ENOU2

 

 

The Unforgettable Fire 1984

Unforgettable Fire.jpg (3922 バイト)

 

ニュー・アルバム「焔/ほのお」のプロデューサーをブライアン・イーノにした理由は何ですか?

 

EDGE ― 僕らはこの前のアルバムが成功した後で,それまでやってきた一連のアイディアなり音楽的なものが,一通り終わったと決めたんだ。だから今度のアルバムは,僕らの核を変えることなしに何か違うもの、つまり僕らの音楽の幅を広げ,新しい側面を発展させるという意味での変化を求めたいと思った。そこで最初に変えようと決めえのはプロデューサーだ。ブライアン・イーノは,僕らが単にプロデューサーとしてだけでなくソロ作品も含めて凄く尊敬している人だったんだ。
 彼のやっていることの中の精神的なものに
,何か僕たちと共通するものがあると感じていたんだよ。つまり僕らの変化と、彼のやってることへの共感、敬意ということで,すごくエキサイトしていた。

 

その共通点を,もう少し詳しく教えてください。U2とイーノの結びつきがとても意外に感じられたので…

 

 純粋に音楽的なことだから,はっきりと言葉にするのは難しい。でも自分のやっていることに対するアプローチの仕方に共通点があると思う。自然な創造性だよ。彼が個人的な形で出してくるものには、総てアイデイアや頭でっかちのコンセプトでガチガチなんてものはない。彼の音楽は,殆ど本能的,直感的に感じて書かれたものだ。U2にもそれと同じスピリットがあると恩うんだ。僕らはあくまで自分が感じたままを,個人的見解として出している。そこだと思うんだ。
 多くの人はイーノを,芸術音楽に凝ってる人だとか、音楽の背景にあるアイディアに比重を置く人というように考えているようだけど,実はもっと自然なソウル(魂)や、人とコミュニケートする自然な力というものに興味を感じているんだと思うね。それは多くの芸術音楽には見られないものだよ。

 

今までのプロデュ一サー、スティーヴ・リリーホワイトと,イーノの違いはどこにあると思いますか。

 

スティーヴはイーノと違う背景を持っている。彼は基本的にエンジニアで,それからプロデュースすることを学んできた。しかしイーノは全く逆のコースをたどっている。彼は元々ミェージシャンで、それからプロデューサーもやるようになったんだ。つまりスティーヴはエンジニアで,イーノはエソジニアになりつつあるところなんだよ。音楽的なカでは,イーノの方がはるかに秀れている。スティーヴは音楽プロデューサーではなく、すでに構成され固定された音楽的アイディアを引き出してくれる人なんだ。

 

イーノ自身はゴスペルに傾倒しているという話ですが,そうした彼の考え方を一緒に仕事をしていて感じましたか?

 

 それはここの所ずっと彼自身の音楽嗜好に出てきてるものの一部だと思う。彼はコンセプトしか存在しないような冷たい音楽を拒否しているんだと思うんだ。ゴスペル音楽の質が何であるかを,口に出して言うのは難しいけど,それこそがロックン・ロ一ルの元々のスピリットなんだと思う。それが偉大なソウル・ミュージックを創り出したものだし,エルビス・プレスリーを育てたものなんだ。イーノは,そうした最近の多くの音楽に欠けている質、活き活きとした質を,深く認識しているんだと思う。あくまで自発的なもので,複雑であったり知的であった.りする必要もない。瞬間的に理解できるモノがあり,そこから何かを得ることができる,コミュニケートできる,そういうものだと思う。

 

その点でU2とイーノがピタリと一致したというわけですね。

 

そうなんだ。多くのバンドが時間をかけてレコードを作っているけど,できたものは,彼らが心から感じていること,思っていることではないような気がする。イーノは、自分達のやっていること自体にさえ、あまりにクールにしか関われない人達に嫌気がさしちやってるんだと思う。僕らは常に自分達のやってることに情熱的に関わってきた。イーノが興味を持ってくれたのもそこなんだと思うよ。


*後にイーノはU2のフアン会報で、ボノのスタジオに臨むときの知的で閃きに満ちた姿勢に接し、プロデュースすることを納得した、と語っているとのこと。

 

 

 

The Joshua Tree  制作に向けて 1986

 

EDGE ―  (「スネイク・チャーマー」でホルガー・チューカイ、ジャッキ・リーベツァイトと仕事をしたこThe Joshua Tree.jpg (3009 バイト)とに触れながら)ジャッキとホルガーはちょっと、ロック界の哲学者ふうたところがあるね。ブライアン・イーノもそうだけど、でも彼の場合はもっと気楽なものなんだ。ブライアンは、言うことは複雑かもしれないけど、いざ、何か実際にやるって時には単刀直入でね。ホルガーとジャッキはもっと概念先行型だと思うな、トーキング・ヘッズみたいにさ。彼らは何をやるにもまず概念的基盤があるんだけど、ブライアンは逆に、やったことから理論を築きあげていくんだ。ブライアンはかなり根本的な方向転換をするよね変えるときには何もかも変えてしまって、また次の変化が訪れるまではその道をしばらく辿り続ける。例えば『焔』を録ってる時は、ちょうどアフリカ時代を終えて、ゴスペ・ルとアイルランドの伝統音楽にすごく興味を持ち始めてたところだったんだ。彼はスィーマス・エニスに夢中だったねぇ。アイルランドの笛を吹く人なんだけど。
 実はね、ブライアンの名前はファースト・アルバムのプロデューサー候構のリストにも挙がってたんだよ。彼のことが検討されてたのは覚えてるけど、実際に連絡をとってみることはしなかったんじゃないかな、たしか。僕ら勝手に決めたんだよ。彼はたぶんトーキング・ヘッズとの仕事でものすごく忙しいだろうし、わざわざダブリソまで来てくれやしないだろう、ってね。僕らはといえば、どうしてもダブリンでレコーディングしたかったし。

