ヤング26時

 

 なんでも出でくるインターネットのはずなんだけど、「HBC・深夜放送・足立利道・アダッチャン・あだっちゃん」でググっても満足する物になかなか当たらない。せいぜい、ここだけか。
 なにを探していたのかというと、わしが小学6年〜中学1,2年の頃?聞いていた、HBCラジオの深夜放送・ヤング26時、土曜夜のDJ〜アダッチャンの放送のことで、誰か、何か書いている人がいないかな、と思って探してんだけど、まぁ、そーゆーローカル・それも北海道の昔話はネットの上でもまだ無いんだよな。
 この頃のことで、あと思い出す人・番組は、STVラジオ・ササッパラの電話ダジャレ道場?ってのも、男子中学生達には大ウケだったような……、遙か昔の記憶でよく思い出せないが。この、ササッパラ(笹原 嘉弘氏・現在、STVの専務取締役編成局長なんだと)が出したレコード、「おいでお嬢さん」は、今年(04年)の8月に、ヤフーのオークションに出品され、500円で売れていた。

 その頃の民放ラジオはベストテン物以外は洋楽がほとんどかからなかったんだけど、アダッチャンの放送では、聞いたことのない「ロック」がばんばん流れていたので、毎週とても楽しみだった。リクエストハガキもたくさん出した。その放送ではじめて聞いたピンク・フロイドの「吹けよ風、呼べよ嵐」が気に入って、リクエストしたら、翌週、またかかったりしてた。下記で紹介されている、「展覧会の絵」片面全曲の放送は、確かにわしも聴いた。はじめてのプログレ体験でないかな。半分ウトウトしてたように思うが。
 そういえば、わしの数少ない友人は、その頃、ブラックリバーのペンネームで、リクエストハガキが良く読まれてたな。

 アダッチャンの放送の最終回では、本人の意に反して転勤させられるとかで、放送禁止の曲をかけていたように覚えているが、どうだったのだろう?わしの勝手な思い違いか?

 で、ブラック・リバーを偲びつつ、そのアダッチャンが1972年のミュージックライフ・4月号に寄稿していた文章をここに紹介しておくとするか。


 

 

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    みゅーじっく えっせい

    北海道放送アナウンサー 足立 利道

 

 今の北海道は、ロック全盛と言っても少しも過言ではない。この一年程の間に数多くのロック・グループ、アーティストが来日し公演を行なった。が、その中の幾つが、名人が北海道に足を伸ばしただろう。北海道の音楽フアンは、郵便でチケットを手に入れ、公演の日になると、学校や仕事を休み、飛行機で東京まで見に行く。これが現状なのである。半年が雪の北海道、しかも本州と北海道の間に海がある。この海ひとつが大変な障害になっている。
 じゃ、北海道の人達はどんな娯楽を?と良く尋ねられる。音楽、音楽ですよ。レコードを買ったりラジオの音楽番組をじっくりと聞く。そして、良いものは良い、悪いものは悪い、とはっきり自分で判断する。そのとぎすまされた音楽感覚は、私自身も、時として、ハッとさせられるものがある。放送の数日後、“この間の選曲、ありゃ何んだい”と、文句のハガキ・手紙が殺到する時がある。そんな悪評の放送を2週続けようものなら3週目にはリクエストが来なくなる。まことにおっかない。聴取者は、私の深夜放送が企画・構成・選曲そして機械操作にしゃべりと、全て私が独りでやっているのを知っている。ディレクターもミキサーも、私が独りで兼任する、アメリカン・スタイルのワンマンジョッキーである事を心得ている。責任の所在は全て私にあるので、良否は別として、聴取者のはねかえりは一手に引き受ける事になる。でも楽しい。
 ロック好きの私が毎週、シカゴ、ツェッペリン、GFR、EL&P、グレートフルデッド、マウンテン、カクタス、ディープ・パーブル、CCR、CSN&Y、フェイセズ、トラフィック、ムーディ・ブルースetc.といったリクエスト・カードをワンサカともらってつまらない訳がない。金曜の夜は大低徹夜になる。葉書・封書に目を通すからである。が、中に“アダっちゃん、くやしかったら、オレのリクエストをかけてみな”と、とてつもなく古いのや、とびっきりのオニュー、又、幻の名盤が、どこで聞いたか、見たのかしらないげれどよくある。又、カードに一言、“アルバムとシングルで出ているけれど、絶対にアルバムをかけてくれ”と書いてあるのを見かける。
 長い曲も良くリクエストをもらう。今の音楽で5〜6分、いやそれ以上の曲はザラ。つい先日も、グレートフル・デッドの「太陽の賛歌」(18'16")A面全曲と、EL&Pの「展覧会の絵」(18'58")B面全曲のリクエストをもらった。センスのグーなリクエストは、曲の長短関係なしにかけるのが、私の主義なのでかけた。番組の終り近くになって非常に困った事が起きた。規定のCMが消化出来なくなってしまったのだ。目をつぶって、CMを幾つかつなげて放送してしまった。(スポンサーさんゴメンなさい)。彼等のこういうリクエストは、ただ新しいから、懐しいから、又、皆がいい曲だと言っているからとか、長い曲ならリクエスト・カードの中で変わっているから、という発想でリクエストをしてくるのではない。自分の耳で聞いて、良しと判断したうえでリクエストをして来るのがカードから解る。最近は、私自身、本州方面へ言葉をむけるので、関東関西からも良くリクエストが来る。九州からも鹿児島、宮崎、熊本などから、週に20通前後のリクエストをもらう。ロックのリクエストがほとんどだが、総体的にあまりセンスの良いリクエストはこない。
 ロックの話で終ってしまうようだが、私自身、外にジャズとR&Bが好き。ジャズはマアマアのリクエストだが、R&Bは極端に少ない。ロックに次いでリクエストが多いのは日本のフォーク。日本のロックは時々リクエストが来るけど、北海道のロックフアンはマダマダと思っているのが現実のようだ。今の音楽フアンは流行に関して非常に敏感でひとつ良いものに関心があっても、別の良いものか出てくればそちらに、耳が心が動く。
 もし、貴方が、私の放送をキャッチしたら、リクエストを出してみないか?
どんなリクエストもOK。特に、ロック、ジャズ、R&Bなら、レコ一ドが無いなどと言わない。たった1枚のカードでも、君の音楽センスが気にいったら、幻の名盤と言えど、ハッチャキこいてレコードを探しONAIRするよう勉めよう。これが私のDJとしての心意気である。

(筆者紹介●HBCアナウンサー。“オールナイト北海道、ヤング26時”を担当。通称“アダッチャン”で親しまれている。21年、東京生まれ。主にロック・マニアの間で人気大で、よき兄貴ぶりがうけている)

 

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