画音楽の作曲家マリナ・ナシンベーネ(武器よさらば、カルタゴ、王家の谷)です。エヴァ・ガードナー(キリマンジャロの雪、渚にて)がヒロインを演じ、イタリア人のハンサム俳優ロッサノ・ブラッツィ(旅情)が戦争で負傷して故郷に帰った伯爵、前述のハンフリー・ボガート(カサブランカ、麗しのサブリナ)が映画監督の役で出演しました。


B 魅惑の宵(Some Enchanted Evening)
 1958年に公開されたアメリカ映画南太平洋のテーマ曲でバリ・ハイと共にヒットしました。ロングランを続けたブロードウェイ・ミュージカルの映画化で監督は舞台と同じジョシュア・ローガン(サヨナラ)、作詞とシナリオをオスカー・ハマースタイン2世、作曲をリチャード・ロジャースが担当しました。出演はロッサノ・ブラッツィ(旅情裸足の伯爵夫人)、ミュージカルスターのミッチー・ゲイナー(魅惑の巴里ショウほど素敵な商売はない)、ジョン・カー(お茶と同情)などです。
 ロケ地はハワイのカウアイ島と聞いて、美しい風景を期待して見ましたが、期待に反してカラーフィルターを多用したためにカウアイの自然は美しくなかったことを憶えています。後で分かりましたが、これは舞台の影響が強かったために起こったことのようです。
 音楽はすべてすばらしいものでした。私は魅惑の宵よりもバリ・ハイが好きです。今回の選曲でははずしましたが、楽しみをとっておこうと思ったからで、シリーズ第三集には必ず入れようと考えています。


C ムーン・リバー(Moon River)
 オードリー・ヘプバーンが主演したティファニーで朝食をのテーマ曲で、黒いドレスに身を包んだオードリーヘプバーンが宝飾店ティファニーの前に登場するファーストシーンに流れました。シンフォニー・オーケストラの演奏と混声コーラスの音楽はとても優雅で、私はどんなにロマンティックなストーリーが展開するのだろうと胸をときめかせて見たものです。
 トルーマン・カポーティの小説を映画化したもので、原作者はヒロインにマリリン・モンローを希望したそうですが、紆余曲折の末にオードリー・ヘプバーンが起用されたそうですね。洗練されたドレスを着るヒロインはやはりオードリー・ヘプバーンが適役だと思います。1961年パラマウント映画作品です。監督はブレイク・エドワース、オードリー・ヘプバーンの相手役にジョージ・ペパード(酒とバラの日々ピンク・パンサーのシリーズ)、映画と同様に大ヒットしたテーマ曲を作曲したのは映画音楽の大御所ヘンリー・マンシーニです。
ヒロインが住む部屋の上の部屋に住む日本人らしい独身男をミッキー・ルーニーが演じていますが、アメリカ人の日本人に対する観念はこうなんだと思ったものです。とても印象に残りました。


D いそしぎ(The Shadow Of Your Smile)
 エリザベス・テイラー(陽のあたる場所バタフィールド8クレオパトラ)とリチャード・バートン(クレオパトラ予期せぬ出来事)がカリフォルニアの美しい海岸を舞台に繰り広げる不倫の物語のテーマ音楽です。タイトル・バックの海岸のシーンに流れるテーマ曲はトランペット・ソロとシンフォニーの演奏がバランスよくアレンジされていて、これから始まる波乱のストーリーを暗示しているように思いました。海岸の映像によく似合ったゆったりしたテンポです。
 メガホンを取ったのは、北北西に進路をとれ巴里のアメリカ人炎の人ゴッホのヴィンセント・ミネリ、音楽担当はこの曲を作曲してアカデミー賞歌曲賞に輝いたジョニー・マンデルです。映画を知らなくてもこの音楽をどこかで聴いたことがあると思う人は多いでしょう。
 映画では主演の二人のほかにエヴァ・マリー・セント、チャールズ・ブロンソンなどが脇を固めています。
 私はCDに納めるこの曲のアレンジを映画のサウンドトラックとはまったく異なるラテン風にしました。


E 追憶 (The Way We Were)
 Memories, light the corners of my mind. Misty water color memories of the way we were.   なんて素敵な歌詞でしょう。メロディーもどこかで聴いたような気がすると思いませんか。今までの人生をじっくりと振り返りたくなるような気にさせる名曲です。
 シドニー・ポラック監督(大いなる勇者)による1973年の同名の映画のテーマ曲です。ロバート・レッドフォード(明日に向かって撃て!スティング大統領の陰謀)、バーブラ・ストライサンド(ファニーガール・・・アカデミー賞主演女優賞、後に作曲家としてスター誕生でアカデミー賞受賞)が大学のクラス・メイトに扮し、結婚から離婚し、そして再会するまでを演じていました。第二次世界大戦前後の波乱の時代に、価値観の異なる二人が時代に翻弄されて違う人生を生きる姿には、こういう愛の形も実在したかもしれないと考えさせられたものです。
 冒頭の歌詞を書いたのは、アラン・バーグマンとマリリン・バーグマン夫妻、作曲はこの映画で音楽を担当したマーヴィン・ハムリッシュ(スティング007/私を愛したスパイソフィーの選択コーラス・ライン)で、彼はこの曲でアカデミー賞歌曲賞に輝きました。私の大好きな曲のひとつです。


