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interview 1993




ブライアン・イーノの弟、ロジャー・イーノである。彼の3rdソロ『ザ・ファミリアー』はドリーム・アカデミーのケイト・セント・ジョン嬢とのコラボレーションで、プロデュースはあのビル・ネルソンだ。「絵画的な環境音楽」の観があったロジャーの音楽だが、非常に清廉潔自でポップな一面を今回見せてくれたわけだ。兄と弟は、やはり方法諭が全く違った。ちなみにロジャー・イーノは頭はハゲておらず、話好きの非常にイイ人のようでした。はい。

 

前2作と較ぺると、ケィトのヴォーカルのフィーチュァもあって、本作は良質なモダーン・ミュージックとして成立してますよね。


 
確かに意図的な方向転換だったんだ。大体僕とケイトが何故一緒に仕事する事になったかというと、ワーナーに居る共通の知り合いが僕らを引き合わせたのさ。もっと一般大衆にわかり易い音楽を僕らに作らせて、一稼ぎしようとね(笑)    

  

身も蓋も無い制作動機ですなあ。   

     

確かに下心ある企画なんだけど、結果的に一切妥協する必要無かったし、ケイトとの仕事は愉しかったし、自分が新しい領域に進出出来て良かったと思ってるんだ。ビルのプロデュースのお蔭でより現代的な味わいも加わったしね。彼自身、身売りする事無く大衆的な音楽を作る事は可能だと思ってる人だからね 。

 

という事は、あなた自身自分の作品がアートとしてしか受け容れられてない現実に対する欲求不満を抱えてたわけですか。     

       

いいや。作ってる人間自身は、そういう事考えながら作業しないからね。だから自分をもっと売ろうなんて意図は全然無かった。実際気が乗らないもんな、有名になるのって。僕は誰にも知られずひっそりと作曲活動をしてたいと思ってるし。名声よりは金の方が興味あるよなあ(笑)

 

はは。ところであなたの作品って、ブライアンに較べて非常に「音楽的」ですよねえ。正式な音楽教育を受けてたりしませんか。       

     

うん、音楽学校に4年通ってた。専攻はユーフォニウムで、副専攻がピアノだった。その間、いろんな楽器を独学して、パンク・バンドにブラス・バンドにジャズ・バンドで弾いてたよ。小遣い稼ぎになったな・もちろん学校でクラッシックの基礎理論は勉強したし。だからクラシックそのままじゃなく-----「あれ、前にこういうのどっかで聞いたことあるな」----って人が錯覚起こすように、他のスタイルの音楽形式を利用して多少変化を加えるというか。それに対してブライアンの方法論は、常に新しい領域を切り開き続けていくというものだからね。あの人は、トラディッショナルな形式にはまるっきり興味がない(笑)


というか、音楽の基礎が皆無という(笑)。幼いころ、影響うけたりしませんでしたか。

 

一緒に仕事をし始めてからだよ。彼のいくつかのアイデイアは凄く面白かった。いろいろ付け加えていくんじゃなくて、むしろ差し引いていく方法。サティと共通する。僕はサティ好きだったし。

 

でも彼がロキシーミュージックに入って、羽根飾りだらけの化粧男と 化して大成功をおさめたのを見て、当時どう思いましたか。

 

“ヴァージニア・プレイン”が売れたのって72年だっけ?僕はまだ13才で、正直言ってピンとこなかったなぁ。「うちの兄貴はこんなのなんだぜ」っていう自慢の種ではあったけど。


11歳も違うと、コミュニケーション無いですか

 

なんたって兄貴は僕が6歳の時に家を離れたから。そういう意昧じゃ、子供の頃に持ってた熊のぬいぐるみ的な存在だったんじゃないの?(笑)

でも弟がちゃんと楽器を弾けるのに対し、兄は満足に弾けない。この差が二人の作品の方向性を分けてると思いませんか。

 

うん、方法論自体が違うからね。ブライァンは理論派でヴィジュアル・アーティスト的。僕はインプロとかの偶然性を尊重するから、昔ながらの作家に近いと思う。美しいメロディが好きだし。



自分の方が「ちゃんとしてる」と思わない?

 

うわははは。君がもうちょっと僕の事をよく知ったら、わかると思うよ。ブラィァンにインタヴユーした事ある?

 

あるある。あの屈理屈の洪水には毎度毎度、閉口しますわ。普段もあんな人問なんですか。

 

ははははは。9割方はね。分析好きなのさ。音楽を作るにしても、図表を使って理論立てしてるよ。そういう部分には興味持てないけど。

 

イーノの弟」的な世間の見方は嫌でしょ?

 

正直に言えぱ、うん。だけど最初は無名の存在なわけで、いずれにせよ何か謳い文句が必要ではあったんだよ。その方が人の注意を惹くし。まあ甘んじて生きるしかないよ。それを言うならジュリアン・レノンはもっと大変だって。フランク・シナトラの息子だってそうさ、”フランク・シナトラJr”って名前だけの存在でもね(笑)

 


 インタビュー 市川哲史さん  どうも