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高い声を出したい!!声量を増やしたい!!

         


【 声のコラム 2】

 

絶対にポリープにならない発声法!?
そのような発声法は存在するのでしょうか?
結論から言えば答えはNO!です。なぜなら声を出すということ自体、声帯同士の接触摩擦を避けることができない作業だからです。

私達の声は声帯振動により作られます。
閉じた二枚の声帯弁が押し上げられる呼気の圧力により、離れたり触れ合ったりを繰り返すことにより声が生まれます。その際、声帯同士の接触により摩擦が生じます。この接触摩擦をゼロにすることは不可能です。摩擦が長時間起これば必ず声帯は磨耗します。

と言うことは、どんなに長時間歌っても絶対にポリープにならない発声などということは物理的にありえないことなのです。あるとすれば長時間歌ってもポリープになりにくい発声法ということになるでしょう。
声帯の接触圧力をギリギリまで薄くし、声帯磨耗を最小限に抑える。それこそがポリープになりにくい発声法です。

テクニックを身に付けるということ
歌唱テクニックというのは聴衆を驚かせたりするために身に付けるものではありません。自分自身が思い通り自由に歌えるために身に付けるのです。
テクニックが身に付いてないというのは不自由な状態です。

仮にA曲、B曲、C曲とタイプの全く違う曲があったとしましょう。
テクニックの幅が狭い人はどんな曲を歌うにも同じテクニックしか使えません。どれも同じ様な表現手段しか取れず、同じ歌に聴こえてしまいます。
テクニックの幅が広い人は曲のスタイルや雰囲気に応じて使う技術の選択が出来ます。つまり思い通り自由に歌えるということです。
曲に必要無いテクニックは使わなければ良いだけです。曲の雰囲気を考え、あえてテクニックを使わないことと、使いたくても使えないということの間には雲泥の差があります。
 
低音の出し方について
『低音をもっと低いところまで出したいのだけれど、どんな練習をしたら良いの?』
と迷う人のために、最初からズバリ書いてしまいましょう。
低音の限界は生まれつき決まっています。
訓練次第で大きく向上させることが可能な高音域と違い、限界最低音を画期的に引き下げる低音発声法というのは物理的に存在しないのです。低音限界音は練習しても1〜2音程度の向上しか見込めません。

低音を出すために必要な条件とは、長い声帯にテンションをかけずに緩ませながら発声することです。生まれつきの声帯を訓練で長くすることは出来ないので、技術では低音の限界を伸ばすことは出来ないという訳です。

しかし、実際に曲中で使える低音の限界を生理的な低音の限界に近づけることは出来ます。

低い音域では目的とする音域まで声が出たとしても埋もれやすい声になりがちですね。これに鼻腔共鳴を意図的に付け加えることで声にブライトな輪郭が付き、バックのオケに埋もれないしっかりとした音程感のある声を生み出すことが出来ます。結果的に使える声域(声楽的声域)の限界を下に広げることが可能となります。 
 

声域拡大について
『『何年も練習しているのに歌い始めの頃より1音半程度しか声域が拡大しないんです!!』
実際に生徒さんから聞く声です。なぜ何年練習しても声域が伸びないのでしょう?答えは簡単。伸びない練習をひたすら続けた上にやり方を変えてないからです。

声域を拡大させるために必要な3要素
@声帯のストレッチ
A鼻腔共鳴の下地
B高音を出すための正しい喉のポジショニング

こう書いても何のことやら分かりませんよね(笑)。
一つずつ説明していきましょう。
まず【
@声帯のストレッチ】についですが、練習を行う際、最低一回は裏声の最高音まで出すようにしましょう。高音まで出すことで声帯を薄く引き延ばしてストレッチさせることが目的なので、この段階では音色の良し悪しは無視してもかまいません。一日一回出しておくだけでも効果はあります。
もちろん必ずウォーミングアップをしっかり行った上で行いましょう。
そしてやり過ぎには注意です。練習で喉を壊したのでは本末転倒ですから・・。
では、何故それが必要か?の説明をしていきましょう。

声を高くしていくには声帯を長く薄く引き延ばした状態で振動させる必要があります。いつも地声のみで歌っている人は地声の最高音を出すために必要な長さまでしか声帯を引き伸ばしていないことになります。
裏声の最高音まで出すことでより声帯を引き伸ばす、つまりストレッチさせることができるのです。力士の股割りも時間をかけて筋肉と腱を伸ばしていくことで達成させる訳ですね。何度も限界まで伸ばさなければ伸びていかないということです。これで声帯の高音発声の基本力を伸ばします。
しかしこれだけでは冒頭に書いたように1音半程度伸びたところですぐに限界が来てしまいます。

では【
A鼻腔共鳴の下地】について説明します。
これは直接、声域を伸ばすものではありません【
B高音を出すための正しい喉のポジショニング】を成功させるために必要な下地作りと言えるでしょう。
あらかじめこの下地を身に付けておくことで声区を切り替えた際、実戦的な響きに近づけていくことが可能になります。

そして【
B高音を出すための正しい喉のポジショニング】です。
ミックスボイス、ヘッドボイスといった名前で呼ばれる声区のことでもあります。
これらの声区の喉のポジションをしっかりマスターすることで声域というのは一気に、そして劇的に拡大していきます。実際にレッスンで声域拡大に成功した生徒さんの実例パターンを例に取って説明しましょう。

裏声の最高音を引き上げたいと望む男性の生徒さんのケースですが、レッスンに来た時の裏声の最高音はF5でした。
ここから声域を引き上げるために
ヘッドボイスハイポジションを身に付けるためのレッスンを始めます。およそ二ヶ月程度レッスンに通って頂きました。
その間、声域は半音すら伸びません。理由は喉のポジションが正しくつかめていないからです。そしてブレイクスルーの瞬間がやってきます。
完全にコツをつかみ、声が正しく
ヘッドボイスハイポジション入りました。
もちろん私は声を聞いた瞬間にそれが分かりますから彼の成功を確信します。そして次の瞬間、彼の声はソプラノ並のC6まで上昇します。
楽にそこまで声が出てしまうから、本人は自分の声域が劇的に拡大したことに気づきません。『今、C6まで出たよ』私が説明して初めて本人が驚嘆します。
実に5度にも及ぶ声域拡大が一瞬で達成されてしまうのです。
本人が更に声域を拡大したいと希望するならホイッスルボイスロウポジションを身に付ける必要があります。これを身に付ければその瞬間、彼の声域は更に6度前後上昇することでしょう。

声域の拡大とはこのように行われるものです。
半年、一年かけて半音、一音上がるといった練習方法では絶対に成しえません。生まれ付き短い声帯を持って生まれた高音エリート?の方でも喉のポジションが一つ、もしくは二つ程度しか身に付けていなければ限界はたかが知れています。
逆に考えれば長い声帯を持つ方でも喉のポジションを複数身に付けることにより、かなりの高音まで発声可能ということになります。自分の可能性というのは自分自身が決めているものです。
『自分は高い声が出ないから高音発声など無理・・。』
そう言って練習する前からあきらめてしまうのは本当にもったいないことですね。
 

 

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