F ベニスの夏の日 (Summertime In Venice)
 キャサリン・ヘップバーン(アフリカの女王)、ロッサノ・ブラッツィ(裸足の伯爵夫人愛の泉)主演のこの映画、旅情は、ブロードウェイの戯曲の映画化で、1955年に公開されましたが、映画と共に哀愁を帯びたテーマ音楽も大ヒットしました。作詞C・シグマン、作曲はA・イチーニです。主演したロッサノ・ブラッツィの歌ったヴァージョンもありましたが、オーケストラの演奏のほうがロマンティックでよかったように思います。イタリアの映画音楽の作曲家といえば、ニノ・ロータ、マリナ・ナシンベーネが有名ですが、この映画の音楽を担当したアレッサンドロ・チコニーニ(自転車泥棒パンと恋と夢殿方ごろし)も多くの映画音楽を手がけました。私の好きな映画終着駅も彼が音楽担当でした。
 映画はアメリカ人のハイ・ミスが念願かなって旅に出るのですが、滞在したヴェニスで骨董店の主人と恋に落ちるというお話です。寂しいハイミスに夢のような数日が実現しますが、臆病な彼女にはその先に進むことができずに別れを決意します。彼女が立ち去るホームに立ち尽くす彼、心に残るラストシーンでした。
 イギリス映画の巨匠デヴィッド・リーン(戦場にかける橋アラビアのロレンスドクトル・ジバゴ)の監督作品です。
 私はこの曲のアレンジではスローなラテン調にしました。


G アゲイン(Again)
 50年代初頭にドリス・デイの歌でヒットしたこの曲が映画主題曲であることを、私が知ったのはこのCDの企画中のことです。今でもピーナッツの香ばしい匂いを嗅ぐたびに、洋画好きな友人の部屋でピーナッツを食べながら聴いた、スピーカーから流れてくるハスキーなドリス・デイの数々の歌が頭をよぎります。不思議な条件反射とでも言ったらいいのでしょうか? その中でも特に好きだった曲がアゲインです。
 AGAIN, This couldn't happen AGAIN.  This is that once in a life-time.  This is the thrill divine.
 
CDの選曲をしているときに気がつくと口ず゙さんでいました。歌詞まで憶えているとは・・・。私の記憶力も捨てたものではありませんね?
 もしかしたら映画音楽かも知れないと思って曲集の目次を見ると、映画音楽と書いてあるではありませんか。即座にこの曲を選びました。
 インターネットで調べました。この映画 ROAD HOUSE は1948年製作の日本で未公開の二十世紀フォックス作品です。監督はジーン・ネグレスコ(百万長者と結婚する方法愛の泉足ながおじさん島の女)、音楽はシリル・モックレッジ、主演は、アイダ・ルピノ、コーネル・ワイルド、悪役で鳴らした名バイ・プレイヤー、リチャード・ウィドマークです。日本では最近、WOWOWでオンエアされたそうですね。ご覧になった方もいらっしゃると思います。主演したアイダ・ルピノが映画の中で歌っているそうですが、フランク・シナトラ、ナット・キング・コールをはじめ日本ではジャズ歌手の真梨邑ケイ、美空ひばりなども歌っています。


