アーリーミュージック関連の楽譜出版社

2005年1月7日作製
2018年8月5日更新

昨今、インターネットで無料有料問わず沢山の楽譜が誰でも手に入れることが出来ようになりました。
ただ安価に手に入れることの出来る楽譜は、その楽譜に書かれている音符やスラーなどの情報がどこまで信用に値するか甚だ疑問に感じることも度々起こります。
もちろん有料の楽譜にも時々ミスがあることも事実です。
少なくとも、昔から楽譜製作に携わっている大手出版社は、単純なミスを含む様々な問題点を回避する手順や方法を長年の経験で培ってきていますし、複数の大手出版社では以前出した版をより正確な版にするために、完全に作り替える作業を行っている出版社もあります。
ユニーバーサル社(ウィーン原典版)やヘンレ社など)
インターネットの普及により紙で売り買いする出版社の売れ行きは落ちているようですが、歴史上の作曲家達がそうしたように、楽譜は紙の上で見たいと私は常々思っています。
ここではベーレンライター社ヘンレ社などの原典版を出版している大手出版社を特に採り上げてはいません。
どちらかというと専門家が好みそうな出版社を採り上げています。
下記の情報が参考となって何かの役に立てれば嬉しいです。(上尾直毅)


Editions Fuzeau
http://www.fuzeau.com/

フランスの出版社。
ファクシミリ楽譜の量が多く、価格も手ごろです。
19世紀以前の「教則本」のシリーズがあり、とても充実しています。
それぞれの楽譜の序文には、内容の濃い解説が付いててとても勉強になります。



Studio per Edizioni Scelte
http://www.memofonte.it/spes/

S.P.E.Sのカタログ(PDF) 19.7mb

外部サイトのリストはこちら

イタリアのファクシミリ楽譜の出版社。
ファクシミリ楽譜の中では特に低価格。

MONUMENTA MUSICAE REVOCATA


下記のシリーズに含まれない曲のファクシミリ。装丁は緑色のハードバックで、高級感があります。
ドイツ系作曲家(バッハとか)の手稿譜などもあり、さらなる充実が楽しみ。
スカルラッティの鍵盤ソナタの全集も含まれています。

STRUMENTALISMO ITALIANO

17世紀から18世紀終わりくらいまでの、イタリア器楽曲シリーズです。
17世紀中の印刷楽譜はハンコ楽譜で少々読みづらいので購入の際には内容を知っておくべきかもしれません。
旋律楽器だけでなく、撥弦楽器、鍵盤楽器のものも混ざっているので、よく調べてみましょう。

L'ART DE LA FLUTE TRAVERSIERE

フランスのトラヴェルソ関連の楽譜。トラヴェルソ奏者はこの出版社だけで、ほとんどの物がそろうというくらい、レパートリーが豊富です。

FLAUTO TRAVERSIERE

フランス以外の国のトラヴェルソ関連の楽譜。

LA CANTATA BAROCCA

バロックカンタータ。
イタリアのものがほとんどだけど、フランスものもあります。

MUSICA DRAMMATICA

舞台作品。
シリーズ第1弾はモンテヴェルディの「オルフェオ」で続々と珍しい作品がカタログに増えつつあります。

L'ARTE DELLA CHITARRA

18世紀後半以降19世紀のギター作品の楽譜。
17世紀のバロックギター関連は、上記の"STRUMENTALISMO ITALIANO" に入ってます。

L'ARTE DEL FORTEPIAN

フォルテピアノ関係。



Editions Minkoff
http://www.minkoff-editions.com/(リンク切れ)
現在はミンコフ社のサイトは無いようです。
外部サイトのカタログはこちら。

ファクシミリ楽譜の出版社。
全体的にとても高価です。

ただし、他の出版社からは出版されていない珍しいタイトルが多数あります。
例えば、セルパンや19世紀の軍楽隊のファイフ(ピッコロ)、ミュゼットやハーディーガーディの教則本、ルイ14世の祝典用オーボエ・トランペットバンドの手稿譜など。
ハードバックのものは、とても高級感が漂いコレクションとしても価値があるのですが、どれがハードバックの本なのかをカタログから見分けるのは難しいです。
(値段からわかるのかな・・。)
この出版社のタイトルの幾つかは、他の出版社から同じものが出されている事があるので、他の出版社のカタログも調べてみることをお薦めします。



ARNALDO FORNI EDITORE
https://www.fornieditore.com/(リンク切れ)

