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              HAWAIIAN GUITAR MAGIC VOL.1
           GLORIOUS SCREEN MUSIC


Hawaiian Guitar, Ukulele, Keyboard & Arrangement : Ricky Miya

            ① アナスタシア:Anastasia (1956/USA)
            ② ロミオとジュリエット:A Time For Us (1968/Italy)
            ③ イルカに乗った少年:Boy On A Dolphin (1957/USA)
            ④ 禁じられた遊び:Romance (1951/France)
            ⑤ 酒とバラの日々:Days Of Wine And Roses (1963/USA)
            ⑥ ジャニー・ギター:Johnny Guitar (1954/USA)
            ⑦ 黒いオルフェ:Orfeu Negro (1959/France,Brazil & Italy)
            ⑧ シェルブールの雨傘:Les Parapluies De Cherbourg (1963/France)
            ⑨ 慕情:Love Is A Many-Splendored Thing (1955/USA)
            ⑩ 鉄道員:Il Ferroviere (1956/Italy)
            ⑪ 君の思い出:Memories Of You (1955/USA)
            ⑫ 太陽がいっぱい:Plein Soleil (1960/France & Italy)
            ⑬ 夜霧のしのび逢い:La Playa (1963/Greece)
            ⑭ 帰らざる河:The River Of No Return (1954/USA)
            ⑮ ゴッド・ファーザー:Speak Softly Love (1972/USA)

 インター・ネットの普及した今は、調べたいことは全部とは言えないまでも分かる時代です。DVDも手ごろな値段で買うことが出来ます。私が映画やそのテーマ音楽を解説することは必要ないかもしれません。ましてや子供の頃から映画が好きで終には日本映画の製作現場に身を置いた私には、その苦しさ、楽しさを体験しているだけに、評論や解説はとても畏れ多くて出来ません。そこで、「解説」や「評論」にはこだわらず、コーヒーを飲みながら気楽に、思いつくままに記述してみました。私自身の個人的なことにも少し触れました。

 ハワイでは今はスティール・ギターの代わりにスラック・キー・ギター、アコースティック・ギター、それにベースとウクレレで歌と演奏をするスタイルがスタンダードになったように思います。より素朴で自然なサウンドになっているというのも時代の要求でしょうか。しかし、私はスティール・ギターが「古い楽器で流行らない」と一言で片付けられる楽器ではないと思いますし、ハワイアン音楽だけに使われる楽器ではないと思っています。現に10本から12本、或いは20本、24本の弦を持つペダル・スティール・ギターは複雑な和音にも対応するように変身し、アメリカではポピュラー・ミュージックで活躍するスティール・ギタリストもいるようです。私はこのCDを制作する過程で、スティール・ギターはハワイアンだけのものではないことを改めて感じました。

 音楽はその時代を映す水溜りです。このCDを聴いて、映画のワンシーンを思い出したり、心の奥底に眠っている過ぎ去った日々を静かに思い起こしていただければと思います。決して「古い!」の一言で片付けないでください。また、若い世代には、こういう音楽もあるとあらためて思っていただければ幸いです。(2008年風薫る5月、台北の小さなワークショップにて)



① アナスタシア:Anastasia
 イタリアン・ネオ・リアリズムの巨匠ロベルト・ロッセリーニのもとへ飛び込んだことによってハリウッドを追放状態になっていたイングリット・バーグマンが数年ぶりにハリウッドにカム・バックした最初の映画です。1944年に主演したガス燈によりアカデミー主演女優賞を受賞していたイングリット・バーグマンは、この映画で二度目のアカデミー主演女優賞を受けました。監督はアナトール・リトヴァク。イングリット・バーグマンの愁いを帯びた美しさはとても魅力的でしたが、それよりも共演のユル・ブリンナーの存在感が気になった映画だったように思います。日本では追想というタイトルで公開されました。
 音楽は有名な作曲家アルフレッド・ニューマンです。テーマ音楽のメロディーは映画の神秘的な内容にぴったりなEマイナーの曲で、その当時私はイングリット・バーマンの哀愁を帯びたクローズ・アップを思い出しながらよく口ずさんでいました。ここ数年、私のバンドのスタンダード・ナンバーとして演奏していますが、年配の方々には喜ばれているように思います。


