Hadschi Halef Omar

『ハッチ大作戦』

クルディスタンの荒野のただなかをゆく
二人――幾度も死の影を目の当たりにしてきた
彼らは馬を並べて旅する生涯の友
ハッチは背の小さな男――そのあるじはカラ・ベン・ネムジ
ターバンは大きすぎてぶかぶか
馬はもう一歩も歩けない様子
でも、ハッチが戦えば、人々から笑いは消えていく
だって、ハッチは漢、男らしい漢だから!

*ハ・ハ・ハ ハッチ・ハレフ・オマル
ハ・ハ・ハ ハッチ・ハレフ・オマル・ベン
ハ・ハ・ハ ハッチ・アブ・アバス・イブン
ハッチ・ダブド・アル・ゴサラ

ヘイ・ハッチ ホー・ハッチ・・・

首縄に頭を突っ込むような危ないときでも
ハッチは目にもとまらぬ凄いやつ
敵は皆大地に倒れ、その傍で微笑む
預言者はマホメッド――唯一の神アラーが守りたもう
砂漠の民のごとくサーベルをあやつり
魔物も嵐も乗り越えてゆく
燃える想いが二人を駆り立てる――大いなる自由へと向かって
そうさ、ハッチは漢、男らしい漢さ!

*repeat

死の谷のさなかをゆく、バグダッドからイスタンブールへ
(灼けつく日差しのなか)
二人は進む、冒険の軌跡を残し
(彼とその友は)
凍える星の夜、灼熱の砂漠を踏み越え
(二人は自由)
旅をゆく彼らは、どんなに遠くからでもすぐわかる
ごらん、むこうからやってくる!

ハッチ・ハレフ・オマル・ベン
ハッチ・アブル・アバス・イブン
ハッチ・ダブド・アル・ゴサラ a-ha!

*repeat


(原詩・Bernd Meinunger





左、ドイツ版。右、日本版「ハッチ大作戦」。
下はおまけ。ドイツ版ハッチの裏面。LPアルバム「Dschinghis Khan」の宣伝ですね。



さて、図書館で借りて来て読みました。
"Hadschi Halef Omar"の原案になっている本、『カール・マイ冒険物語』です。
なんとこの本、1977年刊行です。
物持ちのいい図書館だ。というか、きっと書庫に入ったまま、ほぼ誰にも読まれないまま数十年過ごしてきたんでしょうね。

この物語、北アフリカからアラビア半島を舞台としたところだけで6巻、翻訳版だと12巻。1巻から4巻を借りてきましたが、まだまだ続くらしいです。「冒険物語」としては全60巻とか。うへ。
でも、日本で翻訳されているのは4巻までのようです。
とりあえず1巻の途中までしか読んでません。

主人公はハッチではなくカラ・ベン・ネムジです。
主人公の一人称で語られる、壮大な冒険譚です。
登場人物紹介では

カラ・ベン・ネムジ…
物語の主人公で、作者の分身。ドイツ人。勇気と知恵を兼ね備えた英雄。アラビア語、トルコ語を話す。アラビア人の格好をしているため、しばしば回教徒と間違えられる。

ハジ・ハレフ・オマール…
主人公の召使で友人のアラビア人。小柄で忠誠心あつい、敬虔な回教徒。同時に適度にずるさを備えた憎めない人物。

今まで読んだところでは、カラ・ベン・ネムジが大変かこいいです。
冒険好きなのに冷静沈着、腕っぷしは強く頭脳明晰。
私の中では、カラ・ベン・ネムジの容貌は完全にルイなのでありますので、読みながらうっとり。

"Hadschi"は「ハジ」と読んでます。"dsch"という子音は"Dschinghis Khan"の最初の子音と同じですから、「ジ」が正しいのでしょう。
フルネームは

ハジ・ハレフ・オマール・ベン・ハジ・アブル・アバス・イブン・ハジ・ダウド・アル・ゴサラ

そのうち、本人の名前は「ハジ・ハレフ・オマール」
父親の名前が「ハジ・アブル・アバス」
祖父の名前が「ハジ・ダウド・アル・ゴサラ」

であることが判明。姓ではなく、父と祖父の名前をくっつけているのでした。

「ハジ」というのは、メッカを巡礼した者の名につく一種の敬称のようなものであるらしく、普段は「ハレフ」と呼ばれてます。
「わが友ハレフ・オマール」と呼ばれて、「ハジ・ハレフ・オマールだ」と訂正させるシーンもあり。

じゃ、アレだ。"Hadschi hieß der kleine Mann"の、「ハッチとは『小さな男』という意味だ」という訳詩は間違ってます。「ハッチは小さな男だ」でいいのよ。"heißen"という動詞を辞書でひくと、その意味が何個かあって、「…という意味である」の他に「…と呼ばれている、…である」というのもあります。多分こっちの方が繁用ではないかと私は思うが。と、したり顔で講釈たらたら。
さて、「カール・マイ冒険物語」を2巻最後まで読み進めますと、新しいキャラクターが登場します。
その名もデービッド・リンゼイ卿。
デービッド卿はイギリス人、大金持ちらしい。
なぜにイスラム圏に来ているのかというと、遺跡を発掘しようと思っているから。有翼牡牛を発見して、大英博物館に寄付し、
有名になりたいという野望を抱いている。

で、この人の服装が、
灰色のシルクハット、同じ色の市松模様の上着にズボン、ネクタイ。

こいつだ!
ヴォルフガングの衣装の元ネタは!!

ちゃんと物語の登場人物からとった衣装だったんです!感動!!
いえ、物語の中では、ちゃんとシャツを着てますよ。デービッド卿。
WolfgangのシャツがないのはDK基準だからです。多分。