2017427()
   ARC TRIO(アルクトリオ
          コンサート

         ヴァイオリン  依田 真宣
          チェロ         山本 直輝
        ピアノ        小澤 佳永


   
          ごあいさつ

本日はアルクトリオの演奏会にご来場いただきありがとうございます。

私たちアルクトリオは、「ピアノ三重奏」というものに魅せられ、2011年にサントリーホール室内楽アカデミーにて常設のピアノトリオとして結成致しました。
そしてその魅力を少しでも多くの方にお伝えすることができたら、と願っております。

ピアノ三重奏(ピアノトリオ)とは、室内楽形態のひとつで通常ヴァイオリン、チェロ、ピアノ、の三重奏のことを指します。
大作曲家たちがこの編成のためにのこしてくれた作品は数知れません。
今日お聴きいただきます三曲は、それぞれ異なる時代、国から選んでみました。
どれも違った素晴らしさを持った作品なので、全曲を通してピアノ三重奏の表現力や魅力を感じていただけましたら幸いです。


ベートーヴェン : ピアノ三重奏曲 第四番 変ロ長調 作品11 「街の歌」

1798年、ベートーヴェンが27歳の時の作品です。
この「街の歌」という愛称は、第三楽章において当時流行していたヨーゼフ・ヴァイグルの歌劇、
「船乗りの恋、あるいは海賊」からのアリア「仕事の前に」の主題(ウィーンの「街」で人々がよく歌っていたもの)を用いていることによるものです。
それにより、当時からこの作品は大変人気のあるものでした。
ベートーヴェンが多楽章作品で他人の主題を用いたのはこれが唯一のものとなっています。
この作品はクラリネット、チェロ、ピアノで演奏されることもしばしばありますが、今夜はヴァイオリン、チェロ、ピアノの演奏でお楽しみいただけましたら幸いです。

第一楽章  Allegro con brio
                     第二楽章  Adagio
                     第三楽章  Allegretto

ラフマニノフ : 悲しみの三重奏曲 ト短調 (1892)

ラフマニノフ19歳のときの若書きの作品であり、わずか3日間のあいだに書き上げられました。
ラフマニノフの存命中には出版されることがなく、作品番号も付されていません。
単一楽章の作品で、古典的なソナタ形式の枠組みの中で、様々なエピソードが羅列されており、
曲想は常にうつろいながら進んでゆきます。
この曲の作曲の動機やその題名の由来ははっきりしていませんが、
曲全体の雰囲気や構成、最後が葬送行進曲で締めくくられることなどからは、
チャイコフスキーのピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思
い出に」の影響が強く感じられます。

ブラームス : ピアノ三重奏曲 イ長調

ブラームスが有名なピアノ三重奏曲第一番 (1854年に作曲、1891年に出版) を書く前に作ったとされていますが、
真偽は定かではありません。1938年に初めて出版されました。

ブラームスの初期室内楽のような作品。同じイ長調を共有するピアノ四重奏曲第2番とフィナーレの感じが似ていたり、
ヘミオラが色々な箇所で出てくる辺りは、いかにもブラームスらしいと思います。

1楽章の第2主題部に付点のリズムが出てきますが、これもブラームスの曲にはよくある音形です。

彼自身が発表していないという経緯から、この作品に対する議論がずっとされてきていますが、
このように作品の中身を取り上げてみますと、彼独特の作曲法や彼の他の作品との類似点が沢山あるように思います。

勿論、この場で「絶対にこれはブラームスの曲だ!」と断定したことは言いませんので、
今回聴いてみて皆様の中でこの作品に対して色々と感じて頂けたら幸いです。

個人的な感想になってしまいますが、ブラームスの習作ともいえる作品だからこそ、彼の作曲家としての試みや、
作品に対する想いがこの曲には本当に沢山溢れているように思います。

作品全体としての完成度は我々が知っているブラームスの作品と比べると、やや見劣りするのかもしれませんが、
それでも、もっと演奏頻度を増やして沢山の方に聴いて頂きたいと心から願っています。

                  第一楽章  Moderato

第二楽章  Vivace

第三楽章  Lento

第四楽章  Presto (non troppo)

