

【タイ映画三昧@バンコク】
サワディー・カー。(タイ語で「こんにちは」、ただし女性言葉なので男性の皆さ
TEXT : 松岡 環
んは「サワディー・クラップ」と言ってね)夏は何と言ってもタイ!というのがこ
こ数年来の私の消夏法。バンコクの街中でウダウダしてるだけなんですが、それで
も毎年新しいスポットを発見しようと心がけてます。
今年の発見は、「マハーブット寺」と「RCA」。
それって何?状態の方がほとんどでしょうが、わかった方はよほどのタイ通、バン
コクの達人。では、謎解きも入れながら、映画の旅@バンコクのレポートを。
バンコクに行ったのは、日本で40.9度が記録された8月の半ば。バンコクは32-33度
ぐらいで、日本よりよほど涼しかった〜〜。
バンコクのプラスポイントは、何より物価が安いこと。
今回も泊まったのはスクンビット地区にあるホテルですが、広いツインの部屋が豪
華朝食バイキング(まっこと豪華!アイテムは30種以上に及ぶ)付きで5千円以下、
と超リーズナブル。香港と比べると、コストパフォーマンスが2倍、いや3倍
という感じです。
街中の食べ物ももちろん激安。
一人旅だと、たいていショッピングセンターの中にあるクーポン食堂で食べること
になります。クーポン食堂とは、ブースで現金をクーポンの束と引き替え、そのク
ーポンを払いながら料理をゲットするフードコート式レストラン。麺を売る店、
ご飯+おかずの店、中国点心の店、日本料理の店等々、座席スペースの周りをい
ろんな屋台風の店が取り囲んでいます。
バーミー・ナムと呼ばれる麺は30バーツ(約100円)。
つみれ各種を入れてもらいました。

ご飯と、様々なおかずの中から2品選んで35バーツ(約120円)。
この時のご飯は紫米。

飲物は15バーツ(約50円)程度なので、200円もあれば1食十分食べられます。
ん?デザートも食べたい?それなら、ずらりと並ぶいろんな甘味から2種or3種が
選べて、その上にかき氷をトッピングしてくれるデザートをどうぞ。これで25バー
ツ(約85円)です。

右側に黄色いカードが写っていますが、ここはクーポンではなく、カードに課金し
てそれを払っていく電子マネー方式。
紙のクーポンも、カード式マネーも、どちらも残ればたとえ5バーツでも現金と引
き替えてくれます。ほんとに良心的ですねー。
下はクーポン食堂のジュース・スタンドのお姉さんたちです。君の笑顔は100万バーツ!

今回バンコクで行きたかったのは、ノンスィー・ニミブット監督作『ナン・ナー
ク』(2000)の主人公、ナン・ナークが祀られたお寺。それがマハーブット寺だった
のでした。
ナン・ナーク(ナーク夫人)、あるいはメー・ナーク(ナークお母さん)は、タイ
の有名な幽霊譚の主人公です。
身重のナークは戦争に行った夫の帰還を待つ間に出産で亡くなる。だが、戦場で重
傷を負った夫が回復後何も知らないまま帰宅してみると、ナークが子供を抱いた姿
で彼を出迎えた....という、夫への愛ゆえに幽霊になった悲しいナークの物語。タ
イではこれまで何度も映画化されてきました。
ナークを祀る祠のあるマハーブット寺は、ホテルから車で少し走った所にありまし
た。
境内の奥まったところに祠があり、入り口でお布施を払うと蝋燭とお線香、それに
金箔を夾んだ紙を渡してくれます。
蝋燭とお線香は、上がり口の所で点火してお供えします。花輪なども捧げてありま
す。その奥には、ナークの像が祀ってあります。金箔はこの像に貼り付けるのです。


ナークの像はちょっと顔がコワい....。周りには、彼女のための豪華なドレスや布
地、人形などが奉納されています。
タイの人々がナークに祈るのは、出産や恋愛に関することだけでなく、金儲けとか
商売繁盛とか、結構現世利益祈願が多いそうです。
そして「RCA」ですが、これは新聞の映画欄で見つけました。
「house RCA」という映画館の広告が載っていて、よく見ると聞き覚えのある英語タ
イトルが並んでいるのです。『Christmas in August(八月のクリスマス)』『Nobody
Knows(誰も知らない)』『Blue Gate Crossing(藍色夏恋)』.....と、単館
系のアジア映画がずらり。
一体どんな映画館だろう、と行ってみることにしました。
場所は、ロイヤル・シティ・アヴェニュー(=RCA)という通りにある、トップスと
いうスーパーの3階。トップスはスーパーのチェーンで、あちこちで見かけます。
RCAは通りの名前なのですが、この一帯は新興住宅地で、マンション群と共に商業エ
リアが広がっている、ちょっとお洒落な地区みたいです。
シネコンもあるのですが、それとは別に「house RCA」という上映館があり、ショッ
プや喫茶店も併設されています。シンプルなチケット発売カウンターや、その横に
貼ってある世界の監督たちのメッセージが、いかにもアートハウスといった感じ。


