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Vol.8  MAY 1979

 

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■ Here Come Thi Warm Jets   Revisited   
■ 歌詞 :

 

 


 

■ Interview

  私の音楽屋個々の曲のそれぞれの構成、背後にあるアイディアに関して多くの人が私に文章を求めている。最初は私のファースト・ソロ・アルバムから始めることにしよう。

 芸術家とは、自己の作品を評価するには最も制限度の低い存在だと私は思う。彼らの行為の理由、作品の芸術的効果、これらの間にある関係は、理解されるより以前にまず感じ取られる。言うなれば、私が興味を抱くコンセプトの多くは知覚的にはミステリアスでありながらも私の直感に訴えるものを持つものだ。ロック・ミュージシャンはミステリーを利用する。そして自分の意志を明確にするために今度はミステリー要素の分解にかかる。などして。このコマーシャルな姿勢でミュージシャンは遠隔的位置に自らを置いている。
 私にとっての音楽の性質とは“曖昧”(Ambiguity)だ。この言葉はこれだけで十分に独立的なので外の語に置き換えることは不可能に近い。それが誤りにならずとも、過剰表現にならずとも。人はこの“曖昧”という語を“意味の広がり”と置き換え、そして遠隔願望など、単にその音楽がリッチなものだと示すための姿勢だ。と言うかもしれない。曖昧さを持てるほどのリッチな音楽、だからこそより多くの理由に依り、多くの人の心に許される。私が仕事上でベストを尽くせるのは自分が機械−machineのように作用しているときだ。プロセスの中での次のステップは選択されたものではなく不可避なものでなければならないだろう。私は作り出す、その行為に陥らずに、むしろ何も知らされていないリスナーとして背後で耳を傾けている。そのような位置に自分を置いている。それらがミステリアスであるように。

 話をアルバムの方に戻そう。

 このアルバムが喜ばしくないわけではない。しかし、改善の余地はまだまだある。最もそれに目をつぶりたいのではない。私は過去のなりゆきを分析するのが好きだ。まず、何故あのアルバムを急いで録音したか。それは、もしあれ以上の時間をかけていたら、私はあたらしいアイディアを使って“感動しきった”曲を始めていただろうからだ。あの時は何らかの確信を抱いて、不完全なアイディアであってもそれを主張すべきだった。その不完全なアイディアもそれなりの純真さを持っている、と言いわけがましく説明することさえ必要だったからだ。
 そのようなわけで、例えば、“Cindy Tells Me”や“Some Of Them Are Old”のような曲は2度と作ることはないだろうと心に決めたものだ。曲自体が満足のできる出来映えでなかったから、というわけではない。むしろそれらが私にとってユニークな物でなかったから、といえるだろう。皆との類似性より相違性によって私自身が外より秀でたものでありたいという願望。これはある種のヴァニティーだ。しかし“私はかつて誰も試みなかった分野に手をつけた”というようなことを論じたがるのは当然のことだと思う。そこにこそ私は注意を払うべきだろうから。
 例えば“Driving Me Backwards'”この曲は先の誰一人として閃かなかったことを備えるような性質の物だと私は確信している。この曲は一方で私の音楽的純真さの産物であり、また一方で、現存するアイディアの操作への可能性、といえるだろう。この曲も外の曲と同じく、音楽的発想という点においては極めてシンプルなもので、3つのコードから成り、テンポの変化もない。シンプルな4/4拍子だ。私はこのように計画な、シンプルな機構の元での作業を常に望んでいる。グラフ・ペーパーの格子のような簡潔さ。グラフ・ペーパーの格子は重要なインフォメイション〜グラフ自体〜の関連性を示すのには好都合だ。