② ロミオとジュリエット:A Time For Us
 この映画は、皆さんどなたでもご存知のイギリスの作家ウィリアム・シェークスピアの戯曲をフランコ・ゼフィレッリ(じゃじゃ馬ならしブラザー・サン・シスター・ムーン)が1968年に脚本・監督した作品です。ジュリエット役のブェノス・アイレス生れの新人オリヴィア・ハッセー(15歳)はこの映画でスターになりました。とりわけ日本では大人気で、テレビCMの出演や映画出演もあったほどです。映画は大ヒットしましたが、全編に流れる美しく哀調を帯びたワルツも大ヒットし、その後ポピュラー・ミュージックの代表的な曲になりました。作曲したのはフェデリコ・フェリーニ監督作品(道、甘い生活、ボッカチオ、世にも怪奇な物語など)にかかせないイタリア音楽界の巨匠ニーノ・ロータ(太陽がいっぱい山猫)です。
 二、三年前になりますが、小学校でフルートを吹いていた孫娘が我が家でこの曲を練習していました。40年たった今でも、ほんとうに世界中どこの街角でも流れる音楽になっているんですね。
 数年前に私は台湾日本人会のイベントで一度だけこの曲を演奏しました。


③ イルカに乗った少年:Boy On A Dorphin
 映画の原題名はBoy On A Dolphinですが、日本で公開されたときは島の女でした。ローマ生れでカルロ・ポンテ監督の映画に数多く出演していたソフィア・ローレンがハリウッド映画で初主演した映画です。彼女のグラマラスな肢体は評判になりましたが、私はヒューゴー・フリードホーファーが担当したテーマ・ミュージックに心を惹かれました。ソフィア・ローレンの歌声はジュリー・ロンドンが担当したそうです。この映画で共演した男優アラン・ラッドは、シェーンの栄光は過去のものという感じで元気が無かったですね。ソフィア・ローレンの若さと肉体美に圧倒されたんでしょうか。
 ソフィア・ローレンはその後イタリア映画の名匠ヴィットリオ・デ・シーカのふたりの女(1960)に出演してアカデミー女優主演賞を受賞し、その演技力を評価されました。私はふたりの女よりも10年後に製作された同じ監督のひまわりの方が個人的には好きです。
 島の女のテーマ音楽は私の好みでやはりバンドのスタンダード・ナンバーにして、いつもソフィア・ローレンの水着姿を思い出しながら演奏しています。


④ 禁じられた遊び:Romance
 禁じられた遊びを演奏してみたいという動機でギターを買った人はどれだけいるでしょうか。私もその中の一人で、上京してすぐに質流れのベニヤ板で作られたギターを買いました。フレットは不正確だし、響きは悪いし・・・。その後ギターがうまくならなかったのはこのギターのせいかもしれませんね。1952年に製作、公開されたフランス映画禁じられた遊びはそんな社会現象を生み出したのではないかと思います。
 映画のラスト・シーン。駅の雑踏の中で戦災孤児の少女ポレットが「ミシェル。ミシェル・・・」と叫ぶシーンは涙なくして見られませんでしたね。戦争はいけないと思ったものでした。
 ルネ・クレマン監督の白黒作品禁じられた遊びのすばらしさは何も語る必要が無いと思えるほどです。音楽担当はナルシソ・イエペスです。全編を流れるギター曲はもともとスペイン民謡で、ギター初歩の楽譜集にも必ず入っているようですが、弾いてみるとその難しいこと・・・。
 私はギター曲として知られているこの曲をスティール・ギターで弾く試みを数年前から続けています。しかし、自信が無くて未だにステージで演奏したことはありませんでしたが、今回このCDに入れてみました。


⑤ 酒とバラの日々:Days Of Wine And Roses
 1962年に製作されたブレイク・エドワース監督作品で日本では1963年に公開されました。アルコール中毒にはまっていく夫婦を描いたシリアスな作品で、喜劇俳優のジャック・レモン(お熱いのがお好きに主演)が社会派の演技を見せてくれました。ブレイク・エドワース監督はティファニーで朝食を(オードリー・ヘプバーン主演)の翌年にこの映画を演出しました。音楽はティファニーで朝食を(テーマ曲はムーン・リヴァー)でもエドワース監督と組んだヘンリー・マンシーニです。ヘンリー・マンシーニは姓で分かるようにイタリア系アメリカ人だそうです。彼はその後、シャレード(1963)、暗くなるまで待って(1967)、ひまわり(1970)などでも音楽を担当しました。彼の作品はほんとうに美しい旋律と独特の風格がありますね。私は大好きです。
 この映画のタイトルバックに流れる酒とバラの日々はオーケストラと混声コーラスで美しく仕上げられていると思いました。この曲はその後、ジャズのスタンダード・ナンバーになりましたが、私はこのCDでジャズの雰囲気のアレンジを試みました。ウクレレの演奏も加えましたが自分ではけっこう気に入っています。


