四季の人気

 フランスではソナタと並び、ソロとテュッティの交代による協奏曲というジャンルがイタリアからやって来た最新の様式としてもてはやされていた。そして、フランスでも他の国々同様に、その模範となるものは常にヴィヴァルディだった。パリの公開演奏会「コンセール・スピリチュエル」ヴィヴァルディの「四季」が演奏され、大好評を博したことから影響を受けたのか、ニコラ・シェドヴィルはこのヴィヴァルディの有名なヴァイオリン協奏曲集「和声と創意の試み」(作品8、1725年)をミュゼット協奏曲に編曲した。

ニコラ・シェドヴィル編曲の「春、あるいは季節」と題されたミュゼット協奏曲集(1739年)には、3楽章形式をとる協奏曲が6曲含まれ、それらは原曲であるヴィヴァルディの協奏曲集(作品8)から自由に楽章を抜粋し並び替えられている。
 彼はこのミュゼット協奏曲集の序文の中で次のように語っている。

「私がアントニオ・ヴィヴァルディの素晴らしい作品を、この田園風の楽器の音色に合うように仕立て上げたら、人々から大変喜ばれるのは間違いないし、それが私の労力全てを傾ける命題である。」

 ソロのパートにはヴァイオリン的な音型、すなわち素早い音の跳躍や分散和音、そして限られた音符だけによるものの重音奏法までが使われ編曲されており、シェドヴィルの名人ぶりが惜しみなく発揮されている。しかし、この楽器の特徴であるドローンのために遠隔調への移動をなるべく避けるように編曲されている事と、音域の狭さからくる不自由さが感じられ、ヴァイオリン音楽をミュゼットに持ち込むことの限界が見て取れるような気もする。
 しかしながら、編曲ものではないミュゼットのためのオリジナルの協奏曲も1730年代には出版されつつあった。

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