外部サイトのカタログはこちら。

真っ赤な装丁がとても綺麗なイタリアの出版社。
この出版社は楽譜だけでなく、他のジャンルの古い本のファクシミリ版を多数出版してます。
ここの音楽関係のファクシミリの傾向としては、17〜18世紀のイタリア語の理論書がすごく充実しています。
この理論書の中には、「ミーントーン」を初めて書物の上に提示したPietro Aron (ピエトロ・アロン)の理論書が5巻、Johannes Kepler(ケプラー)のHarmonices Mundi 、ガナッシのフォンテガーラなどがあります。
器楽関係の楽譜は今ひとつ充実していないようだけど、なかなかこだわりのある選択だと思います。
価格はFuzeauと同じくらいか、Fuzeauより少し安めで購入しやすいです。



Broude Brothers Limited
http://www.broude.us/



アメリカの出版社。
この会社はNew York Performers' Editions (Performers' facsimile)
を出版している会社なのですが、インターネットで見ることのできるオンラインカタログは今のところ無いです。
上のアドレスにはこの出版社の連絡先のみが書かれていて、カタログが欲しければ、ここにメールかファックスを送るしかないです。
Performers' Editions は、ファクシミリ楽譜の中ではS.P.E.Sと並んで低価格です。
テレマンの「エッセルチーチ・ムジチ」「パリ四重奏曲集」、あと珍しいのはコレッリやヴィヴァルディ、ヘンデルなどの合奏協奏曲のファクシミリを出している点も注目度が高いです。。
このPerformers' Editions のシリーズ以外に、
Monuments of music and music literature in facsimile
というシリーズがあり、こちらはハードバックの上等な装丁、紙の質も昔の印刷楽譜のように少し厚めでデコボコのある感じの紙を用い、高級感が漂います。
なので、こちらのシリーズは少し値段が高め。
このMonuments of music and music literature in facsimile の中にはラモーの和声について論じた理論書が8巻、Pietro Aron (ピエトロ・アロン)の理論書が5巻、クープランのクラヴサン曲集 全4巻と「王宮のコンセール」の1〜4番が1冊にまとまったもの、他にはダンスの舞踏譜などが充実しており、どちらかというと研究用のファクシミリといった感が強いです。

Broude Brothersのカタログ(pdf書類)はこちら



Los Angeles Classical Guitars 
2018年8月をもって終了しました

撥弦楽器(ギターとリュート系)のファクシミリ楽譜のみを扱っています。
特に4コースのルネサンスギターのための特別に編纂された楽譜は、4巻分ファクシミリ楽譜から4コースのルネサンスギター用の作品だけ抜き出して編纂された、すぐれもの。
ミンコフからも多数ギター・リュート用の楽譜が出版されているけれど、ここの方が低価格。
しかし、もし同じものをS.P.E.Sで見つけたらそちらの方が安価。



King's Music
https://cliffordbartlett.com

ファクシミリ楽譜と現代譜を半々くらいの割合で含んでいる、アーリー・ミュージック専門のイギリスの楽譜出版社。他ではあまり見かけない作品も出版していて、なかなか面白い出版社です。
装丁はあまり立派ではないけれど、その分価格も安くて気軽に使える実用的な楽譜が多いです。
声部数の多い、モテットやカンツォンには、パート譜の別売りもあるので便利。



A-R Editions
https://www.areditions.com/

アメリカの研究者向けの現代譜を出版している会社。
Recent Researches in Music シリーズを出している。
・中世と初期ルネサンス
 (Recent Researches in the Music of
    the Middle Ages and Early Renaissance)
・ルネサンス
 (Recent Researches in the Music of the Renaissance)
・バロック
 (Recent Researches in the Music of the Baroque Era)
・古典派
 (Recent Researches in the Music of the Classical Era)
この他にA-R Editions には
Collegium Musicum: Yale University
というシリーズがあって、この中にも興味深いものが結構あります。
AMERICAN INSTITUTE OF MUSICOLOGY
の中には中世、ルネサンスのポリフォニー音楽の現代譜や鍵盤音楽の現代譜などが多数あります。




UT Orpheus Edizioni
http://www.utorpheus.com/

アーリーミュージックに限らず、様々な現代譜を出版しているイタリアの出版社。
しかしながら、アーリーミュージック関連の楽譜は、ファクシミリで読みづらい17世紀以前の作品を、現代譜にして数多く出版しています。
価格は少々高め。
ボッケリーニ全集、ジェミニアーニ全集など全集ものにも力をいれています。デュセックやクレメンティーも全集になりそうな気配。



AMADEUS MUSIC
http://www.amadeusmusic.ch/

スイスの現代譜の出版社。
近代、現代に力を入れているけれどアーリーミュージック関連もあります。フルートとリコーダー関連、特にテレマンが充実しているようです。価格は少々高め。


BP2444
Italienische Diminutionen / Italien Diminutions
17世紀イタリアのマドリガーレに付された、様々な作曲家による装飾例が数多く載っています。17世紀の旋律楽器の作品を学ぶ上では必須の資料となりえます。



