(『マドリードへと続く道で』)


マドリードへと続く道
夢だけが道連れ
行く手をさえぎるものは塵ほどもない
希望が彼を目標へと導いてくれるから
スペインの太陽は彼の決意を暖めてくれる

マドリードへと続く道
一歩踏み出すごとに彼は思う
この自由はもう誰にもわたさない
今までやってきたことは決して恥じることはないが
もう再び貧しい暮らしをすることはない
彼はどんどん進歩していくのだから

ある寒い朝 彼は荷物をまとめた
アディオスも言わず 一瞬も振り返らなかった
青い海に太陽が昇るのが見えた
ついに自由になったんだ 嬉しさにちょっと泣きそうになった
野原に駆け込みオリーブの実でしのいだ
ちょうど見つけた川で水を飲んだ
ひとが呼びとめても彼には聞こえもしない
憧れが彼を火のように燃え上がらせる
もう何の不安も感じる事はない

マドリードへと続く道
夢だけが道連れ
さっさと思い切ってやらなくてはならないと思ってた
たとえ過去の後ろ暗さに追われたとしても
今までなかったほど都合がいい事に 彼は鳥の如く自由だった(=法の保護から外されていた)

マドリードへと続く道
一歩踏み出すごとに彼は思う
この冒険はどこへ続くのだろう
彼は確信していた 失うものは何もない
陰に悪い部分が残っていたとしても
のし上がっていく事はできると

マドリードへと続く道
夢だけが道連れ
こんな暮らしもまんざら悪くもない
お百姓さんは焼きたてのパンをくれたし
荷台に便乗させてくれる人もいる

マドリードへと続く道
一歩踏み出すごとに彼は思う
いつかきっとこの旅の終点にたどり着くであろうところ
闘牛士としてアリーナに立ち
歓声をあげる群集をさらに熱狂させること
その夢は彼を落ち着かない思いにさせる

レオンを過ぎて更にヴィラーダへと
(レオンからヴィラーダへ)
そしてヴァレンシアへ、そしてヴァラドリードまで
(ヴァレンシアからヴァラドリードへ)
カスティリア山脈を抜けてセゴーヴィアへ
(カスティリアからずっと続いてセゴーヴィアへ)
もうマドリードへの道標が見える
(マドリードへの道はまだ遠い)
でも誰かに後をつけられているのではかとふと不安になり
(彼は山の中へ入る)
山の中へと続く遠い道を選んだ
(ただそこが安全で気楽だったから)
そして少しの間そこに身を隠すことに決めた
(2,3週間そこに隠れよう)
高いところからもう一度振り返って眺めてみた
(マドリードへと向かうその道を)
マドリードへと続く道で
マドリードへと続く道で
マドリードへと続く道で


(原詩・Bernd Meinunger



「鳥の如く自由(vogelfrei)」=法律の保護を停止された。
辞書に載っていたのですが、これ以外の説明がない。

戸籍や住民登録がない(スペインにそういうのがあるのかどうか知らないが)?ということでしょうか。