オム・テウン 独占インタビュー

2007.6.2
TEXT:松岡 環


 ドラマ『復活』(05)や『怪傑春香』(05)で日本でも人気が高まっているオム・テウン。
特に『復活』で見せた、一人二役を見事に演じ分ける彼の演技にはハートを射抜かれる人
が続出、日本でも”復活パニック”があちこちで出現した。
 そして今春、『復活』と同じ監督・脚本家によるオム・テウン主演ドラマ『魔王』が
韓国で放送され、またまたカルト的人気を集めることに。
優れたドラマとして民主言論市民連合の4月の推薦番組にも選ばれた『魔王』は、
オム・テウンと『宮』のチュ・ジフン、そして『火山高』(01)や『サッド・ムービー』(05)
のシン・ミナ の共演ということもあって、日本でも期待が高まっている。
 その『魔王』の最終話放送日(5月24日)の1週間後、オム・テウンが来日した。
6月3日(日)に行われたファン・ミーティングのためだが、
このファンミのチケットは発売と同時にソールドアウト。
3日午前中にあったパク・チャンホン監督と脚本家キム・ジウさんもまじえての記者会見も
マスコミ各社で超満員となった。
 その前日には、WEB POP ASIAのためにホテルで取材に応じてくれたのだが、
黒のスーツに真っ白のシャツ姿で登場したオム・テウンは、
まるでファッション雑誌のグラビアから抜け出たかのよう。
ドラマよりさらに美しい、33歳の苦み走ったいい男だった。

Q.『魔王』、すごくよかったです〜。
『復活』と同じ監督、脚本家との再度の顔合わせですが
3人でもう一度何かやろう、ということから
この企画が始まったんですか?

UT :『復活』のあと監督からは、今度またぜひ一緒にやろうよ
というお話は出ていたんですが、それがいつになるのか、
ほんとに実現するのかは全然わかりませんでした。
でも今回、時期的なことや周囲の状況がうまく合ったので、
また一緒に組むことになったわけです。

Q.脚本が出来上がった段階で、
監督と脚本家からオム・テウンさんに、
「刑事カン・オスでも弁護士オ・スンハでも、
どちらでも好きな役をどうぞ」というオファーが
あったと聞いてますけど、
カン・オス役を選んだのはなぜですか?

UT :オスも、それからスンハも、どちらも
すごく魅力的なキャラクターで、両方ともいいな、
と思ったんですけどね。


監督は、「どっちを選んでもいいよ」と
言ってくれたんですが、実を言うと脚本家さんが
「できれば、カン・オスをやってほしいの」
と言ったので、オスに決めました(笑)。

Q.カン・オスは、ご自分では
どんな人物だと思って演じましたか?
UT :(真剣に言葉を選びながら)オスという人物は、
かつて自分の失敗で、失敗というか自分の行為によって
友人を亡くしてしまう、友人を殺してしまうんですね。
それを口に出せないまま胸に抱えていたんですが、
長い年月が経ってやっとこれからという時、
やっと笑えるようになった時に弁護士のスンハに出会い、
またそれを思い出す。
傷口に塩を塗られる、じゃないですが、
再びそういった状況に陥っていきます。
その時オスは、自分の失敗を隠すことはできないんだ、
この失敗についてはケリを付けなくちゃならないんだ、
と感じていく。
本当に、複雑な軌跡を持った主人公だと僕は理解しています。



Q.そういう複雑な主人公を演じるのは難しかったと思いますが、
とりわけ難しかったシーン、反対にここはすごく満足して演じられた、
というシーンはありますか?

UT: 難しいといえば全般的にすごーく難しかったですね。
ただまあ納得がいくというか、自分でもよかったのではと思うシーンは、
エンディングシーンです。
あとは、図書館でヘイン(シン・ミナ)に会うシーンがあるんですが、
あそこは教会で神父様に懺悔するような感じが出て、
うまく撮れたのではないかと思います。
それから、父親が亡くなる時のシーンもよかったと思いますし、
もう一つ、自分の兄が逮捕されるかも知れないという時に、
できれば逃げてほしい、というシーンがあるのですが、
そこは自分なりに満足がいく演技ができたと思います。

Q.タロットカードやサイコメトラーとかが重要な要素になっていますが、
オム・テウンさん自身は
タロット・カードが告げる運命というものを信じていますか?

UT:はい、信じてます。(と即答)
Q:あー、そうなんですか。
UT:そうなんですよ。(とニッコリ)

Q.では、この映画のストーリーにもすんなり入っていけたわけですね?
UT: (ちょっと考えて)そうですね、僕自身はそういった能力を信じているので、
このドラマの話は絶対ありえないことだ、という風には考えずに受け止めることができました。
僕も占いをしてもらったことがありますし、
自分とは違う人というか神が降りてきてお告げをする、という占い師に会ったこともあります。
ですので、信じている方ですね。

Q.このドラマは撮り方が独特で、誰かがいつもどこかから覗いている、
というカメラワークになっていますが、演じていてやりにくくなかったですか?

