私自身中国と20年余り付き合って来て、何だか違うなあ、と感じていたのだ。でも昔から日本と中国は「同文同種」が常識だったので、イスラム文明やキリスト教文明に比べて、やっぱり日本と中国は儒教や仏教や漢字で括られる、一つの文化圏なのかなあとも思っていたのだ。
この本では日本は孤立したりアメリカと中国の間で振れたりし、最終的には中国に付く事になっているが、日本がユニークだと判ったからには別に中国に付く必要なんか無い。中国の現政権はイデオロギーで多民族を無理やり纏めようとしている時代錯誤の共産党だ。(中国とアメリカだけが、イデオロギーで纏まっている様な纏まっていないような、二大超大国というか、帝国、かな。後は殆ど概ね民族国家)日本にとって危うい事この上無いし、第一合わない。二つの民族(漢と和)は仲良くしようとしてもお互い生理的に気に食わない。中国を同じ文明の宗主国と仰ぐ(又はその反対の)事は、絶対に止めたほうが良い。前世紀に悲劇の結末を迎えたばかりではないか。
でも、何でこうなるのだろう、と皆不思議だった筈だ。何でこんなにお互いの箸の上げ下ろしまで癇に障るのだろう、と。それにこの本は答えを与えてくれた。「違う」のだ。日本は日本で一つの文明で、中華文明では無いのだ。翻って、朝鮮半島は中華文明なのだ。だからずっと宗屬関係を維持出来、破局を迎えなかったのだ。
「文明の衝突」から「世界文明」へ?おすすめ度
★★★★★
この本は、情報豊富で、いろんなことを教えられる。
ただ実際に読んでみると、世間でハンチントンの理論として語られていることと
実際のハンチントンの理論とがずいぶん違っていることがわかる。
一番重要なポイントは、ハンチントンが「21世紀の初め」の世界についての「ひとつの仮
説」として、「諸文明の衝突」を語っているということである。
つまりずっーと「文明の衝突」の時代が進んでいくという、目的論的な歴史哲学が
語られているわけではないということだ。
もう一つは、ハンチントンは「世界文明」ということを語っている、ということだ。
これは「諸文明の衝突」が揚棄(止揚)された世界を暗示する言葉のようだ。
ハンチントンは「世界文明」の出現の可能性を排除しないと言っている(77頁)。
ハンチントンは『第三の波』という本を書いている。これは世界各地における民主化の
「第三の波」ということだ。そして彼は「第四の波」の可能性を論じたこともある。
この論理的な極限は、世界全体の民主化という、フランシス・フクヤマ的な世界と接近するの
だが、さすがにハンチントンは慎重で、そこまでは言わない。
そうした本質的なハナシだけでなく、宗教や言語、政治闘争の展開論理、トルコと日本の比
較等々、個別に興味深いハナシがたくさん入っており、楽しい本だ。
翻訳も信頼できる。「州」と訳すべきstateを「国家」と訳してしまっているところが、1,2
箇所あった点が気になるだけだ。
国際関係をめぐる先見的名著
おすすめ度 ★★★★★
本書で首尾一貫して述べられていることは、21世紀は争いの世紀になってしまうということである。
争いの形が国家vs国家から国家vsテロ集団に移行し、さらにはそれがキリスト教vsイスラム教の戦いに発展し、かつてないほどに血なまぐさい時代になると著者は強調している。
現在の中東情勢やイラク情勢からも明らかなように、アメリカは中東に深く根付いているイスラム教的価値観を完全否定し、民主主義と自由を掲げて中東を西洋化しようとしている。このアメリカの介入主義、教条主義が9・11以降単独行動主義と合わさってイラク戦争を引き起こし、今ではベトナム以上に情勢は悪化している。
今後中東のさらなる世界的台頭が予測され、西洋と中東の衝突は避けられないだろう。その中で宗教が関係することで世界秩序は大きく崩壊してしまうだろう。
このような不安定な世界情勢にある今だからこそ、本書は大きな意義を持っているのではないだろうか。