⑥ ジャニー・ギター:Johnny Guitar
 この映画の原題名はJohnny Guitar ですが、日本では大砂塵というタイトルで公開されました。1954年に製作されたスターリング・ヘイドン、ジョーン・クロフォード主演の西部劇です。監督はニコラス・レイ(翌年にはジェームス・ディーン、ナタリー・ウッド主演の理由なき反抗を撮っている)、音楽はシェーン(1953)のビクター・ヤングが担当しました。彼が作曲したテーマ曲をペギー・リーが歌って大ヒットになりましたね。後に私はレコードを買って、毎日聴いてはギターを練習しましたがうまく弾けませんでした。
 ジョーン・クロフォードについては、映画のヒロインとしては年をとり過ぎていて、すごみは人一倍あるのですが魅力が無いなあと子供ながらに思ったものです。しかし、ビクター・ヤングの音楽は本当にすばらしく、大好きでした。
 今回のCDではスローバラード風な第一コーラスから第二コーラスではラテン・リズムを強調して変化をつけてみました。


⑦ 黒いオルフェ:Orfeu Negro
 この映画は1959年にフランス、ブラジル、イタリアの合作映画として製作されました。リオのカーニバルを舞台に繰り広げられる情熱的な恋と踊りとボサノバとサスペンスという映画だったと記憶しています。フランス人のマルセル・カミュがメガホンを取り、音楽はブラジルのギターの名手ルイス・ボンファとアントニオ・カルロス・ジョビンが担当しました。私はギターで演奏されたルイス・ボンファ作曲のテーマ音楽が大好きで、あんな風にギターを弾いてみたいと強く思ったものです。あの当時、映画を見てギターを買った人も多かったのではないかと思います。このテーマ曲はその後ジャズでもラテンでもスタンダード・ナンバーになりましたね。
 私はこのCDでは昔、ハワイアン・バンドがよく演奏していたルンバのリズムにアレンジしました。これまでも好んでステージで演奏しているスタイルです。巷の評論家には「今は流行らない。古い」と言われそうですが・・・。
 なお、この映画はカンヌ映画祭でパルムドールを受賞し、アカデミー賞外国映画賞も受賞したそうです。音楽だけではなく、映画も高く評価されたんですね。
 

⑧ シェルブールの雨傘Les Parapluies De Cherbourg
 ジャック・ドゥミ監督が1963年に演出した全編のせりふにメロディーがあるというミュージカル映画です。主演の傘屋の娘にカトリーヌ・ドヌーブが扮しています。
 アルジェリアの独立戦争のために引き離された若い二人が後に再会し、互いの子供の名前が子供が生れたら名づけようと話し合っていたフランソワとフランソワーズであることを知る、という設定は心憎いばかりですね。感受性の強い?私は、またしても戦争さえなかったらと思ったものです。この映画はカンヌ映画祭でパルムドールを受賞しました。
 音楽は若い時からその才能を開花させたミシェル・ルグランです。彼は後に華麗なる賭け(ノーマン・ジェイソン監督、スティーブ・マックィーン、フェイ・ダナウェイ主演作品)でアカデミー賞を受賞しました。彼は映画音楽のみならず、ミシェル・ルグラン・オーケストラとしての活動(フレンチ・ポップスとして有名で私は好んで聴いた)やジャズなど多岐にわたっています。
 この映画のテーマ曲はポピュラー音楽のスタンダード・ナンバーとなり、今でもよく歌われていますね。
 ステージではルンバのリズムで演奏しますが、CDではスロー・バラード風にしました。