 シンプルな機構に関する見解:私は正確な繰り返しが好きだ。なぜならそれは常に部分的に正確さを逃すからである。ある限られたモティーフ内に生じる時間的ズレに私は魅kあれる。それは、まさに繰り返しの過程がモティーフを変化させていくからだ。2度同じものを聞く場合、2度目が違って聞こえるのは、そのモティーフに対する親近感が増すからである。
 もし、個人の持つペース、方向性などのコンセプトが除去されたなら、そこに、音楽に対する認識の上に興味深いことが起こるはずだ。“
Here Come The Warm Jets”はこの傾向にある。ただ、もう少し長かったら、とは思えるが。長時間にわたる同じ行為の反復、これにはヴァリエーションを加えて面白く仕上げる以上の勇気が必要だ。“Here Come 〜”が短めの作品になったのは私の勇気の欠如が理由のようだ。しかし、退屈以上のダメージもまた存在しない。それを避けるべく私は判断した。もう一つ、この曲に関する失敗点といえば、次にくる繰り返しの部分と比較するメロディー・ラインが長すぎた、ということだ。すべてをセットするのには15分〜20分が必要だったろう。また、“Here Come 〜”の面白い点とは、オリジナルはギターで作曲したにもかかわらず、以来、私はギターでは一本の弦で、しかもスロウにしか弾かなくなった、というところだろう。シンプルなメロディーというのは外のミュージシャンにも容易に演奏できるものでなければならない。奇妙にも、あまりにシンプルすぎて、外のミュージシャンにはこの曲は理解し難かったようだ。この曲に関して、他の人はアクセントを置くことや新しいヴァリエーションを使うことによって、メロディーをより面白くしようと試みたのだが、私は、逆により温和な感じを求めていた。例えば焦点をはずすことによって曲を例のグラフ・ペーパーの格子のようにしてしまう、など。結局そのためのプレイは自分で担当することになった。
 指導のための一実験として当時私が関心を持っていたのはロキシー・ミュージックですでに始めていたある実験の拡張だった。音楽を面白くするアイディアの一つとして、トラディッシュな“ジャム”のコンセプトに基づいてすべてが“into the same thing”の方向に向かう、ハイスピリットな調和の作品を作る一群のミュージシャンを起用するより、むしろ相似性を持たないミュージシャンを集める、というアイディアがあったのだ。前者の方法が生み出すのはおおよそくずばかりで、不審にさえ思えるものだ。民族音楽(アフリカの儀式音楽から、ジャマイカン、アイアン&スティール・バンド、アメリカのゴスペル・シンガーに至るまで)は通例いわゆる“名手”ではなくプレイしたいすべての人によって演奏されるということを思いだして欲しい。民族音楽が均衡性を保っているのは演奏する誰一人として“策を弄してはいない”からだ。手を叩きたい者はただそれだけをする。自分の位置は実はより重要なものだと示そう、とか、自分の今の位置は不適当だ、などと感じたりはしない。すべての役割が重要だ。

 さて、まだ数曲についてしか述べていないのでレヴューに戻ろう。

 私はあらゆる種類のヴォイスをこのアルバムで使っているが、そのいずれも装ったものではない。ある人の困惑を“キャンプ”として片づけ、和らげるのは簡単だ。ロックに限らず、リヴァイヴァルはすべてキャンプと呼ばれることで承認される。そこで同様に私達も自分の知覚で得ようとしてきたナイーヴな物としてこの再体験を受け入れる。最も私達はそれを一種のジョークとして見なすので余計に流出的にはなるが。“キャンプ”の愛とはその根本的に恩きせがましい態度にある。真実の模倣は軽蔑、嘲笑の意識ではなく、完璧な愛によって成り立つのだ。

 “Blank Frank”は逆の方法でレコーディングした曲だ。レコーディングの月並みな手順として、まず、リズム・トラックを録音する。ベース、ドラムス、リズム・ギターなど。それからメロディックな楽器を順に加えていく。フィリップと私は二人きりでスタジオにいたのだが、その時、その場で曲を書いて、ベースとなるリズムはリズム・ジェネレーターで代用しようと決めた。この効果は普通のメロディー楽器−リードギター、ヴォイス、がリズムの空白の部分を埋める事により、すべてがメロディックと言うよりリズミックに仕上がると言うことだ。ベースとドラムは最後に録音した。最後の部分のオルガンは4人で弾いているがその誰もがキーボード・プレーヤーではない。ここでは4台のマニュアル・オルガンを一斉に使ってみた。この曲の主題も不明瞭だが、“Blank Frank”とは私の元同僚だ。

Blank Frank is the messenger of your doom and your desutruction...”(ブランク・フランクは宿命の、破滅のメッセンジャー・・)

 私は常に自分自身の需要性を自覚してきた。私は恥知らずの盗作者だ。そして、それ以上にシンセシスト(synthesist)だ。私は糸を選び新しい生地を作り出す。あるものを統合させ、それらが完全に集中するまでの相互作用を見守りたい。例えば、普通一緒には演らないようなミュージシャンを一緒に使うなど。
 私はファースト・ソロアルバムの製作にあたり、できる限りこの方法を試してみた。

 

 

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裏表紙

 B5/26ページ/手書き

 

 


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Vol.8  MAY 1979

■ Here Come The Warm Jets  Revisited  1-8

■BAND STAND アウント・サリー:Phew インタビュー 9-12

■BAND STAND ヒカシュー 個人面接インタビュー 13-19

and…


(提供:せがわたくや)