上映ホールは、114席と136席の2つ。座席はシネコン並みに立派で、旧作とはいえ
これで1本50バーツ(約170円)は安い!シネコンのロードショー館は120バーツ(
約400円)か140バーツ(約460円)ですからね。
日本で見逃していた柳楽優弥クンの『誰も知らない』をじっくり楽しみました。
英語とタイ語の字幕付きでした。
「house RCA」のHPはこちら。
http://www.houserama.com/#
というわけで、思わずバンコクで日本映画を見てしまった私ですが、タイ映画も
しっかり3本見てきました。
『カンフー姐さん(Kung Fu Tootsie)』〜タイ映画専門サイト「タイ映画!:タイ
映画ニュース(http://www.thaimv.net)」によると、原題は「タット・スー・フィッ
ト」と言い、「トゥック・スー・ファット(オカマ闘争す)」のアナグラムだとか。
実はこれ、香港のカンフー映画のパロディというか、オマージュを捧げた映画とい
うか、中華風タイ映画。しかもご丁寧に、舞台は中国なのだが、「便宜上タイ語の
セリフでお話を進めます」とかいうお断りまで登場します。
ストーリーは、病気の親分を抱えるヤクザの組で、若親分までもが出入りで片手を
切り落とされるという事態が勃発。一家は離れて暮らしていた若親分の双子の弟を
呼び戻し、急遽身代わりに仕立て上げようとするが、弟は実はオカマだった....と
いうもの。
強いんだけど、油断するとオカマになってしまう、という弟のキャラが笑いのツボ。
もーのすごく上手に香港映画のテイストを盗んでいます。
公式サイト(タイ語)はこちら。
http://www.tud-soo-food.com/
あと、タイのシネコンではチケットを買うと映画のマグネットをくれるのですが、
『KUNG FU TOOTSIE』のマグネットがこれ。誰かさんの『カンフー○○』を思い出す
でしょ?

『トンだカップル KOO RAD(The Odd Couple)』〜原題は「タイ映画!:タイ映画
ニュース」によると「クー・レート」と読むらしい。
日本とタイで、オカマの売春婦を狙った殺人事件が頻発。どうやら同一犯らしい、
ということで、日本から刑事の正義(役名は「関(セキ)」かと思ったら、これを
演じた在バンコクの日本人俳優大関正義の名前から取った「セイギ」だったよう)
がバンコクに飛び、唯一の犯人目撃者であるオカマのリリー(ペットターイ・ウォ
ンカムラオ)を守りながら、犯人を追ってゆく....。
いやー、多いですねえ、オカマネタ。タイでは「カトゥーイ」と呼ばれている彼ら
ですが、タイの俳優はカトゥーイを演じられないとおまんまの食い上げのようで。
芸達者なペットターイ・ウォンカムラオ(『マッハ!』『トム・ヤム・クン』)が、
エンジン全開でリリーさんを演じてます。

公式サイト(タイ語)はこちら。
http://www.kooradmovie.com/
『イーソムとソムワン E SOM-SOM WANG(In Country Melody)』〜これも、「タイ映
画!:タイ映画ニュース」にちゃんと紹介されていました。(実にスグレモノのサ
イトぢゃ)ルークトゥンというタイ版演歌の世界を描いた作品で、有名歌手一座の
女性バックダンサー、イーソムに惚れた田舎青年ソムワンが、一座に加わってドサ
回りをするうちにその歌が認められて....という、ま、ありがちのバックステージ
ものでしたが、有名歌手役はヨートラックという本物が演じており、彼の迫力はな
かなかでした。
タイトルを「イーソム・ソムワン」と読むとは知らず、「エー・ソムソム・ワン」
とか発音してしまって、チケット窓口のお姉さんを悩ませたのは私です。

さて、最後にピカ一のオススメタイ料理を。
今回食べた中で一番ゴージャスな味だったのが「蟹カレー」でした。カレーと言っ
ても、限りなく中華風でもあり、まさにタイならではの一品です。友人がマーブン
クロン(MBKと略される有名なショッピングビル)の中にある、点心なども出す店に
連れて行ってくれました。
店頭には蟹が並んでいて、ご指名をかけると店員さんが調理場に運んで行き、見事
なソースの中に煮込まれて出てきます。


この卵とじみたいなソースが、もう最後まで舐め尽くしたいぐらい美味!
バンコクにいらしたら、ぜひお試し下さい。ただし、行く時は必ず2人以上でね。
小さめの蟹だったのですが、食べ切れないぐらいでした。今回犠牲になった蟹さん、
ご馳走様〜。