⑨ 慕情:Love Is A Many-Splendored Thing
 この映画の原作は香港に住む中英混血の女医ハン・スーインの自伝です。巨匠ヘンリー・キング監督が原作をもとに時代に翻弄される男女の悲恋を美しく描きました。演じたのはウィリアム・ホールデン、ジェニファー・ジョーンズです。ヘンリー・キング監督はこの映画の前に、キリマンジャロの雪(グレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナー主演)を、二年後には同じアーネスト・ヘミングウェイ原作の陽はまた昇る(タイロン・パワー、エヴァ・ガードナー主演)を演出しました。どちらも私の好きな映画です。主役が美男美女というのはいいですね。
 香港旅行の際に香港島のヴィクトリア・ピークに上る人が多いのは、この映画の舞台に立ちたいということだと思います。私も20年ほど前になりますが、香港人の映画監督と共に夕暮れ迫るヴィクトリア・ピークに初めて上りました。その後は香港に行くたびに必ず上っています。
 この映画がすばらしかったことは言うまでもありませんが、テーマ曲 Love Is A Many-Splendored Thing はこの映画にぴったりですね。作曲はサミー・フェイン(音楽を担当したアルフレッド・ニューマンではない)。美しい歌詞を書いたのは、ポール・フランシス・ウェブスターです。この映画を知らなくても、この歌を知っている人は多いと思います。ポピュラー音楽のスタンダード・ナンバーになりましたから。
 私はこのCDではあのヴィクトリア・ピークの風景を心に浮かべながらスティール・ギターを弾きました。


⑩ 鉄道員:Il Ferroviere
 ネオ・リアリズムの社会派ピエトロ・ジェルミが監督、主演の映画ですね。音楽担当は常にピエトロ・ジェルミ監督と組んでいるカルロ・ルスティケリ(わらの男刑事誘惑されて棄てられて)。映画は実直な鉄道員(ピエトロ・ジェルミ)一家の波乱の生活を描いていましたが、娘役のシルバ・コシナの人気も高かったように思います。私はこの映画の重要な出来事である労働組合運動とかスト破りをまだ知りませんでしたのでそのくだりは理解出来ませんでした。それでも日常的な小さな出来事の積み重ねは取り返しの出来ないような事態を引き起こすのだということはよく分かりました。映画の終わりではばらばらになった家族や友人との関係が好転して、ほっとしたのを覚えています。
 カルロ・ルスティケリ作曲のテーマ曲は哀愁を帯びたワルツで、映画の内容にぴったりで大ヒット。世界の映画音楽の代表的な曲となりましたね。ギターがよく似合う曲ですが、初めて挑戦してみました。アレンジにとても時間と労力を要しました。ヨーロッパ映画音楽はほんとうにワルツが多いんですね。私はどちらかというと苦手です。


⑪ 君の思い出:Memories Of You
 スウィング・ジャズの王様と言われたベニー・グッドマンの半生を描いた映画ベニー・グッドマン物語のテーマ曲とも言うべきジャズの名曲。この映画はバレンタイン・ディビス監督がベニー・グッドマンの現役中の1955年に撮った作品です。グレン・ミラー物語とよく比較されましたが、グレン・ミラー物語は第二次世界大戦末期にドーバー海峡上空でグレン・ミラーが行方不明になるという劇的な生涯を描いているので、ベニー・グッドマン物語の方が盛り上がりに欠けると言う人が多かったように思います。ベニー・グッドマン物語ではジャズ・バンドが始めてカーネギー・ホールで演奏するという快挙を成し遂げたシーンが観衆の感動を呼びましたね。これが本当のアメリカン・ドリームなんでしょう。
 この曲はこれまで多くのジャズメンによって演奏されていますが、私は鈴木章治のクラリネット演奏が特に印象に残っています。鈴木章治は和製ハワイアンの名曲鈴懸の道(灰田有紀彦=晴彦作曲)の演奏でも有名でした。
 私は今回のCDでは前奏部分にクラリネットの演奏を入れてみました。


⑫ 太陽がいっぱい:Plein Soleil
 「太陽がいっぱい」という言葉を聴くだけで、あのラストシーンに流れるニーノ・ロータの哀愁を帯びたテーマ曲の美しい旋律が自然に思い出されますね。
 この映画が製作されたのは1960年です。あの禁じられた遊びのルネ・クレマン監督が撮ったサスペンス溢れる作品(フランスとイタリアの合作)でしたね。この映画の主演はアラン・ドロンで、マリー・ラフォーレ、モーリス・ルネが共演しました。アラン・ドロンにとってこの映画がスターへの階段を上るきっかけになったと思います。マリー・ラフォーレも可愛く、とても印象に残りました。
 テーマ曲はスティール・ギターの演奏にとってはどちらかと言うと容易な曲ですが、このCDのためのアレンジには時間がかかりました。


