(『ファニタ・エレナ』)

彼女は木陰に佇んでいた
彼をじっと見つめているジプシー娘
その瞳は黒くまるで海のように奥深い
そう、彼はその瞳のなかにこまやかな愛情をみてとった

彼女の前を通り過ぎようとしたとき
彼女は一瞬頬を赤らめ
そっと囁いた「今夜、待ってるわ
もしできるなら、川のほとりで会いましょう
誰にも言っちゃだめよ」

ああ ファニタ・エレナ ファニタ・エレナ
僕は君にとってはよそ者なんだよ
ファニタ・エレナ ファニタ・エレナ
自分でもよくわからないよ
君は僕を変えてしまった
僕の行く道を一緒に歩いてくれないか
だって僕は見つけてしまったんだ
君の瞳のなかの深い愛情を

そして川のほとり 月の輝く夜に
彼女はなくてはならない人になった
生まれて初めて愛されるという事を知ったんだから
彼は川へむかった
誰にも見つからないようにと願いながら

貧しさの中では彼は
孤独も痛みもすっかり忘れていた
そして愛の炎の中 少年はおとなになった
目覚めの朝 降り注ぐ光のなかの彼女を見つめ続けた 

ああ ファニタ・エレナ ファニタ・エレナ
僕は君にとってはよそ者なんだよ
ファニタ・エレナ ファニタ・エレナ
自分でもよくわからないよ
君は僕を変えてしまった
僕の行く道を一緒に歩いてくれないか
だって僕は見つけてしまったんだ
君の瞳のなかの深い愛情を

ファニタ・エレナ
たとえなにが起ころうとも
僕は君と結婚する
僕は愛なしでは
そう 君の愛なしでは
もう生きてはいけない


(原詩・Bernd Meinunger