H シャレード(Charade)
 この映画は1963年、スタンリー・ドネン監督(雨に歌えば略奪された七人の花嫁パリの恋人いつも二人で)が製作したロマンティック・サスペンスです。主演のオードリー・ヘプバーンはデビューしたローマの休日(1953)、翌年の麗しのサブリナ(1954)で一気にスターの座に駆け上った感がありましたが、それから十年、従来の可愛らしさは衰えることもなく、演技力にも磨きがかかっているように思いました。
 オードリー・ヘプバーンの相手役には、そのとき既に59歳だったベテラン俳優ケーリー・グラント(北北西に進路を取れ)で、ジェームズ・コバーン(荒野の七人が印象的)、ウォルター・マッソー、ジョージ・ケネディなどが脇を固めた豪華な配役です。
 題名のシャレードはジェスチャーゲームの意味で、この映画の「謎が謎を呼ぶ」という内容を表しているのでしょう。
 音楽を担当したのは映画音楽の巨匠とも言うべきヘンリー・マンシーニ(ティファニーで朝食を・・・アカデミー賞音楽賞)です。映画のタイトルバック(図形のアニメーション)に流れるテーマ音楽はロマンティックなメロディーでありながらパーカッションを強調した軽快な演奏で、これから始まる映画のミステリーとサスペンスを予感させるものでした。このテーマ音楽はヘンリー・マンシーニ・オーケストラの演奏、或いはアンディー・ウィリアムスやマット・モンローなどのヴォーカルで広く知れ渡り、スタンダード・ナンバーになっています。作詞はジョニー・マーサーです。
 なお、オードリー・ヘプバーンが主演してヘンリー・マンシーニが音楽を担当した作品は、上述したティファニーで朝食を(1961)、暗くなるまで待って(1967)の二作品があります。
 余談になりますが、オードリー・ヘップバーンは1993年に63歳で亡くなりました。


I 四月の恋(April Love)
 1957年に製作された人気歌手パット・ブーンとシャーリー・ジョーンズ主演の青春映画の主題曲です。
 監督はヘンリー・レヴィン(真紅の女覆面の騎士、やはりパット・ブーン主演の地底探検)、音楽担当は映画音楽で有名なアルフレッド・ニューマンですが、この歌は作詞ポール・フランシス・ウェブスター、作曲サミー・フェインです。このコンビは初恋(ジーン・ケリー、ナタリー・ウッド主演、1958年作品)、フランソワズ・サガン原作のベストセラー小説を映画化したある微笑(ロッサノ・ブラッツィ、ジョーン・フォンテイン主演、1958年作品)でも主題曲を作っています。この映画の製作より前の1953年にはドリス・ディー主演のカラミティー・ジェーンでも主題曲を作っていますが、私はドリス・ディーが歌うこの歌をよく聴きました。作曲のサミー・フェインは1930年代から活躍していた作曲家のようですね。
 四月の恋はパット・ブーンの美声と美しいメロディーで一世を風靡しました。彼が歌った代表的なヒット曲は他に砂に書いたラブレターがあります。どちらも美しいバラードで、私の大好きな歌です。


J 遥かなるアラモ(The Green Leaves Of Summer)
 西部劇で活躍していた俳優ジョン・ウェインが初めて製作・監督した作品アラモ(1960)のテーマ音楽です。
 映画はメキシコ領だったテキサスの独立戦争で最も激しい戦闘が繰り広げられたアラモ砦の攻防を描いたもので、熱烈な愛国者でもあるジョン・ウェインがどうしても製作したかった題材だったと言われています。ジョン・ウェインは私財を投げ打って製作しましたが、興行的には成功したとは言えなかったようです。共演者は悪役で鳴らしたリチャード・ウィドマーク(ワーロックゴーストタウンの決斗シャイアン、オリエント急行殺人事件)、ローレンス・ハーヴェイ(ロミオとジュリエットバタフィールド8)などです。
 なお、この映画では長年、ジョン・ウェインとコンビを組んできた巨匠ジョン・フォード(駅馬車黄色いリボン静かなる男紅の翼)が監修をしました。
 主題曲を作曲したのはディミトリ・ティオムキン(紅の翼でも主題曲がヒットした)、作詞はポール・フランシス・ウェブスター(四月の恋初恋ある微笑)。
 当時、カレッジ・フォークの先駆者であったブラザース・フォーが歌って大ヒットしました。ブラザース・フォーは1957年にシアトルで結成されたフォーク・ソングの四人グループで、アコースティック・ギターとウッド・ベースとコーラスというシンプルで爽やかなスタイルで次々とヒットを飛ばしました。現在も活動を続けていて、毎年日本でも公演があるそうですね。
 なんとなく哀愁を帯びたメロディとブラザース・フォーのスタイルが映画の内容に非常に合った主題歌だと思います。


K ラブ・レター (Love Letters)
 昔むかし、私はジュリー・ロンドンのヴォーカルでこの歌を覚えました。ジュリー・ロンドンのマイルドでハスキーがかった声にぴったりの曲で、意味も分からずにうっとりと聴いていたものです。映画のテーマ曲であることを知ったのは、このCDを企画中のことでした。そんなわけでこの映画についてまったく知りませんでした。
 調べてみますと、この映画は1945年(終戦の年ですね)にパラマウント映画で製作されました。日本における公開は1948年のことです。
 監督はウィリアム・ディターレ(旅愁・・・主題曲はセプテンバー・ソング、北京超特急情炎の女サロメ)、主演はジェニファー・ジョーンズ(終着駅慕情武器よさらば)とジョセフ・コットン(ガス燈、第三の男、ジェニイの肖像)で、音楽担当はヴィクター・ヤング(大砂塵愚かなり我が心シェーン)です。この監督、主演の二人、音楽のヴィクター・ヤングは旅愁でも一緒に仕事をしています。
 多くの歌手がレコードを出すほどの名曲ですが、映画の完成時には歌詞が無く、アカデミー音楽賞にノミネートされたそうです。その後、エドワード・ヘイマンが作詞をして、エルヴィス・プレスリー(1966)、ザ・レターメン(1966)も歌っています。
 Love letters straight from your heart.  Keep us so near while apart.  I’m not alone in the night. When I can have all the love you write,・・・・・
 私の愛唱歌です。


