映画としては良作おすすめ度
★★★★☆
難しいようで意外と単純でしたが、人間の心情がよく描かれていました。
シスターは実在する死刑制度廃止運動家のようですが、むしろ囚人自身が
死を目前にしないと反省できないという事実から死刑制度の必要性を
肯定しているようにも思えました。私達は人間で犯罪者は動物と区別して
いますが、人間を理想化するよりも良し悪し全てをひっくるめて人間だと
考えてるので、犯罪者が愛情を注がれ心が傾くのは理解できますし、改めて
狂気に傾かない丁寧な教育が大事と考えさせられる作品でした。ただ残念
なのは、死刑を描けば描くほど残酷さが伝わってきて囚人の感情に触れよう
としますが、逆に被害者がメインで事件の場面を延々と見せられたら死刑に
相当するという見方も増えてきそうな人の心情、シスターの心の脆さと
それに打ち勝とうとする強さ。それも含めて愛しいのが人間なのですが...。
愛しいからこそ守りたいものがあります。大切な仲間を殺されて、または
出所後殺されるような危険を侵してまで飼っておく奇特な生き物はおそらく
人間くらいでしょう。家族を食べられた虎を檻で飼って慣らすなんて事を
想像すると滑稽に思えます。ところが慣れてしまうのが同情の難点です。
しかし綺麗な食べ物しか出てこなくなった今、敢えてこう肝に命じたい。
食べ物が無くて大切な人が飢えそうになったら生き物を殺して食べる狩りに
出かけよう。敵が家族を殺そうと襲ってきたら迷わず躊躇せず戦おうと。
それを拒否してしまったら何かを殺して生きている今、そして全ての動物
の生き方さえ忘れてしまいそうで怖くてたまらないのです。
映画が存在する意義
おすすめ度 ★★★★★
あまりに素晴らしい映画は感想を書くのがとても難しいですが、これはその1つです。
映画を思い出すだけで色んな思考が巡ってきて、自分のこの感情を
どう言葉にしてまとめればいいのか分かりません。
だから観てもらう他ないと言うのが本音です。
少なくとも、どんな「死」からであっても、与えられるのは白黒のつく感情ではない。
ちょっとでもこの映画に興味を持ったなら是非是非観てください。
映画はきっと、こういう言葉では表現し尽せないものを伝えるために存在しているんだと思います。
概要
仲間や若いカップルを惨殺した罪で死刑を宣告されている囚人マシュー(ショーン・ペン)と、彼を救うべく特赦査問会を要請する尼僧ヘレン(スーザン・サランドン)。やがて嘆願が却下され、死刑執行の日が迫るなか、マシューの頑なな心は開かれていく…。
死刑という社会的テーマに真正面から挑んだ、ティム・ロビンス監督の意欲的傑作。加害者の人権だけではなく、被害者の哀しみまでをも見過ごすことのない慎重な構成が、永遠に解決されることはないであろう問題を、さらに複雑なものとして観る者に露呈させてくれている。キャストの名演も特筆もので、S・サランドンはアカデミー賞主演女優賞を、S・ペンはベルリン映画祭男優賞を受賞している。(的田也寸志)