UT: いつも見られていてイヤだ、という感じはなかったですね。
かえって演じやすい、というか、常にカメラが確実に付いてきてくれてやりやすかったです。

Q:今回はドラマには珍しく
手持ちカメラ撮影も多かったと思いますが、
それは事前に監督さんから説明が?

UT: 元々監督は、この作品は美しくきれいに撮るよりは、
どちらかというと荒い感じが出ることを望んだようです。
最初からこんな風に撮りますよ、という説明はなくて、
現場に行ってから現場に合う撮り方を
決めて撮っていったと思います。

Q.撮ってすぐ放送ということで
大変だったと思いますが、
現場の雰囲気はいかがでしたか?

UT: 韓国では、今日撮ったものを今日放送する、
といった忙しい現場もありますが、
実はその原因は脚本がなかなかできないからなんですよ。
でもこの作品に関しては、
1週間前には脚本をもらっていました。
ですから、忙しくはあったけれど
それほどキチキチではなかったし、
珍しく1週間に1回はお休みももらえました。


Q.共演者のチュ・ジフンさんは演技を始めて間もないと思いますが、
いかがでしたか?

UT: 彼はまだ新人だと言われますけど、新人とは思えないほどいい感受性を持っていて、
頭もとてもいい人です。
今回スンハの役を彼なりにほんとによく演じてくれて、僕はありがたかったです。
普段もすごく親しみやすい人で、今後役者として期待できる俳優さんになるのでは、
と思いますよ。

Q.シン・ミナさんについてはいかがですか?
UT: シン・ミナさんは慣れるまでは人見知りというか、
最初は一緒の輪に入ることもなくて口数も少なかったんですが、
徐々に慣れてくると仲良くなり、リラックスして撮れるようになりました。
そうこうしているうちに、いたずらなんかもし始めたりしてね。
彼女は活発ですし、いろんな面を持った女優さんだと思いますね。

Q.昨年の東京国際映画祭で見た『家族の誕生』(06)での
オム・テウンさんの演技も素晴らしかったんですが、今後映画に出るご予定は?

UT: 『魔王』が終わって、次は6月の中旬ぐらいから撮影に入ると思うんですが、
『わが生涯最高の瞬間』という映画に出ます。
多分この映画も、感動的ないい作品になると思います。
監督は、イム・スルレさんです。

 『わが生涯最高の瞬間』は、韓国女子ハンドボールチームが
2004年アテネ・オリンピックで活躍した時の実話を元にした作品だとか。
オム・テウンはチームの監督役で、選手役にはキム・ジョンウン、
ムン・ソリらが出演、というなかなか豪華な作品だ。
『スリー・フレンズ』(96)や『ワイキキ・ブラザーズ』(01)
での繊細 な演出が印象に残るイム・スルレ監督のもと、
オム・テウンがどんな演技を見せてくれるのか、大いに楽しみにしていよう。


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『魔王』
監督:パク・チャンホン
脚本:キム・ジウ
出演:カン・オス…オム・テウン
   オ・スンハ…チュ・ジフン
   ソ・ヘイン…シン・ミナ

[Story]
刑事カン・オス(オム・テウン)の所轄内で、ベテラン弁護士の殺人事件が起きる。
その弁護士とオスの所には、「審判」を意味するタロットカードが届いていた。
タロットカードはソ・ヘイン(シン・ミナ)が描いたもので、
ヘインの友人の店に置いてあったものが盗まれたのだ。
ヘインはサイコメトラーで、事物に触れるとそのものが持つ記憶を感知することができた。
またヘインは、幼い時に中学生の殺人事件現場に遭遇する、というつらい体験をしていた。
オスはヘインの協力のもと、事件を解決しようとするが、
そんな2人の前に若き弁護士オ・スンハ(チュ・ジフン)が現れる。
そしてオスのもとへは、またまたタロットカードが送られてくる。
どうやら一連の出来事は、オスの過去へと繋がっていくようだった…。
[Point!!]
みどころは何と言っても、過去にさいなまれるオス役オム・テウンの苦悩の演技と、
氷のように冷たい表情を保つスンハ役チュ・ジフンの能面演技。
その2人の間で暖かさを醸し出すヘイン役シン・ミナもうまい。
また『復活』の超悪役チェ・ドンチャンを演じたキム・ギュチョル
(『風の丘を越えて ソピョンジェ(西便制)』(93)の弟役!)
がスンハを気に掛ける元刑事といういい人を
『復活』のアン秘書役チョ・ジェワンが
今度は元いじめられっ子の根暗青年を演じているのも見もの。


[ファンミーティングの模様]