L セプテンバー・ソング(September Song)
 私が生まれ育った東北の牧場では九月になると、秋が来たことを知らせる冷たい風が草原を吹きわたり始めたものです。その頃になると、セプテンバーソングがラジオから頻繁に流れたような気がしますが、これは私の勘違いかもしれません。哀愁を帯びたテナーサックスの演奏が好きでした。私はサックスではなくコルネットで練習しましたが、楽譜も無く、音を探しては吹くというやり方で、なかなかうまく出来ませんでしたね。ほんとうに名曲だと思います。
 この曲は1950年に製作されて1952年に公開された旅愁の挿入歌として映画の雰囲気を盛り上げましたが、もともとはブロードウェイのミュージカル、ニッカーボッカー・ホリディ(1938)の音楽として作られました。ミュージカルの舞台でウォルター・ヒューストンが歌った曲をリレコーディングして使ったことは世に広く知れわたっているようです。
 作詞はマクスウェル・アンダーソン(ニッカーボッカー・ホリディのライター)、作曲はマック・ザ・ナイフ(三文オペラのテーマ曲)で知られるクルト・ワイルです。 旅愁が公開されてからでしょうか。いつの間にかジャズのスタンダード・ナンバーになり、パティ・ページやフランク・シナトラもレコーディングしています。
 この映画の監督はラブ・レターの項で前述したウィリアム・ディターレで、音楽担当はヴィクター・ヤング。ジェニファー・ジョーンズとジョセフ・コットンが共演しました。この歌のようにしっとりとしたロマンティックな映画でした。


M 女王蜂(L'Ape Regina)
 1963年に製作されたイタリア映画のテーマです。
 この映画の監督は脚本も原作者と共同執筆したマルコ・フェレーリ、主演はこの映画でカンヌ映画祭の最優秀女優賞に輝いたマリナ・ブラディ(飾り窓の女新・七つの大罪)とウーゴ・トニャッティ(狂ったバカンス)です。マリナ・ブラディの光り輝くような若々しさとはつらつさに魅せられたものです。
 音楽を担当したのはテオ・ウスエリで、この曲を作曲しました。サウンド・トラックのレコードが発売されてヒットしました。ソプラノ・サックスらしい管楽器が奏でる魅惑的な音楽でしたが、この映画の雰囲気によく合っていたと思います。
 私が持っている曲集では、Dマイナーで、テンポはAllegro Brillante でしたので練習では120のテンポでやってみましたが、なんとなく速すぎるように感じたので、少し遅めにしました。サウンド・トラック盤を聴いてみますと、テンポは96でEマイナーでしたが、私は楽譜の通りにDマイナーで演奏してレコーディングしました。私のチューニングではDマイナーが一番きれいな演奏ができるように思うものですから。はたして、Brillante(華麗に)演奏できたのでしょうか。


N 白い恋人たち(13 Jours En France)
 1968年にグルノーブルで開催された第十回冬季オリンピックの記録映画のテーマ音楽です。監督はクロード・ルルーシュ(男と女・・・カンヌ映画祭パルムドール賞、パリのめぐり逢い恋人たちのメロディ)とフランソワ・レシャンバック(世界的に著名なドキュメンタリー映画作家、アメリカの裏窓)、音楽を担当したのはフランスの映画音楽に欠かせない音楽家フランシス・レイです。作詞はピエール・バルーです。なお、恋人たちのメロディではフランシス・レイが盲目のアコーディオン弾きの役で出演しています。
 フランシス・レイの曲はいずれもヒットして私も好きな曲が多いですが、スティール・ギターの演奏に向かないと感じています。例えば、男と女ある愛の詩さらば夏の日などです。曲の構成上で八分音符の連続が多いからです。スティール・ギターのサウンドの特徴を生かせないと感じていますが、これは私の感覚的な問題、あるいはテクニックに問題があることかもしれません。いつかこれを解決して自分でも聴きたいと思うような演奏をしたいと考えています。すべては練習量が解決してくれることかと思います。(2009年3月22日 台北の小さなワークショップにて Ricky Miya 記)