ARC TRIO (アルクトリオ)
サントリーホール室内楽アカデミー第一期生により2011年に結成。アルクトリオとして同アカデミー第二期、第三期生。
2013年メルボルンアジア太平洋室内楽コンクールピアノトリオ部門第二位。
サントリーホールチェンバーミュージックガーデン、とやま室内楽フェスティバル等に出演。ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクール第三位。
2016年度青山音楽賞(バロックザール賞)受賞
堤剛、若林顕、Qエクセルシオの各氏に師事。
メナヘム・プレスラー、レオン・フライシャー、クレール・デゼール、ラデク・バボラーク、渡辺玲子、竹澤恭子、豊嶋泰嗣、
マリオ・ブルネロ、ミロQ、カルミナQ、東京Qの各氏のマスタークラスを受講。

依田 真宣

東京藝術大学音楽学部器楽科卒業、同大学院修士課程を修了。東京藝術大学在学中に「福島賞」、「安宅賞」を受賞。
2010年度、青山音楽賞(バロックザール賞)受賞。
ソリストとして、仙台フィル、東京フィル、東響、藝大フィル、東京ニューシティ等のオーケストラと協奏曲を共演、
2011年に東京文化会館でソロリサイタルを開催した。
2013、14年に堤剛氏のプロデュースによりサントリーホールのチェンバーミュージックガーデンオープニングコンサートに出演し、
堤剛、クレール・デゼール、若林顕の各氏と共演し、好評を博した。
サントリーホール室内楽アカデミー生として、堤剛、竹澤恭子、マリオ・ブルネオの各氏と共演。
岡山潔、ジェラール・プーレ、オレグ・クリサの各氏に師事。
サイトウ・キネン・オーケストラ、水戸室内管弦楽団に度々参加、紀尾井シンフォニエッタ東京2008~09年のシーズンメンバー。
在学中より国内の主要オーケストラのゲストコンサートマスターとして出演し、2014年から横浜シンフォニエッタのシーズンメンバー、コンサートマスターも務めている。
現在、東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスター。

山本 直輝

10歳よりチェロを始める。東京藝術大学附属音楽高等学校、東京藝術大学を経て、同大学院修士課程修了。
第65回全日本学生音楽コンクールチェロ部門大学の部第2位。第11回ビバホールチェロコンクール第4位。
大学内において安宅賞、アカンサス音楽賞、三菱地所賞受賞。JTが育てるアンサンブルシリーズ、藝大定期室内楽、
藝大モーニングコンサート、読売新人演奏会等に出演。チェロを松波恵子、植木昭雄、山崎伸子、藤森亮一の各氏に師事。

小澤 佳永

小学生から高校生まで、父親の仕事でアメリカ合衆国、イリノイ州にて過ごす。
帰国後名古屋市立菊里高等学校音楽科、東京芸術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻を経て同大学大学院修士課程ピアノ専攻修了。
現在同大学管打楽科演奏研究員。
第25回ヴィオッティ・ヴァルセジア国際ピアノコンクール(イタリア)第三位受賞。
第11回メルボルンアジアパシフィック室内楽コンクール(オーストラリア)ピアノトリオ部門第二位受賞。
第55回ヴィオッティ国際音楽コンクール(イタリア)セミファイナリスト。
ジュラ・キシュ国際ピアノコンクール、ペトロフピアノコンクール、町田ピアノコンクール、バッハコンクール、第一位受賞。
ペオリア交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団と協演。中日賞受賞。
サントリーホール室内楽アカデミー第1-3期生。サントリーホール、チェンバーミュージックガーデンにアカデミー選抜メンバーとして出演。
イタリアのキジアーナ音楽院マスタークラスを奨学特待生として受講、選抜コンサートに出演。
JTが育てるアンサンブルシリーズ、芸大室内楽定期演奏会に出演。2011、2013、2015年日本木管コンクールにて公式伴奏者を務める。
これまでに、ピアノを隈本浩明、ジュリアン・ドーソン、大口光子、渡辺健二、ガブリエル・タッキーノ、ゴールドベルク山根美代子の各氏に師事。