デュエットとソロ作品

 オトテールによる2冊のミュゼットのための曲集が出版されて以来、多数の作曲家によってミュゼットを含む器楽作品が世に送り出された。それらには様々な編成があり、そのほとんどは音楽愛好家を対象として比較的簡単に書かれたものが多い。そして、この田園風の楽器のための作品集には「田園の楽しみ」とか「田園のコンサート」といったタイトルが付けられる事が多かった。とりわけ2台のミュゼットによるデュエットは人気があり、その中には生徒と教師を想定して書かれたものもよく見られる。デュエットという形態は、他に大型の伴奏楽器を必要としないことから、この田園風の楽器らしい屋外でのレッスンやコンサートを気軽に実現できる便利さがあった。作品自体は簡単な舞曲や流行歌謡の編曲などが多く、そのメロディが単純であればあるほど、より一層この楽器の持つ田園風の雰囲気が強調されるかのようである。このデュエットと共に人気があった編成は通奏低音を従えたソロで、これはしばしばデュエットと共に一冊の曲集の中に収められることもあった。この通奏低音付きソロにも、単純なメロディに伴奏を付けたようなものが多く書かれたが、中には高い演奏技術を要求されるものも存在する。

例えばニコラ・シェドヴィルの「挑戦、あるいは楽しいエチュード」と題された曲集(作品9、1739年)は、そこに収められている30曲の小品の一つ一つに、彼がミュゼットを教えていた貴族達の名前を冠した、いわば肖像画的な作品集である。その中の「名手」と題されたシャコンヌは、早い32分音符のパッセージや重音奏法がふんだんに使われており、音楽愛好家の中にも非常に高い演奏技術を備えた人々がいたことを物語る。シェドヴィルはこの作品集を作曲するにあたり、それぞれの生徒達のレヴェルに合わせた彼らのお好みのフレーズを反映させたに違いない。

 1730年頃からは、曲集のタイトルに「組曲」「コンセール」などと書かれているフランス風の作品以外にイタリアの「ソナタ」と名付けられた新しい様式がミュゼットのレパートリーにも進出してくる。それらは楽曲自体の響きもイタリアのヴァイオリン音楽からの影響を強く受けている。ここに至り、ミュゼットは他の旋律楽器と同等に扱われるようになったかに見える。

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