Edition de L'Oiseau-Lyre
http://www.oiseaulyre.com/(リンク切れ)

この出版社について(wiki 英語)

昔からアーリーミュージックを主に出版している現代譜の出版社。
バロックよりもルネサンス以前が充実している。
バロックの出版物は主にフランスものが中心で、L. クープランやF. クープラン、シャンボニエールなどのクラヴサン曲集、あと、F. クープランの室内楽全集などもカタログに載っています。
特にチェンバロ奏者にとって必ず勉強が必要なL.クープランの楽譜はこのオワゾリール版(ダヴィット・モロニー編)がお奨めです。



TECLA EDITIONS
http://www.tecla.com/

イギリスの現代譜ファクシミリ楽譜の出版社。
主に扱っているのは19世紀以降のギターや撥弦楽器のための楽譜です。
19世紀のギター奏者のフェルナンド・ソル (1778-1839)、そしてマウロ・ジュリアーニ (1781-1829)の全集を出版しています。
ファクシミリでは、ベートーヴェンのピアノソナタの初版本の全集などがあります。
ベートーヴェンのファクシミリのページ。



THE BEETHOVEN-HAUS BONN
http://www.beethoven-haus-bonn.de/

なんか、楽譜は見当たらず
お土産品ばっかりしか見当たりません・・・。
以前は↓だったのですが・・・。

ボンにあるベートーヴェンの生家の跡に作られた、ベートーヴェン博物館。
このベートヴェンハウスでは自筆譜などのファクシミリ楽譜を出版販売しています。
タイトル数は少なく、お値段も割高な感はありますが、なかなか面白いモノがあります。
その他ベートヴェン関係の書籍もネット通販で購入可能。
でしたが、今はどうなのか・・・。



EDITION PETERS
http://www.edition-peters.com/

言わずと知れた、ベタベタの校訂版を出版していると思われ、原典版主義者から誤解を受けている現代譜の出版社。
しかし、この出版社、昔からファクシミリ楽譜も出版していたのです。
最近は、PETERS URTEXT EDITON という原典版(現代譜)のシリーズも刊行しています。
ペータースから出版されているファクシミリ楽譜でめぼしいものの中には、
バッハのブランデンブルグ協奏曲の自筆譜、音楽の捧げもの、モーツァルトの交響曲29番やヴァイオリン協奏曲全5曲の自筆譜、ベートーヴェンの第九の自筆 譜、ブラームスの交響曲第4番の自筆譜などがあり、近代現代の作曲家を含む30点ほどのファクシミリが出版されています。
ただし、私の知る限りにおいてこのペータースから出版されているファクシミリ楽譜は、ほとんど全てしっかりしたハードバックで製本されており、美しいのですが価格も非常に高く、僕にとっては「高嶺の花」的存在です。
(第九などは曲が長く、本も分厚いので余計に高価・・・)



ALAMIRE
http://www.alamire.com

ベルギーのファクシミリ楽譜の出版社。
中世やルネサンスの写本のファクシミリが多いようです。
C.P.E. バッハのガンバソナタや、モンテヴェルディのヴェスプロのファクシミリもあります。



Doblinger-Musikverlag
http://www.doblinger-musikverlag.at/

ウィーンの現代譜の出版社。
アーリーミュージック関係の楽譜はそれほど多くはないけれど、ケルルやブルーンス、ムファットの鍵盤曲全集を出版してます。
通常手鍵盤と足鍵盤の3段で書かれているペダル付きのオルガン曲も、2段の大譜表で書かれていて見やすいです。



Asclepius Editions
http://www.amarilli.co.uk/ascedns/p1.asp(リンク切れ)

イギリスの現代譜ファクシミリ楽譜の出版社。
あまり冊数は多くないですが、ヴィオールを中心にした珍しい作品を扱っていました。

が、・・・いまはいずこやら・・・。



Masters Music Publications Inc.

http://www.masters-music.com/

現代譜の出版社。
いわゆる海賊版のような、著作権が切れた過去の出版物を再出版している。
古楽関係はそれほど多くないけれど、鍵盤楽譜では、カベソンやアラウホ(スペイン16〜17世紀)の全集など、なかなか面白いものもありました。



Edition Offenburg
http://www.edition-offenburg.com

現代譜ファクシミリ楽譜の出版社。
ヴァイオリン奏者の木村美穂子さんがやっておられる

楽譜出版社です。
ちなみに小川隆さんの校訂によるWendlingのフルートソナタには、私のリアリゼーションによる鍵盤パートが付いています。私の名前がネット上でNoki Ueoになっているのはご愛敬。楽譜にはちゃんとした名前で載ってます。



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