⑬ 夜霧のしのび逢い:La Playa
 この題名を聴くと「あのギタリストのクロード・チアリの名曲ですね」と言う人が多いですね。ましてやギリシャ映画のテーマ曲であることを知っている人はそんなに多いとは思えません。それほどクロード・チアリのギター演奏によるレコードやテープ、CDは世界的ヒットとなりました。
 映画は1953年のギリシャ映画で、アレコス・ガラノスの戯曲をバシリ・ジョルジアデス監督が撮りました。音楽担当はヴァン・ウェッター(この曲を作曲)とスタフロス・サルカコスで、この曲の題名 La Playaは浜辺という意味だそうですね。そういえば映画の原題名はThe Red Lanterns で歓楽街を意味しているのではないかと思います。この映画の舞台はギリシャの雨の多い港町で、ここに生きる女たちの人生模様を描いています。
 日本における題名、夜霧のしのび逢いはこの映画の大ヒットの大きな要因になったのではないでしょうか。ほんとうにいい題名をつけたものです。
 クロード・チアリはこの曲と共に日本に来て、日本が気に入ってそのまま日本に住みついて、日本を拠点に世界で活躍しているそうですね。日本人女性と結婚して日本に帰化したと聞きました。
 私はCDを作る際に、何度も彼のギター演奏を聴きました。アコースティック・ギターの特長を生かした素直な演奏だと思います。私はこの曲が好きで舞台で演奏しています。今回のアレンジではウクレレも加えたラテン・スタイルで、自分では気に入っています。


⑭ 帰らざる河:The River Of No Return
 オットー・プレミンジャーがメガホンを取ったこの映画は1954年にカナディアン・ロッキーを舞台に製作されました。主演はいわずと知れたマリリン・モンローとロバート・ミッチャムですね。マリリン・モンローの出演した映画のほとんどは日本で公開されて、ことごとくヒットしました。私もかかさず見たものです。蛇足ですが特に好きな作品は、帰らざる河の翌年に製作された 七年目の浮気、1959年のお熱いのがお好き(どちらもビリー・ワイルダー監督作品)です。お熱いのがお好きでマリリンモンローはゴールデングローブ主演女優賞に輝いて、ただのグラマー女優ではないことを証明したように思います。
 私は今回のCDではアレンジの作業に入る前にDVDのストックの中から帰らざる河を取り出して、もう一度見ました。冒頭の酒場のシーンでマリリン・モンローが歌うテーマ曲を聴いて、どんなに演奏がうまく出来たとしても彼女の歌にはかなわないと思いました。ケン・ダービーが書いた歌詞もいいですね。後にわずか36歳でミステリアスな死を遂げたマリリン・モンローの運命を暗示しているように感じました。


⑮ ゴッド・ファーザー:Speak Softly Love
 この曲、私の譜面集での題名はゴッド・ファーザー/愛のテーマです。原題名はSpeak Softly Loveです。私は今回のCDでは「愛のテーマ」という文字を省きました。映画は古くは波止場(エリア・カザン監督、1954)の演技でアカデミー主演男優賞を受賞したマーロン・ブランド、無名のアル・パチーノが共演したイタリア移民の世界を描いた作品です。この作品はフランシス・フォード・コッポラ監督やアル・パチーノの出世作となりました。盛りを過ぎたと思われていたマーロン・ブランドの迫真の演技がよかったですね。
 音楽を担当したのは、イタリアの名画では必ずと言っていいくらいに音楽を担当しているニーノ・ロータです。彼の作曲になるこのテーマ曲はその後ポピュラー音楽(ラブ・ソング)のスタンダード・ナンバーになりました。美しい旋律は私も大好きでしたが、今まで一度も演奏したことはありません。マーロン・ブランドの顔が目の前にちらついて、何か畏れ多くて演奏できないような気がしていました。この映画でもマーロン・ブランドはアカデミー主演男優賞に選ばれましたが、原住民族の迫害に抗議して辞退しました。晩年はいろいろな事件があり、不遇だったそうですね。彼は闘病生活の挙句に2004年、LAの病院で亡くなりました。享年80歳でした。
 録音の時には、マーロン・ブランドが目の前に浮かんできて、映画の雰囲気を感じながら演奏しました。うまく出来たような気がします。
 (The Way We Were のシドニー・ポラック監督訃報のTVニュースを見ながら、了)