 

次のアルバム(ヨシュア・トゥリー)にはイーノはどのぐらい関与しているんですか。

 

ダニエル・ラノワが全体のプロデュースをやって、ブライアンは社長級の“大いそがしの”プロデューサーになるだろうね。ダニーはすごく落ち着いた性格だから、スタジオにずっとこもってるには彼の方が気質的には向いてるかもしれないよ。だから,ブライアンがいつも側にいてくれなくても何も不安はないよ。両方からいい部分を吸収できたらな、と思うんだ。

 

 

 

The Joshua Tree について

 

エッジ ― 僕らは雰囲気づくり同様、場所を獲保するのに努めてその場所から得るセンスをそれぞれの曲に反映させたかったんだ。特にイーノが曲へのアイデアを得やすいような、そんなところを選んだ。彼が人をハッとさせるようなアイデアや範理的なコンセプトをはき出せるようなところを、ってね。イーノの音楽を本質的な部分同様に概念的に把握するバランス能カは凄いからね。ゴスペルやアイリッシュ・ミュージックに関しても精通しているし。

 

ラリィ ― 彼らは明らかにバンドの一部さ。全員がそれぞれパートを務めるのと同様に、イーノとダニエル・ラノアもキーボードやギターをプレイする。そして全員でディスカッションする。彼ら2入ともレコーディング中はU2なのさ。

 

 

 

 The Best Of 1980-1990 リリース後 1998

 

ボノ ― 「ウオー」を終えたとき、おれ達はもっと色がほしいと思ったんだけど、それだっていま思えばそうじゃなくて「ウオー」だって決してそんな白と黒だけの世界じゃないんだけど、とにかくあのときはそう思ったんだよ。総天然色にしたいな、これをどこまで持っていけるのかやってみたいなっていう。
 で、あの頃、俺たちはそれぞれにいかれた音を聴き込んでて、ブライアン・イーノは俺たちにとって一つのインスピレーションBest Of U2.jpg (2855 バイト)になってたから「電話してみよう」ってことになつたんだ。それで電話をしてみると、「もうアーティストのプロデュースはしないことにしたんだ」っていう答でさ。それで「そんなこと知ったことか、あんたにプロデュースしてもらいたいんだ、それで俺たちが世界一のバンドになるんだ、俺たちはそういう逸材なんだ」っていうね。すると、イーノは「でも、それはできない相談だよ、僕はもうロック ・ミュージックに興味さえ失ってるんだ」っていう。だから、「なんだ、ロック・ミュージックなら俺たちだって嫌いだよ、ここまで言わせておいて断るなんてなしだよ、一緒になにか作ってみようよ、でき上がったものをロックと呼ばなきゃいいんだからさ」って言うと、「ふむ、えと、それならね、ここんところ一緒に仕事をしてる人でダニエル・ラノワっていうのがいて、彼ならうってつけかもしれないね」っていう答だから、「でも、俺たちはその人のことは知らないんだ、あんたに来てもらわなきゃ困る」って言ったら「じゃあ、僕がラノワに同行するから、君たちも来てくれないか」っていうね。
 で、イーノは本当に来て、以来、いつも一緒にやってくれたし、もうすっかり巻き込まれちゃって今に至るっていうわけなんだ。イーノは俺たちにとってほんとうにかけがえのない仕事をしてくれたわけで、俺たちにとってはジョージ・マーティンのような存在なんだ。実際、二人とも、ダニエル・ラノワもね、ちょっとすごいんだ。で、ダニエル・ラノワはどういう感じかっていうと、一緒にレコードを作るとものすごいレコードになるか、どつちかがだめになるか、その二つに一つでしかないんだ。廊下で向き合う形になって、あっちが道を取るか、こつちが道を取るかのどっちかで、俺たちにとってこれ以上にないチームになるんだよ。

 

まあ、歴史に名を残すほどのプロデューサーともなれば好きにならざるを得ないし、そうすると近親相姦と近親憎悪が入り乱れるような関係にならざるを得ないと思うんですけど、その辺はどうなんですか ?

 

 うん、本当にきちがい沙汰なんだ。今だってそうで、今もブライアン、ダニエルとでレコードを作ってるけど、俺たち四人にしたってもう立派な男だからね。三十代後半の男になったらそう簡単には動かないし強情にもなってくるんだ。俺たちを動かすには、やっぱり自分たちが成長するときに自分を知ってくれてた人たちじゃなきゃ無理っていうもんなんだ。さといヒップな野郎がさっそうと「すごい音を持ってきたから聴いてみない?とんでもないよ」といってみたところで、お呼びでないんだよ。

 

 

(hataeno 資料から)


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